勢い失う左派の気候変動運動 トランプ氏の猛攻受け転換

2025年11月20日(木)、ブラジル・ベレンで開催された国連気候変動サミット(COP30)で、活動家たちが化石燃料の使用廃止を求めるデモに参加した。(AP通信/アンドレ・ペナー)
By Valerie Richardson – The Washington Times – Thursday, April 9, 2026
気候変動活動家たちはまだ勢いを完全に失ったわけではないが、かつてのような熱狂は既に存在しない。
トランプ大統領は石油・ガス開発を加速させる一方で、地球温暖化対策に大なたを振るった。欧州もネットゼロ(温室効果ガス排出量実質ゼロ)目標の見直しに動き、気候問題の第一人者とされてきたビル・ゲイツ氏も昨年、「終末論的」シナリオを否定して運動に衝撃を与えた。
ニューヨーク州のホークル知事(民主党)は、2030年の野心的な排出削減目標の先送りを求め、住民や企業に「新たな重い負担」を強いることなく達成するのは不可能だと主張している。
スウェーデンのグレタ・トゥンベリ氏でさえ関心を気候変動から移している。
トゥンベリ氏は世界で最もよく知られる気候活動家だが、パレスチナのガザ紛争など別の問題に軸足を移し、先月にはキューバのカストロ共産政権の擁護者として再び姿を現した。
何が起きているのか。米環境保護局のゼルディン長官は8日、ワシントンで開かれたハートランド研究所の第16回国際気候変動会議に出席し、参加者に賛意を示した。この会議は気候変動に対する懐疑派や現実主義者が参加する年次会合だ。
ゼルディン氏は、満員となった会合「クライメット・リアリズム・ライジング(気候現実主義の台頭)」の参加者に「本日、ここワシントンに集まった皆さんにとって、今この瞬間は祝うべき時だ」と語った。
「これは正しさが証明されたことを祝う日だ」と同氏は強調した。
気候変動対策運動を批判する人々は、運動は自壊へと向かっているとみている。20年にわたって悲観的な警告を発し、温室ガス排出削減に何兆ドルも費やしたにもかかわらず、地球の気温に測定可能な変動がほとんど見られないためだ。
穏健派のコペンハーゲン・コンセンサス・センターのビヨルン・ロンボルグ所長は先週、「世界的なグリーン転換」に約14兆ドルが費やされたが、成果はあまり出ていないと語った。
温室ガスの排出量は2025年に過去最高を更新した。主に中国、インド、アフリカの経済成長が要因で、豊かさを求める途上国の排出増が先進国の削減分を上回っている。
「クライメット・ポーン(気候ポルノ)―人口削減を叫ぶ狂信者たちは、米国の資本主義・自由・独立を標的にしながら、いかに、なぜ科学を捏造したか」の著者ケビン・ムーニー氏は、「予測と現実の間に大きな隔たりがあることに、一般の人々がようやく気付き始めた」と指摘した。
各州が太陽光や風力に転換し、排出ゼロを目指す中で、エネルギー価格は上昇し、米国民はその費用対効果を見極めようとしているという。
ムーニー氏は「地球にわずかな影響しか及ぼさないかもしれないもののために、多額の資金を費やし生活を変えるのか」と問いかける。
先頭に立つのがトランプ氏だ。気候変動を「でっち上げ」と訴え、そのための政策の撤回を政権の中核に据えている。
トランプ氏は今年、気候変動対策運動の2つの柱を攻撃し、運動に壊滅的な打撃を与えた。二酸化炭素(CO2)を有害物質とした2009年の環境保護局の「危険性認定」と、1992年の国連気候変動枠組み条約だ。
トランプ氏は1月、枠組み条約から離脱を表明した。24年前に承認されたこの条約は、国際的な気候変動協力の枠組みを生み出し、2015年のパリ協定につながった。トランプ政権は、パリ協定からも既に離脱している。
2月には環境保護局がCO2を有害物質とする認定を撤回する最終規則を発表し、温室ガス規制の法的根拠を覆した。
これに対し民主党の州司法長官24人が先月、提訴し、政権は気候危機への対応を怠り国民を危険にさらしていると批判した。
ニューヨーク州のレティーシャ・ジェームズ司法長官は3月20日の声明で、「トランプ政権は、国民が現実に向き合うのを支援せず、否定する道を選んだ。気候変動への連邦政府の対応の基礎をなす重要な保護措置を撤廃した」と述べた。
しかし民主党にとっての現実は、左派の間で気候変動の優先順位が低下していることだ。不法移民やイラン攻撃、ガザ紛争、富裕層課税など他の問題が前面に出ている。
「建設的なあしたのための委員会」の気候関連サイト「クライメット・デポ」を運営するマーク・モラノ氏は、トランプ政権を「気候政策を根底から解体した最も重大な存在」と評した。
「25年以上、気候変動への取り組みを見てきたが、これほどの事態は初めてだ。トランプ氏は、気候変動対策運動の基盤すべてを骨抜きにしている。富豪らは気候変動に関して、黙り込み、主張を変え、民主党議員ですら、ほとんどが沈黙している」と指摘した。
「ゼルディン氏が気候変動対策活動を『カルト』『詐欺』『宗教』と呼んでも、報道機関は一切声を上げない」
気候団体は、温暖化が依然として懸念事項であることを示す世論調査を挙げている。2025年のギャラップ調査では、気候変動が「深刻な脅威」だと答えた人は48%で、1997年の25%から増加した。
しかし水面下で民主党議員らは、2026年の中間選挙に向けて気候問題から一定の距離を置くよう助言を受けている。
リベラル系シンクタンクのサーチライト研究所は、激戦州の有権者にこの問題が響いていないとの調査結果を理由に、民主党候補に対し「気候変動」という言葉の使用を控えるよう警告した。
同研究所が9月にまとめた分析「気候変動を解決するための第1のルールは、気候変動と言わないこと」によると、激戦州の有権者で気候変動を最重要課題とするのは6%にとどまった。
同研究所は「激戦州の有権者の多くは気候変動が問題であることには同意しているが、優先事項ではない。気候対策の一部は一定の支持を得ているものの、米国民は気候よりもエネルギー価格の方をはるかに重視している」と指摘した。
こうした反動は、気候変動運動の契機となったアル・ゴア元副大統領主演のアカデミー賞受賞ドキュメンタリー映画「不都合な真実」の公開20年とも重なる。
しかし気候活動家にとって不都合なのは、その多くの破滅的予測が現実と一致していない点だ。とりわけ大規模自然災害の増加予測が当てはまっていないとされる。
ロンボルグ氏が2026年5月号のナショナル・レビュー誌で引用したデータによると、ホッキョクグマの個体数は増加し、ハリケーンの発生頻度はわずかに減少、森林火災の焼失面積は世界で25%減少し、自然災害による死者数は過去100年で97%減少した。
オカシオコルテス下院議員(民主党、ニューヨーク州)が2019年に「気候変動に対処しなければ12年で世界は終わる」と警告した発言も、現実との乖離が指摘されている。
ムーニー氏は、「ディナイアー(否定論者)」とレッテルを貼られるリスクを負いながらも、地球温暖化を前提とした議論に疑問を投げかける研究を発表してきた科学者や分析者の功績を評価した。
同氏は、問題は気温上昇そのものよりも、中央集権的な支配の拡大にあると主張、気候運動が衰退した場合でも、別の集産主義的運動が台頭する可能性があると指摘した。
「この闘いはしばらく続くだろう。気候でなければ、別の形で集産主義や左派の動きが現れる」
一方でトランプ政権には現在の路線の継続を促した。
ムーニー氏は「トランプ政権の国内での最大の成果は、気候変動産業複合体の解体だ。私の見方では正しい方向に進んでいる。運動が完全に終わったとは言わないが、終末期にある」と述べた。
