北極海で中国「調査」船の活動が活発化-沿岸警備隊

2017年7月22日土曜日、カナダ北極群島のフランクリン海峡を北西航路で通過するフィンランドの砕氷船MSVノルディカの航跡に残された氷の道。米国防総省の北極に関する新戦略によると、中国とロシアは北極圏における経済・安全保障活動を活発化させており、米軍は北極圏におけるあらゆる脅威に対抗するため、複数の作戦を準備している。(AP Photo/David Goldman)
By Mike Glenn – The Washington Times – Tuesday, August 12, 2025
中国の砕氷船がアラスカ近くの北極海域で活動している。米沿岸警備隊が監視しているが、長年「北極に近い国」を自称してきた中国としては前例のない動きだ。
米沿岸警備隊の輸送機C130は先週、ベーリング海で北東に航行している中国船2隻を発見、「済迪」と「中山大学済迪」であることを確認した。その後、沿岸警備隊の巡視船ウェイシーが、中山大学済迪が北極海のチュクチ海を北に向かっているのを確認した。
沿岸警備隊の北極地区当局者は、別の中国の調査船「雪龍2号」が、米国最北のコミュニティーであるウトキアグビクの北290海里(約540キロ)で発見されたという報告を調査するために、アラスカのコディアック基地からC130を派遣した。
沿岸警備隊のこの活動は、アラスカと米国の北極海周辺で活動する不審船などに対応するための「フロンティア・センチネル作戦」の一部だった。
当局者は声明で「米沿岸警備隊の対応は、悪意のある活動に対抗し、主権的利益を守り、国際法と規範に沿った海洋行動を促進するためのものだ」と述べた。
沿岸警備隊当局者によると、北極海の米近海で中国のいわゆる調査船の活動が活発化しており、今回発見された中国船も、その一部だと述べた。
この当局者は「昨年も中国の調査船3隻がベーリング海峡北方で調査活動を行った」と述べた。
米国は砕氷船の装備では、ロシアや中国の砕氷船に大きく後れを取っている。ロシアは数十隻、中国は少なくとも5隻保有している。沿岸警備隊が運用している、高緯度で活動できる船は「ヒーリー」と「ポーラースター」の2隻だけだ。沿岸警備隊が取得していた極地で活動可能な洋上掘削リグ敷設支援船の改修が終わり、10日に砕氷船「ストーリス」として就役した。沿岸警備隊の砕氷船の導入は四半世紀ぶりだ。
沿岸警備隊は、1965年に海軍が艦艇を引き渡した際に、砕氷船の任務を引き継いだ。関係者によると、沿岸警備隊は先月、トランプ大統領の減税法「大きな美しい法」から思いがけない恩恵を受け、極地および非極地で活動できる砕氷船を少なくとも17隻建造することができるようになった。
中国は、北極を地政学的に重要な地域とみなしており、長期的にその重要性が強まっていくことは間違いない。シンクタンク、ドイツ国際安全保障問題研究所のマイケル・ポール上級研究員は、中国政府はこの地域を利用して、世界への野心を試し、そこで新たな規範が受け入れられるかどうかをみていると述べた。
ポール氏は研究所に最近寄稿した論文の中で「北極は南極ほど規制されていないため、良い実験場となっている。中国は、北極圏諸国に懸念を抱かせることなく、独立したプレーヤーとしての地位を拡大しようとしている」と指摘した。
中国の砕氷船隊が発見された北極圏では、米軍の多領域合同演習「アークティック・エッジ(AE)2025」が実施されている。AEは、毎年、アラスカ州の複数の場所で実施される。
米北方軍当局者は先月、「AE2025は、北極での即応性の向上、能力の実証、同盟軍と統合軍の相互運用性の強化を目的としている。また、英国、デンマーク、およびアラスカ州兵、FBI(連邦捜査局)、米沿岸警備隊、NOAA(米海洋大気局)、アラスカ州、地方の法執行機関、アラスカ先住民コミュニティーなどの各機関・組織を越えたパートナーも参加している」と明らかにした。