中国の「人道に対する罪」を非難、少数派が標的に-米人権報告

(2025年8月18日)

2021年4月23日、中国西部の新疆ウイグル自治区大番城にあるウルムチ第3拘置所の周壁に立つ監視塔。中国が新疆ウイグル自治区西部でウイグル族をはじめとするイスラム系民族を差別的に拘束していることは、人道に対する罪にあたる可能性があると、国連人権事務所は2022年8月31日水曜日に発表した待望の報告書で述べた。(AP Photo/Mark Schiefelbein, File)

By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, August 14, 2025

 国務省の人権に関する年次報告書によると、中国の共産政権は少数民族や宗教団体への「ジェノサイド(集団殺害)と人道に対する罪」に関与した。

 中国西部のイスラム教徒ウイグル族や、最西端の新疆ウイグル自治区に住む他の民族的、宗教的少数派がジェノサイドの標的となっていた。

 最新報告については、米国に友好的な国々での人権侵害に対して甘いのではないかという批判がある一方で、中国での迫害に対しては依然、厳しい評価を下している。

 「重大な人権問題としては、恣意的または違法な殺害、失跡、拷問や残虐な、非人道的な、または自尊心を傷つけるような待遇や処罰、自発的でないまたは強制的な医療行為や心理学的行為、政府による恣意的な逮捕や拘禁などが報告されている。2017年以降でも、100万人以上のウイグル人や、超法規的な措置で収容所や刑務所に収容された他の主にイスラム教徒の少数民族がその対象となっている」と年次報告書は指摘している。

 さらに「再教育」訓練を受け、国外で弾圧行為を受けたという個人もいるが、その数は把握されていない。

 中国はまた、ジャーナリスト、弁護士、作家、ブロガー、反体制派、請願者などの不当逮捕や刑事訴追、インターネットの自由の制限など、表現の自由や報道の自由に深刻な制限を課している。

 宗教弾圧では信教の自由が制限され、人口増加の促進を求める中国の新たな政策にもかかわらず、中絶の強要や不妊手術の強制の例も報告書に記されている。

 また、中国は人身売買や強制労働にも関与しており、その中には「最悪の形態の児童労働」も含まれていると報告書は指摘した。

 中国政府は、これらの広範な人権侵害に関係している当局者を特定し、処罰するための措置や行動を取っていない。

 中国国営メディアは、新疆ウイグル自治区でのジェノサイドについて、報告書が「根拠なく中国を批判している」と主張している。

 チャイナ・デイリー紙は「米政権が本当にイスラム教徒の人権を気にかけているのなら、なぜガザの地獄を見て見ぬふりをするのか」と米国の非難に反論した。

 国務省は今週の報告書発表に際して、最新報告は、冗長な部分を削除し、読みやすさを向上させ、立法措置に対応するために再編成されたと強調した。

 タミー・ブルース報道官は、新しい報告書はもはや「政治的に偏った要求や主張の拡大リスト」ではないと述べた。

 超法規的殺人をめぐっては、昨年、政府情報員が恣意的かつ不法に殺人を犯したとする報告が浮上したと報告書は述べている。

 新疆ウイグル自治区での一件では、中国メディアが昨年、2018年に新疆ウイグル自治区の警察官8人が、警察に拘束されていた民間人である孫仁澤さんを拷問し、最終的に死亡させたとして裁判にかけられていると報じたが、すぐに削除された。

 監視カメラの映像には、水責めなどの拷問が記録されていたという。

 報告書によると、新疆ウイグル自治区では他にも、収容所で公式に拘束された人々が死亡する事例があったという。

 中国政府は新疆ウイグル自治区でのウイグル人虐殺を否定している。

 国務省は当初、2021年にジェノサイドを宣言した。

 中国は2024年、強制的な人口抑制を行っている。結婚している夫婦の子供は、2021年には2人までだったが、3人に緩和された。

 政府の条件を満たせば、4人目の子供をつくることができる。

 戦争犯罪と人道に対する罪のセクションでは、新疆ウイグル自治区での「脱過激化」プログラムについて指摘している。このプログラムのもとでは、過激主義を広く解釈し、100万人以上のウイグル人、カザフ民族、キルギス人などのイスラム教徒を再教育施設や拘置所に収監している。

 強制再教育プログラムは、愛国心を植え付け、現地の宗教的、文化的、民族的アイデンティティーを消し去るものだ。

 これらの収容所に収容された被害者の多くは、報告書によれば、非公開裁判で偽りの罪状に基づく有罪判決を受け、刑務所に移送され長期服役を余儀なくされた。

 中国政府はまた、「少数民族、特にウイグル族に対する人種差別と制度的差別を助長し、その結果生じた訴えを軽視・否定し、民族文化や宗教の平和的表現を取り締まっている」と報告書は指摘する。

 中国はまた、憲法で保障されているにもかかわらず、言論、報道、集会の自由を否定している。

 中国共産党当局は、すべての印刷物、放送、電子メディア、ソーシャルメディアを厳しく管理し、政府の見解や中国共産党のイデオロギーを宣伝するために利用している。

 また、特に1989年の天安門事件の記念日前後や、新型コロナウイルスの感染拡大に対する中国の誤った対応などに対して広範な検閲が行われる。

 広範囲に電子監視機器が設置され、中国共産党の厳格な検閲に違反したことが分かると、その人とその家族に対して懲罰的措置がとられる。

 中国の新聞編集者、董玉余氏は、ホテルで日本の外交官と会った後、スパイ活動の容疑で起訴され、懲役7年の刑を受け投獄された。

 当局は無数の市民を「フェイクニュースの流布」「違法な情報発信」「ネット上での風説の流布で逮捕または拘束した。

 「これらは、政治的見解の共有や、『宗教的過激主義』の宣伝から、公衆衛生上の懸念に関する事実に基づいた報告の共有まで多岐にわたった」

 中国共産党の検閲は、習近平国家主席に関して特に厳しい。ネットユーザーが習主席への間接的な批判として、くまのプーさんのアニメキャラクターを使用した後、検閲官はソーシャルメディア上の画像を直ちに削除した。

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