「ドンロー主義」成果誇るトランプ氏 長期的成果には疑問も

2026年1月21日(水)、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会で、グローバルビジネスリーダー会議の演説に先立ち、ステージ上に立つドナルド・トランプ大統領。(AP Photo/Evan Vucci)
By Jeff Mordock – The Washington Times – Sunday, January 25, 2026
トランプ大統領は、1800年代初頭以来見られなかった拡張主義へと米国を導いている。領土と影響力を拡大し、西半球、ひいては世界の大半が米国のものだとする強固な信念に基づくものだ。
これは「ドンロー主義」と呼ばれ、ベネズエラ政権の打倒や、グリーンランドでの米国のプレゼンスを強化する枠組み合意につながったほか、戦禍に見舞われたパレスチナ自治区ガザを、米国の影響力が色濃く反映されたリゾートの拠点へ変える可能性すらある。
トランプ氏は、そこで立ち止まるつもりはない。
トランプ氏は、パナマ運河の支配権を取り戻すことや、カナダを51番目の州にすることに繰り返し言及してきた。直近では、キューバは「もうすぐ崩壊する」と述べ、コロンビア大統領の在任期間も残りわずかだと宣言した。
トランプ氏の戦略は複雑で、さまざまな要因が絡み合うが、目指すところは1つだ。国の安全保障と経済力の障害とみなしたものを取り除き、西半球全体に無制限に影響力を行使することにある。
国務省は、今月初めに米軍がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を権力の座から排除した数時間後、SNSで簡潔に総括した。
「ここはわれわれの半球であり、トランプ大統領はわれわれの安全が脅かされることを許さない」
ホワイトハウスは一連の動きを無条件の成功と位置付けている。政府当局者によれば、ベネズエラでの作戦は米国人の犠牲を出すことなく、違法薬物の流入量を減少させたという。一方、ガザに関する計画は「地域全体に完全な安全と繁栄をもたらす」と主張している。
トランプ氏は、グリーンランドに関する枠組みが、氷に覆われた島への「完全なアクセス」を米国にもたらすと称賛した。
しかし批判派は、拡張主義的な思想が金融市場を混乱させ、同盟国との対立を強めた割に、成果が乏しいと指摘する。
米新安全保障センターのジム・タウンゼンド上級研究員(大西洋横断安全保障担当)は「米国にとって価値ある実質的な成果は何も得られていない。はったりと虚勢ばかりで、カナダやNATO(北大西洋条約機構)といった重要な国々との関係など、価値あるものを損なう結果になっている。誰もわれわれを信頼しなくなる」と語った。
トランプ氏の拡張主義的な政策は、19世紀末にキューバ、ハワイ、プエルトリコ、フィリピン、米領サモアを併合したマッキンリー大統領に触発されている可能性がある。関税、官僚組織の縮小、移民の制限もマッキンリーと共通する。
トランプ氏は、自身の拡張指向をモンロー主義の現代版としてきた。モンローは1823年、特に中南米の欧州による植民地化を防ぐため、この原則を打ち立てた。
昨年末に公表されたホワイトハウスの国家安全保障戦略は、「西半球における米国の優越性を回復する」ため、モンロー主義に対する「トランプ補論」を含む拡張計画を示した。
モンロー主義は、1904年のルーズベルト補論の基礎にもなり、米国が他国に介入する警察的権限を担う考え方を提示した。
ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン氏は「ホワイトハウスは、ルーズベルト補論を想起させるトランプ補論について語っている。ルーズベルト補論は土地の取得ではなく、影響力の行使が主眼だった」と指摘した。
トランプ氏はこの考えを取り込み、「ドンロー主義」と呼び始めた。本人は、モンロー主義を「大きく」上回ると語っている。
一部には、こうした野心が、海外紛争に関与しないという選挙公約に反するとみる向きもある。2024年の選挙戦でトランプ氏は、「終わりなき戦争」を終わらせ、対外関与を減らし、「米国第一」を掲げた。
シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」の軍事分析担当ディレクター、ジェニファー・カバナ氏は、トランプ氏の行動は公約とは矛盾していないと述べた。
「彼は長期の海外紛争に米国を巻き込まないと訴えたが、軍事力を使わないとは言っていない。第1次政権から、抑制的でも孤立主義でもなかった。軍事力の行使に非常に前向きだった」
ところがトランプ氏は、ロシアや中国といった軍事大国との深刻な衝突は避けてきた。ウクライナへの関与拡大から退き、中国の台湾を巡る威嚇にも曖昧な姿勢を取っている。
カバナ氏は「イラン空爆、ベネズエラでのマドゥロ拘束、グリーンランドへの圧力など、米国に反撃できない相手に圧倒的な軍事力を使うのがトランプ氏だ」と指摘する。
専門家は、グリーンランドとベネズエラを巡る行動で何が得られ、何を失うのか、その評価はなお不透明だとみる。
オハンロン氏は「ベネズエラの石油やグリーンランドの鉱物を手にするには時間がかかる。一方で欧州との関係では大きな代償を払い、最悪のいじめっ子のように見られた」と語る。
1951年のグリーンランド防衛協定は、恒久的な米軍駐留を含む多くの利点を既に認めている。
同氏は「この協定で望むものは得られたはずだ。だが同盟国を威圧し、なりふり構わず粗野に振る舞うことで手に入れたものだ」と述べた。
グリーンランド獲得を巡る目まぐるしいやり取りの末、トランプ氏は、デンマーク王国の自治領であるこの島での米国の影響力拡大に向けた枠組み合意に達した。
合意前には、武力による取得を示唆し、NATO同盟国同士が対立するという、かつて考えられなかった事態を招いた。反対する欧州諸国への関税も示唆したが、最終的に撤回した。
交渉は流動的だが、グリーンランドへの米軍増派、欧州による北極圏の安全保障強化、グリーンランドの鉱物への投資に対する米国の先買権付与などが含まれる見通しだ。
トランプ氏は合意を「本当に素晴らしい」と称したが、詳細は明らかにされていない。
世界最大級の埋蔵量を誇るベネズエラの石油へのアクセスを米企業に与える形で、石油産業の再編を図っている。
米軍は同国を急襲し、マドゥロ夫妻を拘束して米国へ移送、麻薬テロ容疑で起訴した。制裁対象の石油を運ぶタンカーの拿捕や、地域での前例のない軍事増強も行われた。
エクソンなどは、政情不安とインフラ不足から計画の実現性に疑問を呈しているが、トランプ氏は、石油販売で米国は恩恵を受けると述べた。
トランプ氏は「ベネズエラは繁栄し、米国民は大きな利益を受け取る」と語っている。
