黄海巡る米中緊張で韓国が窮地

新華社通信が2021年12月31日に公開した日付不明の写真。黄海から東海、西太平洋にかけての海域で行われた公海戦闘訓練中、中国海軍の遼寧空母から艦載戦闘機J-15が離陸する様子。(胡山民/新華社=AP通信)
By Andrew Salmon – The Washington Times – Sunday, February 22, 2026
【ソウル(韓国)】中国を巡る軍事的な緊張が高まり、中日米が激しく火花を散らす一方で、韓国は蚊帳の外だ。その足並みの乱れが、米韓同盟にとって深刻な問題になる可能性がある。
これらの動きから、海軍力や航空戦力による挑発の応酬が続く地域の緊迫した戦略環境の中で、米国が新たな「戦線」を開いたのではないかという見方が出ている。
中国は台湾海峡を他国の艦艇が通過するたびに不快感を表明してきた。南シナ海で中国が造成した基地周辺での「航行の自由」作戦や「飛行の自由」作戦にも反発している。
先週、在韓米軍機が韓国の基地から黄海上空に出撃した。中国が警戒を強めている海域であり、中国人民解放軍の能力を試す新たな米主導の動きとの見方が出ている。
近年の空中でのにらみ合いは東シナ海、南シナ海、日本海、台湾海峡で発生してきた。人民解放軍空軍にとって、黄海は本土に近く、より敏感な海域だ。
黄海沿岸を中国、北朝鮮と共有する韓国にとって、外交上の難題が浮上している。
中国との緊張が高まる中、日米関係は一段と緊密化している。だが韓国は、トランプ米政権との関係を調整する一方で、最大の貿易相手国、中国との関係も和らげようと、綱渡りを強いられている。
高市早苗首相が昨年11月、台湾有事の際に自衛隊が米軍を支援する可能性を示唆して以降、日中関係は悪化した。中国は日本を非難したり、輸出入を制限するなどして対抗したが、2月の総選挙で高市氏率いる与党が大勝し、対中強硬姿勢や対米安全保障協力強化の基盤を固めた。
2月16日、18日、日本の戦闘機11機と米軍のB52戦略爆撃機4機が東シナ海と日本海上空で共同訓練を実施した。韓国も参加を打診されたが、2月16日から18日まで旧正月連休だったこともあり参加しなかったと報じられた。
また18日には、在韓米軍のF16戦闘機が黄海上の中国防空識別圏(ADIZ)に接近した。ADIZは国際法上の根拠はないが慣行として各国が設定している。中国と韓国のADIZは重複している。中国側は戦闘機を緊急発進させたが、衝突は報告されていない。
韓国の聯合ニュースによると、韓国の安圭伯国防相と陳永承合同参謀議長(大将)は、作戦の全容について十分な説明がなかったとして、在韓米軍のエグゼビア・ブランソン司令官(大将)に抗議した。
黄海は中国にとって戦略的要衝だ。首都北京に最も近い海域で、大連の空母建造施設、葫芦島の原子力潜水艦造船所、青島の北部戦区海軍司令部などが並ぶ。
2018年、米軍は在韓戦力の大半をソウルおよび南北軍事境界線付近から、黄海沿岸の複数の基地へ移転した。これらは台湾防衛の要である「第一列島線」内にある唯一の米軍の拠点で、中国抑止に適している。一方で、韓国にとっては対中関係を考慮すべき敏感な配置でもある。
在韓米軍約2万8000人の主たる戦略目標を「対中抑止」に据えるトランプ政権の方針が鮮明になる中、北朝鮮抑止の負担を韓国により多く求める姿勢も強まっている。在韓米軍を域内全体で柔軟に運用する構想は「戦略的柔軟性」と呼ばれる。
昨年就任した李在明大統領にとっては難題だ。トランプ米大統領との会談では称賛や贈答で良好な関係を演出する一方、中国の習近平国家主席とも2度の首脳会談を行っている。
この地域専門家は、黄海への米国の新たな焦点に驚きを示す。韓国軍の全仁釩退役中将は「過去50年、国際空域であっても中国への配慮から同海域での訓練は控えてきた」と指摘し、「もはや選択の余地は狭まりつつある」と語った。
2017年、在韓米軍が高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備した際、中国は韓国企業への制裁や観光制限、Kポップやドラマの輸入停止などで対抗した経緯がある。
米国は同盟国に関税圧力や防衛費増額要求を強めており、韓国の政財界にとっても不安材料だ。韓国は最終的にどの方向に軸足を置くのか、難しい判断を迫られている。
