イラン核施設「壊滅」か「再建」か 米の主張に矛盾

オマーンのサイード・バドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相(右)が、2026年2月26日(木)、スイス・ジュネーブで、進行中のイラン・アメリカ交渉の一環として、ホワイトハウス特使のスティーブ・ウィトコフ(中央)およびジャレッド・クシュナーと会談した。(AP通信経由 オマーン外務省提供)
By Ben Wolfgang and Vaughn Cockayne – The Washington Times -Wednesday, February 25, 2026
トランプ大統領は、昨年の米軍の空爆によってイランの核開発計画は「完全に壊滅(obliterate)した」と主張している。
しかし、トランプ氏のスティーブ・ウィトコフ特使は最近、イランは核爆弾1発分に十分な濃縮ウランを保有するまであと約1週間の段階にあると述べた。
どちらが事実なのか。
トランプ氏は24日の一般教書演説でも改めて、イランの核計画を一掃したと主張した。しかし、その主張は現地の状況や各国の安全保障専門家、イラン問題の専門家の共通認識とは食い違っているようにみえる。最近の報道や衛星画像は、イランの主要核施設の少なくとも一部が依然として存在し、さらなる米軍の爆撃に耐えられるよう強化工事が進められている可能性を示している。
トランプ氏が誇張している可能性を示す最大の証拠は、政権の行動そのものかもしれない。米交渉団は26日、ジュネーブでイラン側と会談する予定で、イランの核開発、特に国内でのウラン濃縮能力に新たな制限を課すことなどを目指す。
専門家らは、昨年6月の米軍による攻撃でイランの核計画が完全に破壊されたとの主張は当初から正確ではなかったと指摘している。
中東研究所のイラン担当ディレクター、アレックス・バタンカ氏は「昨夏に完全に破壊されたという考えは明らかに間違っている。当初から攻撃の成功度には疑問符がついていた。再び関与しようとしていること自体、トランプ政権もその評価に確信を持っていないことを示している」と述べた。
ロイター通信などは衛星画像を根拠に、イランがイスファハンの核研究施設の修復と補強を進めていると報じた。この施設は長年、核計画の中核と考えられてきた。
また、科学国際安全保障研究所の最新のデータによると、イランは「ピックアックス山」として知られる施設の大規模地下トンネル群も強化しているという。ここも主要核施設と広くみなされている。
イスファハンはフォルドゥ、ナタンズ両施設とともに、昨年6月の「ミッドナイトハンマー作戦」の標的となった。地下深くに埋設された施設の破壊を狙って、B2ステルス爆撃機が強力なバンカーバスター爆弾を投下した。
攻撃後、作戦の実際の効果と長期的成果を巡って激しい議論が続いている。国防情報局(DIA)の初期被害評価が報道機関に流出し、攻撃はイランの核計画を数カ月遅らせただけだと結論づけていたことも問題を複雑化させた。
報告書作成当時のDIA長官ジェフリー・クルーズ中将は、2カ月後にヘグセス国防長官によって解任された。
下院外交委員会のマイケル・マッコール委員長(共和、テキサス州)はポッドキャストで、攻撃はイランの計画を「1~2年」遅らせたと述べた。他の共和党議員も、攻撃を強く支持しつつも、核計画は壊滅していないと認めている。
イランの核計画を巡る議論は重要な局面に差し掛かっている。米国は中東地域に大規模な軍事力を集結させ、即座に攻撃可能な態勢を整えているようだ。
この軍事力増強は、先月イランで発生した大規模反政府デモと、それに対する強硬派イスラム政権による弾圧を受けて始まった。このデモで数千人もの死者が出たとみられている。
騒乱は再び激化している。反体制組織「ムジャヒディン・ハルク(MEK)」は今週、自らの戦闘員がイラン最高指導者ハメネイ師のテヘラン・パスツール通りの本部を攻撃したと発表した。ただし、確認は取れておらず、写真や映像も示されていない。MEKは「ハメネイ師の施設内で敵側に大きな被害が出た」と主張している。
ホワイトハウスは昨年6月以降、「イランの核施設は壊滅した――それ以外の主張はフェイクニュース」と題するページを掲載している。トランプ氏は24日夜も同様の主張を繰り返す一方で、イランが核兵器を取得しないよう追加攻撃も辞さない姿勢を示した。
トランプ氏は「ミッドナイトハンマーの後、再建を試みないよう警告したが、彼らは続けている。われわれはそれを一掃したが、彼らはまた始めようとしている。私は外交で解決したいが、世界最大のテロ支援国家が核兵器を持つことは決して許さない」と述べた。
イラン外務省報道官エスマイル・バガエイ氏は、トランプ氏が「偽情報キャンペーン」を展開していると非難した。
ホワイトハウスのレビット報道官も24日、「ミッドナイトハンマーはイランの核施設を壊滅させた」と述べる一方で、「イランが再び核計画を確立しようと試みないとは限らない」とも語った。
オックスフォード英語辞典によれば、「obliterate」は「完全に破壊する」「一掃する」を意味する。
標的となったフォルドゥやナタンズの施設が大きな被害を受け、事実上使用不能になった可能性は高い。しかし、問題は攻撃前に濃縮ウランや重要機材が移送されたかどうかだ。
作戦直前の衛星画像には、フォルドゥの施設で多数のトラックが確認されており、ウランが国内の別の地下施設へ移送された可能性が指摘されている。
国際原子力機関(IAEA)の攻撃前のデータでは、イランは約900ポンド(約400キロ)の60%濃縮ウランを保有していた。兵器級の90%濃縮までは技術的にあとわずかだ。
現在もイランの状況はほぼ変わっていないとみられている。
ウィトコフ氏は先週、イランは核爆弾1発分に十分な濃縮ウランを得るまで約1週間だと述べた。
ウィトコフ氏は26日、ジュネーブでイランとの会談を率いる見通しだ。イランのアラグチ外相は、協議は核問題に限定されていると述べている。
イランは、国際法上、ウラン濃縮の権利を有すると主張し、核計画は平和目的だとしている。また、米軍の軍事的脅威の下で核計画を放棄することはないとも強調している。
イラン側は、これまでの2回の交渉は建設的だったとしつつ、包括的合意にはなお時間がかかるとの認識を示している。
