米国に再びテロの脅威をもたらすアルカイダ
By Mike Glenn – The Washington Times – Wednesday, August 25, 2021
バイデン米政権幹部は、イスラム主義組織タリバン統治下のアフガニスタンで国際テロ組織アルカイダが復活する脅威を軽く見ている。
だが、安全保障専門家や元米軍幹部、議員、さらには国連からも、タリバンがカブールで権力を取り戻した今、テロリストたちがより活発になるとの見方が出ている。
「テロリストたちはタリバン指導部の下で勢力を拡大するだろう。もはや隠れる必要がない」。戦争研究所会長のジャック・キーン元米陸軍大将は、こう指摘した。ワシントンにあるタカ派シンクタンクである同研究所は、米国が主導してきた対テロ戦争の進展を詳しく分析していることで知られる。
キーン氏は最近、FOXビジネスに出演し、タリバン統治下のアフガンは、2001年9月11日の米同時テロ攻撃に至るまでの期間のように、再び世界のジハード(聖戦)戦士を引き付ける磁石になるとの見通しを示した。「アフガンはやって来たい者が集まる中心地になるだろう」と、キーン氏は主張した。
アフガンでアルカイダの「残党」が今後数カ月間で息を吹き返す可能性について、驚かされるのは、キーン氏の分析が厄介な問題を避けようとするバイデン政権と対照的であることだ。
バイデン大統領は、海軍特殊部隊SEALS(シールズ)が10年前に隣国パキスタンで、米同時テロの首謀者でアルカイダの創設者ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害したため、米軍がアフガンに残る意味はないとの見解を示した。さらに、アフガンのアルカイダはもはや活動していないとまで主張した。
「アルカイダが消えた現時点で、アフガンに(残ることに)何の利益があるのか」。バイデン氏は20日にホワイトハウスで行った記者会見で、報道陣にこう尋ねた。
この発言に対し、地域の専門家から異論が出たため、バイデン氏の側近たちは、大統領の発言について釈明を試みた。
「アルカイダのメンバーや残党はアフガンにいるのか。その答えはイエスだ」。アントニー・ブリンケン国務長官は22日、FOXニュースでこう語った。その上で、大統領の発言はアルカイダはもはや米国に大規模攻撃を仕掛ける能力はないという意味だ、と主張した。
「大統領が言及したのは、米同時テロを仕掛けたような(アルカイダの)能力のことだ」とブリンケン氏。「その能力をそぐことには大きく成功した」
タリバンは、バイデン氏が自ら課した米軍のアフガン駐留終了期限である8月31日までに、米国が主導する退避作戦を終わらせるよう求めている。国防総省高官は、それまでの退避完了に自信を示している。国防総省幹部はまた、米軍は「水平線超え」対テロ作戦をフルに実行できるため、アフガンにはもはや兵力は必要ないと主張した。
だが、トランプ前大統領の国家安全保障担当補佐官だったH・R・マクマスター元陸軍中将は、米軍はアフガンに呼び戻される可能性が高いとの見方を示した。オバマ政権時代にイラクから撤退した米軍がイラクに戻ったのとほぼ同じ理由からだ。
「水平線超え対テロ作戦はうまくいかない。それははかない夢だ」。マクマスター氏は23日、ハドソン研究所での討論会でこう指摘した。「これは終わりなき戦争ではない。米国に対する終わりなきジハードだ」
国連安全保障理事会の報告書によると、アルカイダ主要幹部の大部分はアフガンとパキスタンの国境にとどまっている。また、アフガン全土にかなりの数のアルカイダ戦闘員がおり、タリバンと密接に連携しているという。