タリバン支配下で宗教的少数派が「急速に縮小」
By Mark A. Kellner – The Washington Times – Wednesday, October 6, 2021
アフガニスタンの宗教的少数派のコミュニティーが、8月15日にイスラム主義組織タリバンが首都カブールを支配下に置いて以降、「急速に縮小」し、「ほぼ消滅」しようとしている―「米国際信教の自由委員会(USCIRF)」が6日、明らかにした。
USCIRFの6日の会合で、タリバンによる新政権下のアフガンの市民権、信教の自由をめぐって議論が交わされた。アフガンの新指導者らの多くは、国民にシャリア(イスラム法)を厳格に適用した1990年代後半のタリバン政権に参加していた。
USCIRFのナディーン・マエンザ委員長は、中央アジアの一国、アフガンの信教の自由の今後に関して開催したこのオンライン「対話」で、「アフガンの宗教的少数派、タリバンのイスラム解釈を受け入れない全アフガン人に危険が迫っている」と指摘した。
最大の被害を受けているのは、人口の約9%を占めるハザラ人。大部分がイスラム教シーア派で、アフガンの大多数を占めるスンニ派やタリバンとは宗教的慣行で違いがある。報道によるとタリバンは、ハザラ人の人権を尊重することを約束している。しかし、ハザラ人に対する犯罪行為が、タリバンが攻勢を強めた2021年に入って発生している。5月には、ハザラ人の女子高が爆破され、生徒十数人が死亡した。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは5日、「タリバン勢力は旧政府の治安部隊が投降したダイクンディ州で、17歳の女性を含む13人のハザラ人を殺害した」と発表、8月30日、「キディル地区カホール村でのことだった」ことを明らかにした。
マエンザ氏は、「タリバンは、イスラムの厳格な解釈を国民に押し付け、違う解釈、違う宗教、信仰を持つ全アフガン人にとって深刻な脅威となっている。タリバンは先月、2001年に解体された暴力的で強硬なイスラム取り締まり機関、勧善懲悪省を復活させた」と述べた。
USCIRFのフレデリック・デイビー委員はオンライン上の聴衆に、「タリバンはアフガン国民に厳しい宗教解釈を強制しており、女性、LGBTコミュニティー、宗教を持たない国民の信教の自由を侵犯している」と述べた。
一方で専門家らは、米国はタリバンに対し一定の影響力を行使できると指摘した。タリバンは、米国が支援して樹立し、現在国外に逃亡しているアシュラフ・ガニ大統領の政権が混乱の中崩壊したことを受けて、権力を掌握した。
「ルーテル移民・難民サービス」のクリシュ・オマラ・ビグナラジャ会長兼CEOは、「今、行使できる最も効果的な方法は二つ、資金と外交圧力ないしは承認だ」と指摘。バイデン政権は、女性と宗教的少数派に寛容な政策を取るという宣言をタリバンが守るまで経済支援を停止すべきだ訴えた。
米宗教・包括的社会平和研究所のパルワシャ・カラル暫定所長は対話で、米国と同盟国は連携して、改革と、個人と少数派の権利の尊重という、政権奪取前の約束をタリバンに守らせるべきだと主張した。