バイデン氏の歳出法案は進歩派の行動次第
By Valerie Richardson and Haris Alic – The Washington Times – Sunday, October 31, 2021
バイデン大統領は、支持率低下を受けて、すぐにでも政治的勝利を得たいと考えているが、その一方でリベラル派の有力議員らは31日、1兆7500億ドルの歳出法案は終着点ではなく、格好のスタート地点との見方を示した。
上院予算委員会のバーナード・サンダース委員長(バーモント州)は、有給家族・医療休暇、メディケアによる歯科・眼科保険のカバー、メディケアの薬価交渉など、ホワイトハウスが提出した法案から削除された項目を復活させようと、週末に電話で交渉したという。
サンダース氏は、CNNの「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、「あの法案をめぐる作業はきょうも行われている。あしたも行われる。進展があり、現状より強化できると思っている」と述べた。
民主党のロー・カンナ下院議員(カリフォルニア州)は、有給休暇やメディケアに関する条項に加えて、メタンガスの漏洩に対する手数料の追加など、「気候に関する部分はまだ交渉中だ」と述べた。
下院では、早ければ11月2日にも投票が行われる可能性がある。
カンナ氏はCBSの番組「フェイス・ザ・ネーション」で、極左勢力によって会保障や気候問題が追加されていない歳出法案を支持するかどうかを尋ねられたが、明確に答えなかった。
このような状況は、バイデン氏にとっては勇気づけられるものではなかった。バイデン氏は28日、欧州で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議と国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)閣僚級会合に出席したが、グリーンエネルギーに関する成果を手にすることなく参加せざるを得なくなったからだ。このことは、温室効果ガスの排出削減に関する米国の信頼性を損ない、バイデン氏のリーダーシップに対する懸念を強める結果となった。
31日に発表されたNBCニュースの世論調査によると、バイデン氏は、燃料費の高騰、インフレの進行、労働力や物資の不足、この夏の新型コロナウイルス感染者の急増、失敗に終わったアフガニスタン撤退の影響などに苦慮しており、支持率は悪い方向に向かっている。
23日から26日にかけて実施されたこの調査では、米国の成人の42%がバイデン氏の仕事ぶりを支持し、54%が不支持だった。
8月の支持49%、不支持48%から大きく低下。4月の調査では、支持は53%、不支持39%だった。
民主党の世論調査機関ハート・リサーチのジェフ・ホーウィット氏は、「4月以降、バイデン大統領に対する評価が急激に下がっていった。バイデン大統領が約束した知識、能力、困難な状況での安定は、すべて疑問視されている」と述べた。
調査対象者のうち、バイデン氏に「大統領としての能力と効果」について5段階評価で高い評価を与えたのは37%のみ。また、50%が「悪い」と評価した。
ほとんどの世論調査でバイデン氏の支持率は低下しており、政権がイメージアップのために議会での勝利を必要としていることは明らかだ。
バイデン氏は28日に議会を訪れ、威信をかけて、当初の3.5兆ドルの法案を半減させた妥協案を発表した。
欧州では、29日にバチカンでフランシスコ教皇と会談した。
スコットランドのグラスゴーで開催された気候変動サミットの前に、バイデン氏がローマでG20諸国の首脳と会談している間、政権の高官らは31日、調整に奔走していた。
ピート・ブッティジェッジ運輸長官はCNNで、「これまでで最も接近している。大統領は、私たちが提出した法案が上下両院を通過し、署名のために大統領の机に届くことを確信している。大統領が危機感を抱いているのは、単なる政治的な理由からではない。国がこれを必要としているからだ」と語った。
ジェニファー・グランホルム・エネルギー長官は、98人のメンバーで構成される議会進歩派議員連盟が、この歳出法案発表後すぐに支持を表明したことを指摘した。
グランホルム氏は、NBCの「ミート・ザ・プレス」で、「進歩派は、満場一致で歳出法案の内容を支持した。法案を見ればそれでよかった。その文言を見ればそれでよかった。だからこそ今、バイデン氏はCOPやグラスゴーに行って、下院の民主党議員の間で100%の一致を見たと言うことができる。そしてそれが、この政策をめぐって皆を団結させている」と述べた。
極左の民主党員が「原則的に」法案を支持することに賛成したからといって、法案に手を加えないことに同意したわけではない。
カンナ氏は「項目の追加に取り組んでいる。つまり、交渉は行われている。私は賛成の立場を取る。2日までには採決できると思う。サンダース上院議員は、実際にメディケアの交渉を行うために素晴らしい仕事をしている。つまり、節約でき、人々の処方薬の費用を下げることができる」と述べた。
また、サンダース氏は、法案をさらに遅らせることなく、条項を追加できると考えている。「短時間でまとめ上げられると思う」とサンダース氏は述べた。
バイデン氏にとってのリスクは、このような大規模な条項によって、ウェストバージニア州のジョー・マンチン上院議員や、アリゾナ州のキルステン・シネマ上院議員をはじめとする穏健派の民主党議員との交渉が頓挫してしまうことだ。穏健派の民主党議員は、1.75兆ドルの法案を支持していない。
ナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州、民主)は、縮小された法案と1.25兆ドルのインフラ法案について、2日に投票を行うことを検討している。
民主党指導部に近い関係者は、ワシントン・タイムズに対し、正式な決定はされていないが、特にバイデン氏が米国のリーダーシップを海外にアピールしていることもあり、「前進」を望む声が高まっていると述べた。
マンチン氏は28日、記者団に対し、1.75兆ドルの法案を支持することを示唆した。マンチン氏は、1.75兆ドルについて「交渉済み」と述べた。シネマ氏は、この法案に賛成するかどうかは明らかにしていない。
シネマ氏は7月の声明で、当初の「ビルド・バック・ベター(より良い再建)」3.5兆ドルは大きすぎると思うと述べていた。アリゾナ・リパブリック紙によると、シネマ氏は、メディケアが処方薬の価格を交渉できるようにする条項には反対したが、高齢者の自己負担額に上限を設けることには賛成した。
ランド・ポール上院議員(ケンタッキー州、共和)は、彼らの努力を称え、「シネマ議員やマンチン議員のように反対してくれる人がいてよかった。これでいいというわけではないが」と述べた。
しかし、ポール氏は、最終的には極左の民主党が、インフラ法案を気候変動対策や社会保障への支出対策の「人質」にすることで、勝利を収めるだろうと述べた。
ポール氏は、FOXの「サンデー・モーニング・フューチャーズ」で、「進歩主義者らは自分たちのやり方を貫くと思う。社会主義者のバーニー・サンダース氏らは、すべてを手に入れようとしている。膨大な支出が発生するだろう」と述べた。