マッカーシー院内総務、下院議長目指すも、党内からは不満や中傷
By Seth McLaughlin – The Washington Times – Wednesday, November 24, 2021
フロリダ州のマット・ゲーツ下院議員は、来年の中間選挙で下院の議席が逆転し、共和党が多数派を獲得した場合、ドナルド・トランプ前大統領を下院議長に指名することを目指している。これは、ケビン・マッカーシー下院共和党院内総務の昇格をまだ受け入れていない共和党議員グループがあることを示している。
共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州)も、マッカーシー氏のリーダーとしての資質に疑問を呈している。グリーン氏は、マッカーシー氏が党内をまとめきれず、バイデン大統領に対抗できていないとして不満を持っている。
反トランプで知られるリズ・チェイニー下院議員(共和、ワイオミング州)も、再選されてもマッカーシー氏を支持しないと明言、マッカーシー氏は親トランプ派内からも攻撃を受けている。
しかし、共和党関係者によると、中間選挙で共和党が多数派になれば、マッカーシー氏は下院議長に最も近い位置にいる。
2006年に初当選したマッカーシー氏は、資金調達の強者であり、前回の選挙では予想に反して民主党の議席を11議席奪い、下院共和党会議の意見をほぼ一致させた。
共和党のポール・ライアン、ジョン・ベイナー元下院議長の下で働いた共和党のストラテジスト、ブレンダン・バック氏は「勝利は多くの問題を解決する。ケビンの考えは、『多数派への道筋を描き、その戦略のために苦汁をなめてきた。それは正しかったと思う』ということだろう。これは、非常に説得力があると思う」と述べた。
マッカーシー氏の事務所からコメントは得られなかった。
マッカーシー氏の支持者らは、ゲーツ氏やグリーン氏のような人物からの批判は無意味で、党の一体性よりも個人的な知名度を上げることにしか関心がないことを示していると主張している。
しかし、マッカーシー氏は来年、党内のこれら扇動者が起こす荒波をも乗り越えていかなければならない。
共和党の事実上のリーダーであるトランプ氏が、重要な要因になってくる。トランプ氏の存在は、選挙に向けて有権者を活気づけるために不可欠であり、議会での共和党のリーダーシップ争いにおいてキングメーカーの役割を果たす可能性がある。
マッカーシー氏は、トランプ氏の支持を得るために努力し、定期的に会っている。
これまでのところ、マッカーシー氏は、トランプ氏が他の党幹部らに向けてきた攻撃を受けていない。トランプ氏が攻撃している党幹部として最も知られているのは、ミッチ・マコネル上院院内総務だ。
バック氏は、マッカーシー氏が何年も前から議長の席を狙っていたことを忘れてはならないと述べた。
バック氏は、「ケビンがこの件について考え始めたばかりなどと思ってはいけない。彼のオフィスには、200人以上の名前が書かれたファイルがあり、その中には、誰がこの件で確信を持っているか、いないかなどの詳細が書かれており、218票を確実に獲得するための集中的な努力がなされていることを私は保証する」と述べた。
マッカーシー氏は、2015年にベイナー氏が引退を表明した後に議長職を目指したものの、必要なだけの支持が得られなかった。
極右の下院フリーダム議員連盟がダニエル・ウェブスター議員を支持したため、マッカーシー氏の当選は不可能となり、ライアン氏台頭のきっかけとなった。
その後、マッカーシー氏は、下院フリーダム議連の中の造反者との関係強化に努めてきた。
保守強硬派の共和党研究委員会の委員長であるジム・バンクス下院議員や、ベイナー氏が「議会テロリスト」と呼んだオハイオ州のジム・ジョーダン議員とも関係を深めた。
ジョーダン氏は、茶会に影響を受けた下院フリーダム議連の共同創設者であり、2018年に民主党が下院の過半数を獲得した後、マッカーシー氏に対抗して少数党のリーダーに名乗り出たが、失敗した。
ジョーダン氏はその後、下院司法委員会の筆頭委員に抜擢された。
ジョーダン氏とバンクス氏は、マッカーシー氏の下院議長選出を支持することを表明している。
一方、民主党は、マッカーシー氏がトランプ氏や極右議員と結びついているため、共和党は、トランプ劇場を嫌った有権者を取り込むことができなくなるとみている。
アダム・シフ下院議員(民主、カリフォルニア州)は、ケーブルテレビHBOの「リアル・タイム・ウィズ・ビル・マー」に出演した際、「下院を維持しなければならない。もし2020年にケビン・マッカーシーが議長になっていたら…下院の(選挙の)結果は覆っていただろう」と述べた。
「彼はドナルド・トランプに言われたことは何でもする。そのような人物が議長室に近づくことは絶対に許されない」
1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件の直後、マッカーシー氏は、暴動の責任はトランプ氏にあると発言したが、後にその発言を撤回した。
マッカーシー氏は、トランプ氏とその不正選挙の主張への批判を抑えようとしなかったチェイニー氏を、下院の共和党指導部から排除しようとする動きを支援した。また、1月6日に発生した暴動を調査するために提案された9・11同時多発テロ調査委員会のような委員会の設置に反対する共和党員を集め、襲撃事件以外も調査対象とすべきだと訴えた。
また、1月6日特別委員会に、トランプ大統領の盟友であるジョーダン氏とバンクス氏を加えるという計画をナンシー・ペロシ下院議長が却下したため、マッカーシー氏は委員の任命を取りやめ、多数党に新たな前例を作った。
ペロシ氏はその後、チェイニー氏と同じ反トランプ派の共和党議員、アダム・キンジンガー下院議員(イリノイ州)を委員に起用した。
しかし、マッカーシー氏は依然、1月6日の襲撃事件を扇動したとしてトランプ氏の弾劾に賛成した一部の共和党議員の資金調達を手助けしたことで、非難を浴びている。また、今月初めにバイデン氏が提出した1兆ドル規模の超党派インフラ整備法案の可決に賛成した下院共和党議員を阻止したり、罰したりするための行動をとらなかったことについても、共和党から非難されている。
この13人の共和党議員の賛成票がなければ、法案は通過しなかった。この13人の中には、同委の筆頭委員、下院の最年長議員3人のうちの2人、再選を目指していない反トランプ派の議員2人、そして昨年トランプ氏弾劾の動きに抗議して鞍替えした議員が含まれている。
元大統領首席補佐官マーク・メドウズ氏は、以前は下院でマッカーシー氏と意見を交わすこともあったが、先週、もし13人の共和党員が処罰されないのなら、下院議長は共和党でも、民主党でもどちらでもいいと述べた。
メドウズ氏は、ポッドキャスト「ファイアブランド・ウィズ・マット・ゲーツ」の中で、「下院議長になりたければ、議員らを管理できなければならない」と述べた。
共和党幹部らへの評価を聞かれたメドウズ氏は、彼らは「向かっている方向が違う。評価はDだ」と答えた。
「民主党員が窮地に立たされているときに、白いタオルを投げ込んで降参するようなことがあってはならない」
また、トランプ氏の貿易政策の補佐官を務めたピーター・ナバロ氏は、マッカーシー氏がトランプ擁護派を特別委員会から引き抜いたことを批判した。
ナバロ氏は先週、トランプ氏の主席戦略官だったスティーブ・バノン氏の「ウォー・ルーム-パンデミック」という番組で「ケビン・マッカーシーの対応は、私がこれまでに見た中で、間違いなく最も間抜けだ。コントロールできていない」と述べた。
マッカーシー氏への反発があるにもかかわらず、代わりとなる人物はまだ見当たらない。マッカーシー氏の支持者らは次のように問いかけている。「他に誰が勝つ可能性があるのか。多数派を獲得できる人物が議長にならないなら、どのようなシナリオを描いているのか」
マッカーシー氏は先週、メッセージを送った。
マッカーシー氏は先週、現代の記録となる8時間32分にわたって議場で演説し、バイデン氏が提出した約1兆7500億ドルの社会福祉と気候変動に関する法案を非難した。
「この法案は、わが国の歴史の中で最も無謀で無責任な歳出法案だ。下院共和党のリーダーとして、私たちが誇りを持って代表する何千万人もの市民を代表して、もう十分だと言いたい」
充実した内容の演説だったが、下院民主党の法案成立を阻止することはできなかった。しかし、マッカーシー氏にとっては戦略的な勝利であったと考えられている。
元下院院内総務のエリック・カンター氏の下で働いていた共和党ストラテジスト、ダグ・ヘイズ氏は、「演説は、下院のリーダーとしての自分をアピールする機会となった。下院での支持は強まるだろう」と述べた。
また、マッカーシー氏は、トランプ氏からもエールを送られた。
トランプ氏は、「昨夜のケビン・マッカーシー氏は、共産主義にきちんと反対するために、議場での演説時間が8時間を超えるという記録を打ち立て、素晴らしい仕事をした。民主党が行ったかつてないほどの悪行を決して忘れてはならない 」と述べた。