民主党、大統領による1.75兆ドルの「ビルド・バック・ベター法案」の挫折を受け入れず

(2021年12月23日)

2021年12月7日火曜日、ワシントンのキャピトル・ヒルの外でラッシュアワーにペンシルバニア通りをブロックする、ジョー・バイデン大統領の「ビルド・バック・ベター」アジェンダの通過を議会に求めるデモ参加者たち。(AP Photo/Jose Luis Magana)

By Haris Alic – The Washington Times – Monday, December 20, 2021

 ホワイトハウスから合衆国議会に至るまで民主党関係者は、バイデン大統領が提出した1.75兆ドルの「ビルドバック・ベター法」は当分採決の見込みがないと思いたくないようだ。

 政府当局者とベテラン議員たちは、民主党のジョゼフ・マンチン上院議員(ウェストバージニア州)が、そのうち関係法案か修正案の一部を支持するだろうと強気だ。そのわりに民主党内の戦略戦術はバラバラだ。

 一部では、マンチン議員に矛を納めさせるのには大衆圧力を高めるしかないと言っている。上院多数派の民主党を率いるチャールズ・E・シューマー議員(ニューヨーク州)は、1月に議員たちが戻ったら、社会福祉と気候変動関連法案だけ採決をとると表明した。

 シューマー議員は言う、「実際に上院は新年早々にビルド・バック・ベター法案を検討し、上院の各議員がテレビだけでなく、議場で意見を述べることになろう」、「下院通過したビルドバック・ベター法の修正案に投票する予定だ、何らかの決着をつけるまで投票を続けるつもりだ。」

 この作戦によってマンチン議員は、一般保育や高齢者向け医療給付の拡大など、有権者に人気の高い条項にも反対を表明せざるを得なくなるだろう、シューマー議員はそう語っている。

 ジョゼフ・マンチン議員は、「ビルドバック・ベター」式の社会主義勢力に立ち向かっている無援の番兵のようだ。民主党幹部は法案が不調に終わっても、同議員がそうした態度を採り続けていれば、議会が法案のメリットを公的に議論して、妥協点を探らざるを得なくなると見る。

 「容易に諦めるわけにはいかない」とシューマー議員は強調する。「我々は…未完の作業を成し終えることを決意するべきだ。」

 ただ民主党の一部には、そうした戦術が裏目に出ることを懸念する向きもある。成立見込みのない投票をごり押ししていれば、マンチン議員の翻意を促すより、反意を強めるだけではないのか。

 「(マンチン議員は)フォックス・ニュースに登場し、法案に反対だ、と世間に表明した人物だ」、ある民主党議員は匿名を条件にワシントンタイムズに語った。「今のところ、上院の議場でこの法案に反対票を投じても何も変わらないだろう。」

 問題を複雑にしたのは、法案への支持を求めて民主党とホワイトハウスがマンチン議員に折衝した際の高圧的なやり方に、同議員が不満を明らかにしたことだ。

 マンチン議員は月曜日の「ウェストバージニア・メトロニュース」のラジオインタビューで、ホワイトハウスの上級スタッフによる「断じて許しがたい」脅迫について言及した。

 「連中は一人を動かすのは何のことはない、一人を確実に追いつめ打ち負かせると踏んだのだろう」、マンチン議員は言う。「その一人を不安にするに十分な抗議の声を挙げさせ、参った!何にでも投票する!と白旗を挙げさせると信じていたはずだ。

 相手が不満を表明したのだから、政府当局は多少ニュアンスをわきまえて対応すべきだろう。ホワイトハウスのベテランスタッフによれば、バイデン大統領とマンチン議員の親交を考えれば、クリスマス休暇で興奮が冷めてから、二人は妥協点を探れるのではないかと見ている。

 「我々はこれを必ず実現するために、マンチン上院議員および民主党の全議員と協力していきたい」、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は言明した。「大統領の見方からすれば…数十年もマンチン議員と協力してきたし、基本的価値観を共有している。長年の友人であり、それは何ら変わっていない。」

 ともあれビルド・バック・ベター法案が今後どう進展するのか不明のままだ。一部議員は同法案で一番国民受けする部分だけを切り離し、それらだけ議会通過させるのが最も容易な方法だ、と主張している。

 「グリーン・ニューディール」を作成したエドワード・J・マーキー上院議員(民主党、マサチューセッツ州)は、マンチン議員の同意も得て気候変動に取り組むため、そうした戦略を活用すべきだと主張する。

 ビルド・バック・ベター法案の気候とクリーン・エネルギーに関する主要な条文は概ね話しがついており、向こう10年間の見通しで、財源も目途がついている」、マーキー議員は説明した。「それらの条項だけでも今の時点で議会通過させよう。この機会を逃すことはできないのだ。」

 マンチン議員はウェストバージニア・メトロニュースでのインタビューで、関連法案またはその一部が、通常の「委員会」審議を通過すれば、法案またはその一部について検討する用意があると言明している。

 その手法にはリスクもある。気候変動関連法案など独立性の高い主要法案は、可決にかなりの時間とエネルギーが必要だ。財政上の日程や指名手続き、その他、通過させなければならない措置を考慮すれば、2022年の議会審議の大部分の時間が奪われかねない。

 それに加えて、民主党はいわゆる和解ルールの使用に制限を付けたばかりだ。これは一部の歳出と税制措置によって、60票による議事妨害の落とし穴を回避し、単純過半数で通過できるようにするものだ。

 「問題は議事妨害のおかげで、案件ごとの投票ができないことだ」、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員(ニューヨーク州、民主党)は説明する。「51票で上院を通過させられる主要な法律は和解ルールによるもので、それは年に2件しか確保できない。」

 もしも共和党が下馬評通り中間選挙で合衆国議会を席巻した場合、社会福祉と税金関連の条文を無期限に放棄する可能性があると議員たちは懸念している。

 通常の状況では、こうした妥協も予想される。しかし民主党の極左勢力はそうした成り行きを好まず、ホワイトハウスがマンチン議員の妨害に対して強引にでも行動すべきだ、と主張している。

 「現時点は、大統領が行動を起こすのに立法府の様子を見ている時でない」、議会進歩派を率いるプラミラ・ジャヤパル議員(ワシントン州、民主党)は訴える。「多くの米国民が痛みを抱え、危機に瀕する状況が多すぎるからだ。」

 しかしバイデン大統領はそうしたアプローチを検討する準備はできていない。政府当局者によれば、行政府による措置は暫定的なものであって、いずれ司法府によって却下されるか、共和党の大統領の下で引っ繰り返されかねない。

 「立法の利点は明らかで、物事を恒久的に制定できることだ」、ホワイトハウスのサキ報道官は述懐した。

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