北京五輪、選手失格受け韓国で議論沸騰
By David R. Sands – The Washington Times – Wednesday, February 9, 2022
来月に迫った韓国大統領選は接戦を繰り広げているが、中国との関係という難しい問題をめぐって韓国内の対立が深まっている。
これは、「スピードスケートゲート」以前からあったことだ。
スピードスケート・ショートトラックへの韓国人のこだわりは非常に強く、トップアスリートらは国際舞台で活躍し、大きな称賛を受けてきた。
それだけに、7日に北京冬季五輪の1000メートル準決勝でジャッジが、2人の韓国人選手をその場で規定違反で失格としたことに怒りと、不信の声が沸き起こった。
その後、2人の中国人選手が決勝に進み、金メダル、銀メダルを獲得したことがその怒りに拍車を掛けた。ハンガリー選手は、1位でゴールしたものの失格となっている。
3月9日に実施される大統領選のトップ2候補、文在寅大統領の与党「共に民主党」候補の李在明、保守系最大野党「国民の力」候補の尹錫悦の両氏も、韓国のマスコミ、インターネットでの反中感情の高まりを受けて、論争に加わらざるを得なくなっている。
判定によって、健闘する可能性のあった韓国人選手が不当に扱われたという不満の声が多く上がっている。主催国を標的にし、この結果と判定は中国人選手を有利にするものであり、明らかに偏っているという主張も出ている。
「中国は金メダルをすべて持っていく気か」というネットへの投稿もあり、五輪関係者らが、大会に巨額の資金を投入した中国をひいきしているという憶測まで出てくる始末だ。
李氏はフェイスブックに、判定に「失望し、怒っている」と投稿し、コリア・タイムズは、共に民主党の宋永吉代表が、「人々は、主催国が有利になり、容易にメダルを獲得するようになると考え始めている。この国がメダルを独占するだろう」と苦言を呈したと報じた。
国民の力の尹氏は、失格となった韓国人選手への同情を表明しながらも、大会開催中の出来事をめぐって特定の国との関係を議論すべきでないと冷静な対応を求めている。
しかし、政治アナリストで、長安大学教授のパク・チャンファン氏はコリア・タイムズで、この問題は尹氏にとって追い風となる可能性があると指摘する。国民の力は、韓国への米国の迎撃ミサイル配備などの問題で中国に対して弱腰だと文氏を批判してきたからだ。
「国民の力の尹氏は、選挙戦で反中感情を利用してきており、この問題で支持を増やす可能性がある」
中国の民族主義的「ネット民」らは、この議論をあおり、判定を強く擁護、2人の韓国人選手が失格となったのは、競技中に他の選手を妨害したからだと説明している。