バイデン氏のプーチン大統領退陣要求に同盟国から異論
By David R. Sands – The Washington Times – Sunday, March 27, 2022
バイデン大統領は、週末にポーランドで熱のこもった演説を行い、ウクライナ戦争を引き起こしたロシアのプーチン大統領に退陣を強く要求したが、ウクライナ支持で団結しようとしている同盟国からは今のところあまり支持を得ていないようだ。
フランスのマクロン大統領、英国とトルコの政府高官は皆、バイデン氏の発言から距離を置いた。外交政策アナリストらは、プーチン氏の地位を奪うことを戦争の明確な目的とすると、ロシアの流血の侵略を終わらせるための流れを複雑にしかねないと指摘している。
27日にイスラエルを訪問したアントニー・ブリンケン国務長官は、米政府関係者としてバイデン氏の演説について説明し、ロシアの「体制転換」を求めることはないと主張した。
バイデン氏は4日間の欧州歴訪で、ロシアによるウクライナ侵攻を非難し、歴訪を締めくくる演説の最後に、プーチン氏は「虐殺者」であり、「この男は権力の座に留まってはならない」と訴えた。ホワイトハウス当局者によると、バイデン氏の発言は、事前に用意されたスピーチ原稿にはなかった。
マクロン氏は戦闘が激化する中、プーチン氏と連絡を取り続けており、27日、「私はそのような言葉は使わない」と述べた。
フランス3テレビとのインタビューでマクロン氏は、ウクライナと同盟国が戦闘停止と外交的解決を求める中、今は緊張を高める時ではないと述べた。
マクロン氏は、プーチン氏と直接対話を続け、「まず停戦を実現し、次に外交的手段で(ロシア軍の)完全撤退を目指す」ことに焦点を合わせていると述べた。「そのためには、言葉でも行動でもエスカレートさせるべきでない」
バイデン氏がこの戦争での道徳的重要性に触れたことを称賛する声がある一方で、こうした強い言葉はプーチン氏を追い詰め、逆効果になりかねず、ロシアのリーダーを誰にするかはロシア人に委ねるべきだと主張する欧州当局者も多い。英国のナディーム・ザハウィ教育相もそのうちの一人だ。
ザハウィ氏はスカイニュースに対し、「それはロシア国民次第だと思う。ロシア国民は、ウクライナで起こっていること、この違法な侵略、自分たちの生活の破壊、自分たちの周りの経済の崩壊にかなりうんざりしていると思う」と述べた。
ウクライナとロシアの戦いを仲介すると申し出たNATO加盟国のトルコも、プーチン氏排除に注力することは戦争を止める努力を複雑にするだけだと警告している。
ガーディアン紙によると、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領の顧問であるイブラヒム・カリン氏は、ドーハで開かれた国際フォーラムで「皆がロシアとつながりを切ってしまったら、ロシアと話し合える国は最終的になくなってしまう」と語ったという。
ブリンケン氏は27日、バイデン氏の言葉にもかかわらず、米政府はプーチン氏の打倒を要求していないと述べた。
バイデン氏に同行して欧州を回った後、イスラエルのエルサレムを訪れたブリンケン氏は、米政権は「ロシアや他のどこであれ、政権交代の戦略を持っていない」と繰り返し発言してきたと述べた。
AP通信によると、ブリンケン氏は記者団に対し、「大統領、ホワイトハウスは昨夜、極めて明確に、プーチン大統領にウクライナや他の国に対して戦争や侵略を行う権限はないという点を強調したのだと思う」と述べた。