G7サミット、主要議題はウクライナ侵攻と中国の影響力
By Guy Taylor – The Washington Times – Sunday, June 26, 2022
バイデン大統領は26日、ロシアのウクライナ侵攻に対抗して、米国の主要同盟国を団結させるよう努める一方、アフリカ、アジア、中南米で台頭する中国の影響力に対抗するため、米同盟国の間の世界最大のグローバルインフラ投資パートナーシップを発表した。
このパートナーシップは、世界的な牽引力を得るのに苦労した過去のイニシアチブの焼き直しであるという批判を受けたが、ドイツで開かれた主要先進7カ国首脳会議(G7サミット)の目玉となった。
バイデン氏は、ドイツ、フランス、イギリス、カナダ、イタリア、日本のカウンターパートとともにバイエルンのアルプスを訪れ、このパートナーシップは、発展途上国に「民主主義国と提携する具体的な利益」を示すプロジェクトのためにG7諸国から「公的および民間資本」6000億ドルを調達すると述べた。
これは、過去10年間に中国が世界各地で行った数千億ドルのインフラ融資に対抗するために、西側諸国がこれまでに発表したどの金額よりも多い。
しかし、26日の発表は、ロシアのウクライナ侵攻から生じている差し迫った危機によって影を潜める危険性がある。
側近によれば、G7の舞台裏での取り組みは、ウクライナでの戦争が経済的な影響を及ぼし、ロシアに制裁を加えている国際的な連帯にひびが入るのを防ぐことに重きが置かれている。
ロシアが欧州への天然ガス供給を断ち切ることによって、エネルギー危機を拡大させるのではないかという懸念から、この数週間、国際的な連帯に対する懸念が高まっているためだ。
バイデン氏は、エルマウ城での会合を主催する議長国ドイツのオラフ・ショルツ首相と首脳会議前に会談した後、26日の最初の公式発言で、「私たち全員が一緒にいることを確認しなければならない」と述べた。
バイデン氏は、「私たちが直面している経済的な課題に取り組み続けるつもりだが、このすべてを乗り越えることができると思う」と述べた。
ロシアは、ウクライナへの攻撃を強化することで、サミットと週明けの北大西洋条約機構(NATO)会議に影響を及ぼそうとしているが、英国のボリス・ジョンソン首相は、ロシアのウクライナ侵攻に対する「疲れ」に屈しないよう他のG7首脳に呼びかけた。
ロシア軍は週末を通してウクライナで大規模なミサイル攻撃を実施した。これに対してG7諸国は、ロシアからの金の輸入禁止措置を取る計画を発表した。
金取引禁止に関する正式な発表は、G7首脳会議が終了する前の28日までに行われると予想されている。NATOの会議は29日にスペインのマドリードで始まる。
バイデン氏はNATO首脳会議に出席する予定であり、トルコの抵抗にもかかわらずフィンランドとスウェーデンの加盟とともに、ウクライナ問題が中心的に議論されると予想されている。
ロシア政府関係者は、金はエネルギーに次いでロシアで2番目に大きな輸出品であると述べている。輸入を禁止することは、モスクワの世界市場への参加をより困難にすると彼らは言った。
ジョンソン氏は、輸入禁止は「ロシアのオリガルヒ(新興財閥)に直接打撃を与え、プーチン氏の戦争マシンの心臓部を攻撃することになる」と述べた。
ジョンソン氏は、「プーチン氏は、この無意味で野蛮な戦争に、失われつつある資源を浪費している。彼は、ウクライナとロシアの人々の犠牲の上に、自分のエゴを育てている。プーチン政権から資金を奪う必要がある」と述べた。
「B3W」を再構成
米国や他の民主主義諸国は過去数年間、発展途上国の多くで政府の影響力を強める中国に対抗するための効果的な経済戦略を策定しようとしてきた。
G7は、中国の経済圏構想「一帯一路」への対応を発表した。欧米の政府当局者は、一帯一路は独裁国家を育成すると主張してきた。
トランプ前政権は、一帯一路をしばしば略奪的だと批判していた。中国共産党の目標は、経済的に弱い国に債務を負わせ、後に中国政府が天然資源などへの影響力を得ることと引き換えに、債務を免除することだと述べた。
米政府当局者は、具体的な代替案の提示に取り組んできた。トランプ政権は、世界中の発展途上国への民間投資を刺激するために600億ドルを支援する米国の国際開発金融公社の設立を含む改革に着手した。
バイデン氏は、G7を通じてこのアプローチを拡大しようとしている。昨年のG7サミットでは、インフラ整備構想「より良い世界の再建(B3W)」を発表し、豊かな民主主義諸国から発展途上国のインフラやその他のニーズに向けた民間投資を喚起することを試みた。
今回の発表は、B3Wイニシアチブを別の名前で再構成したものであり、バイデン氏がこのイニシアチブを具体的な成果へと導く地政学的な力を持っているかどうかは、まだ分からない。
バイデン氏は、正式名称を「グローバル・インフラストラクチャーのためのパートナーシップ」とするこの構想のために、米国は「今後5年間で公的・民間資本2000億ドルを調達する」と宣言した。
バイデン氏は、このパートナーシップは「持続可能な開発と、私たちが共有する世界の安定に不可欠な分野、つまり、健康と健康の安全保障、デジタル接続、男女の平等と公平性、気候とエネルギー安全保障」に対して資金を誘導するものだと述べた。
最初の取り組みとして、アフリカ南西部のアンゴラで20億ドルの太陽光発電所への投資、アフリカ西部のコートジボワールでの病院建設に3億2000万ドル、東南アジアで地域エネルギー貿易を促進する4000万ドルが予定されている。
バイデン氏は、アフリカ、アジア、中南米で安全なネットワーク機器を供給するために、約3億3500万ドルの民間資本が動員されていると述べた。バイデン氏によると、米政府の支援を受けて、米企業サブコムが、世界規模の海底通信ケーブルの建設契約を6億ドルで落札した。
バイデン氏は「このケーブルは、東南アジアから中東、アフリカの角を通り、欧州まで延びる予定だ。これは、世界の3つの重要な地域において、信頼性の高いセキュリティーとハイテク接続に対する需要の高まりに応えるために不可欠なものだ」と述べた。
有望な投資
バイデン政権は、民間企業からの数千億ドル規模の投資をどのように呼び込むかについて、ほとんど明らかにしていない。
一部アナリストらは、米国やG7の企業から民間資金を集める米国のアピールが実質的な結果を生むかどうかには懐疑的だ。
イースト・ウェスト・センターのワシントン支部と「アジアは米国にとって重要」イニシアチブを率いるサトゥ・リメイエ氏は、「インフラに関する米国の関与の再提案は勇ましいが、二つの大きな課題に直面している」と指摘する。
リメイエ氏はワシントン・タイムズに、「米国の民間資金には見返りが期待できる場所がたくさんあるが、海外のインフラは今のところあまり魅力的に見えない。魅力的でない理由の一つは、インフラに大規模な支出を求める国は、インフラ分野における民間投資の魅力の手本とは言い難いからだ」と話した。
そのような懸念にもかかわらず、バイデン氏は、G7インフラ投資パートナーシップは関係者全員にとって金儲けになると紹介し、完全に売り込みモードであるように見えた。
バイデン氏はドイツで、「これは援助や慈善事業ではなく、米国民をはじめ、すべての国の国民に利益をもたらす投資だ。私たち全員の経済を活性化させ、将来への前向きなビジョンを共有するチャンスでもある」と述べた。
バイデン氏は、この構想を中国封じ込めの一環とすることは避けたようで、G7が世界的に守勢に立たされているように見えるのを避けているようだ。
しかし、政権高官らは、この投資パートナーシップはすべて中国に対抗するためのものであることを明らかにしている。
ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は今月初め、ワシントンのシンクタンク「新アメリカ安全保障センター」で開かれたイベントで、G7の構想の中心は「グローバルインフラ-物理的インフラ、健康インフラ、デジタルインフラ-で、中国が提供するものに代わるものを提供できると考えている」と語った。
バイデン氏は中国を名指しすることは避けたが、投資パートナーシップは民主主義国が互いに支援し合うことが中心であると強調した。
バイデン氏は、「民主主義国家が私たちにできること、私たちが提供できるものをすべて示すとき、私たちは常に競争に勝つと確信している」と述べた。