アフガン撤退を批判されたバイデン氏、ザワヒリ殺害の成果を誇示

(2022年8月9日)

2021年8月15日(日)のファイル写真で、アフガニスタンのカブールにある米国大使館の上空を飛ぶ米軍のチヌークヘリコプター。(AP写真/Rahmat Gul、ファイル)

By Jeff Mordock – The Washington Times – Tuesday, August 2, 2022

 米情報機関の無人機による攻撃で、カブールの隠れ家にいた国際テロ組織アルカイダの長年の指導者、アイマン・ザワヒリ容疑者を殺害することに成功した。このことは、大混乱を招いた昨年のバイデン大統領によるアフガニスタンからの撤退と、新たなタリバン指導部が国内で活動するテロ組織を抑えるという約束を守っているかどうかをめぐる議論を再燃させている。

 世界の最重要指名手配テロリストの一人が死んだことについて、バイデン氏と政府高官は、アフガン撤退の成功をはっきり示すものだと主張している。なぜなら、懐疑論が幅広くあったにもかかわらず、米国の情報工作員は米軍が現地にいなくても、ザワヒリ容疑者を追跡し、排除することができたからだ。

 共和党議員を含む批評家たちからは、ザワヒリ容疑者がアフガンの首都で長期にわたって作戦を展開し、拘束を免れてきたことは、タリバンが昨年、権力を握って以来、同国がアルカイダや過激派組織「イスラム国」などテロ組織の避難所として再び台頭している懸念を浮き彫りにしたとの指摘が出ている。

 共和党のミッチ・マコネル上院院内総務(ケンタッキー州選出)は、バイデン氏がこの作戦を承認したことは「称賛に値する」と述べた。

 「しかし、ザワヒリ容疑者がカブールの中心街に戻ってきたことは、大統領の米軍撤退の決定を受けて、アフガンが再びテロ活動の主な茂みになりつつあることをさらに示すものだ」。マコネル氏は声明でこう主張した。「ザワヒリ容疑者の殺害は成功だが、アフガンでアルカイダのテロリストたちがひそかに再起することは、予見可能かつ回避可能だった脅威の拡大である。バイデン政権は、これに対抗する能力を再構築する包括的な計画を必要としている」

 ザワヒリ容疑者は長年、連邦捜査局(FBI)の最重要指名手配リストのトップを占め、国務省は同容疑者の拘束につながる情報提供に2500万㌦の懸賞金を設けていた。同容疑者は2001年9月11日のテロ攻撃の首謀者の一人であり、ウサマ・ビンラディン容疑者が死亡した11年にアルカイダを引き継いだ。

 ザワヒリ容疑者を殺害した無人機攻撃は、米国が支援する政府がタリバンの攻勢に直面して崩壊し、米国と同盟国の部隊がアフガンから急遽(きゅうきょ)撤退してから約1年後に行われた。その結果生じた混乱と犠牲は、20年にわたるアフガンへの米軍の関与を終わらせただけでなく、バイデン氏の支持率を低下させた。ホワイトハウスはこれを反転させることができないでいる。

 インフレやその他の経済的苦境によって悪化したバイデン氏の支持率は、21年1月に就任して以来、最低水準にとどまっている。

 ザワヒリ容疑者の死は、バイデン氏にとってどうしても必要な外交政策上の勝利だった。上院で先週、気候変動・歳出法案が前進したことで、バイデン氏の下降する運勢は反転し始めている。また、タリバンによる支配が復活した後も、米国がアフガンで対テロ作戦を行うことができるというバイデン氏の主張も強化された。

 「残る米軍を撤退させてアフガンをタリバンに引き渡し、アルカイダに対しては『オーバー・ザ・ホライズン』対テロ作戦だけに頼ることにしたバイデン大統領にとって、これは特筆すべき成果だ」。こう語ったのは、米シンクタンク、大西洋評議会で上級部長を務めるウィリアム・ウェクスラー氏だ。同氏は、多くの専門家が遠方からテロリストの脅威を監視するのは可能なのか懐疑的だったことを認めた。

 「だが、(ザワヒリ容疑者の死によって)バイデン氏とそのチームは今夜、正しい判断だったことが証明されたという強い思いを抱いて眠りに就くだろう。ウイニングランをするに値する」と、ウェクスラー氏は述べた。

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