砲撃強化でロシア軍を押し返すウクライナ軍
By Mike Glenn – The Washington Times – Tuesday, August 30, 2022
ウクライナ軍は6カ月に及ぶ戦争の流れを変え、大規模なロシアの侵攻軍を撃退することはできなかったかもしれない。だが、少なくとも戦場では峠を越えた可能性がある。
当局者によると、ウクライナ軍は過去数カ月間、主要都市を攻撃から守る一方、南部と東部ではロシア軍に屈していたが、今は敵に戦いを挑んでいる。彼らはここ数日、占領下のヘルソン地域の前線で攻撃を開始した。これは南部での反撃の始まりかもしれないと分析されている。
ウクライナ軍部隊は8月29日、ロシア軍への砲撃の回数を増やし始めた。米国が供与する高機動ロケット砲システム(HIMARS)などの兵器を用いた長距離精密攻撃は、ロシアの重要な補給活動を混乱させている。
「ウクライナ軍の前進の程度を確認することはまだできない」。英軍情報当局はこう語った。「しかし、8月に入ってから、ロシア軍はヘルソン周辺のドニプロ川西岸で部隊を強化するために大きな努力を払っている」
ワシントンに拠点を置く「戦争研究所」は、毎日発行している戦闘状況の要約で、一部のロシア人の軍事ブログでさえも、現在ロシアの支配下にある三日月地帯の南端でウクライナ軍が前進していると論じているものの、戦闘状況の明確なイメージは確認できないとしている。
「ウクライナ当局は集落の解放を認めていない。だが、一部のロシア人軍事ブロガーや西側報道機関に語った匿名の情報源によると、ウクライナ軍はヘルソン市の西部と北西部、インフレツィ川のウクライナ軍の橋頭堡(きょうとうほ)付近、ヘルソン・ドニプロペトロウシク州境の南側で幾つかの集落を解放した」と、戦争研究所は報告している。
ロシアは公式報道で、ウクライナ軍の進攻を暗に認めたが、攻撃部隊は大きな損失を出して退却したとしている。国営タス通信によると、ウクライナ軍は攻勢の初日に1200人以上の兵士と100台近くの戦車、歩兵戦闘車両を失ったという。この数字は独自に確認することはできなかった。
米国防総省の軍高官は8月29日、ウクライナ軍の砲撃が増加していることを認めた。
「民主主義防衛財団」の上級調査アナリスト、ジョン・ハーディー氏は、ドニプロ川の西側地域でウクライナ軍が攻勢に出たのは確かなようだと述べた。
「何が起きているのかはっきりしない。ウクライナはカードを胸にしまっており、検証されていない多くの主張が飛び交っている」と、ハーディー氏はワシントン・タイムズ紙に語った。半年以上前に始まった侵攻でロシアに奪われた領土をウクライナが取り戻した可能性について、「それなりに確信がある」と語った。
「ウクライナはおそらく他の方面でも攻撃しているが、どこで何を使っているかを正確に言うのは難しい」と、ハーディー氏は述べた。
キーウのウクライナ政府関係者は、反攻の心理的影響を認めながらも、6カ月に及ぶ残忍な戦争でひどく混乱する住民に期待を抱かせることには慎重だ。
ウクライナ政府の上級顧問であるオレクシイ・アレストビッチ氏は、通信アプリ「テレグラム」で、ウクライナ軍はヘルソン周辺の前線で、幾つかの地域のロシアの防衛線を突き破ったと述べたが、早急な勝利宣言には警告を発した。
攻撃は「敵をすりつぶす遅い作戦だ」とアレストビッチ氏。「もちろん、多くの人は大規模攻撃でわが軍が1時間で集落を占拠するというニュースを望むだろうが、われわれはそのような戦い方はしない。資金も限られている」