ロシアが核の脅しを実行すれば、壊滅的結果を招く:ホワイトハウス
By Ben Wolfgang – The Washington Times – Sunday, September 25, 2022
米国とウクライナ当局者は日曜日、ロシアのウラジミール・プーチン大統領が核戦争を威嚇したことについて、ロシア側の敗北が最近続いており、紛争をエスカレートさせようとしているのではないか、との深刻な懸念を表明した。
ロシア・ウクライナ戦争は7ヶ月目に入り、ロシア側の地上侵攻が停滞しており、プーチン大統領と側近たちは、保有する世界最大の核備蓄について盛んに口にするようになった。
従来、ロシア当局は核兵器について大っぴらに語ることはなかった。しかし米欧の首脳や国家安全保障関係筋は、ウクライナ側の戦果が挙がっているため、ロシア国内にプーチン氏や戦争そのものへの不満が高まり、戦争の潮目を変えようとするクレムリンが、危険な窮余の策に頼る可能性が高くなっていると指摘している。
「第二次世界大戦以降、初めて核兵器が使われるかもしれないという、最も重要かつ深刻な問題なので、死活的なものとして受け止めるべきだ」、国家安全保障顧問のジェイク・サリバン氏は日曜日、CBS放送の「フェイス・ザ・ネイション」番組で語った。
「我々はクレムリンと直接、私的だが極めてハイレベルでのやり取りをしている。その中で、核兵器の使用はロシアに壊滅的な結果をもたらす、米国と同盟国は断固たる対応をする、と伝達してある。その行きつく先について、明確かつ具体的に伝えている。」
「我々は公式にも、原則としても明らかだが、ロシアが万一にも核兵器の引き金を引けば、米国は断固対応するし、またウクライナが自国と民主主義を守るための努力を引き続き支援する」、サリバン顧問は語った。
ウクライナのヴォロディーミル・ゼレンスキー大統領も米国の警告に共鳴した。プーチン大統領は核兵器について非常に本気であり、ロシア軍が戦場で負けるたびに、クレムリンは「核の威嚇」に強く傾斜しているとの見方を示した。「今にそれが現実のものになるかもしれない」、ゼレンスキー大統領は「フェイス・ザ・ネイション」番組の中で語った。
ゼレンスキー大統領はプーチン大統領について、「全世界を怖がらせたいのだ」と語った。「それは核による威嚇の第一歩だ。ハッタリだとは思えない。世界はその威嚇を抑え封じ込めている。我々は圧力をかけ続けて、(プーチン大統領に)威嚇ができないようにすることだ」と語った。
ロシアはウクライナの4つの州で、ロシア連邦に正式加盟するか否か、いわゆる国民投票を進めている。それは今の戦争の震源地で係争の焦点であるドンバスを構成するルハンスク、ドネツクなどだ。
この国民投票について、バイデン政権は「いかさまだ!」と切って捨て、西側諸国も国民投票の結果を認めないこと、そしてこれら4州はウクライナに残り、その如く認知されると言明している。
ロシア政府は侵攻の新たな正当化を求めて、国民投票を利用しようとしているのだろう。ニューヨークでの国連総会に続き、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は土曜日、モスクワが国民投票の結果を尊重し、当該の領土はロシア政府から完全な保護を受けることになると述べた。
「ロシア憲法で確認されている領土、そして改めて確認されるだろうロシア連邦の全領土は、当然ながら国家の完全な保護下に置かれる」、ラヴロフ外相は明言した。「ロシア連邦のすべての法律、公式の宣言、構想や戦略が領土全体に適用されることになる。」
このような方針を基にしてモスクワとしては、この戦争は根本的にウクライナがロシア領を攻撃していると宣言できるし、おそらく戦術核による攻撃の下準備をしている。
プーチン大統領は先週、ロシアの予備役動員を発表し、核攻撃を示唆する短い演説をした。
国営タス通信によると、大統領は「核兵器で我々を脅迫しようとしている連中は、その卓越風が彼らの方に向く可能性もあることを忘れるな」と語った。
「ロシア市民は自信を持て。我が母なる大地の領土保全、独立と自由は守られる。もう一度強調するが、我々は持てるあらゆる手段を駆使して、それらを死守する」、大統領は述べた。
米軍関係者に言わせれば、こうした揮発性の高い状況に加え、ロシア軍が戦場で負けこんでいることがプーチン大統領に重荷となっている。ウクライナ戦線の一部ではウクライナの反転攻勢の結果、ロシア軍が敗走しており、世界最強のひとつを自負してきた軍隊には屈辱的なものだったはずだ。
こうした敗北のせいで、プーチン大統領に未曽有の批判が向けられ、中には大統領辞任を求める請願書が地方自治体の公務員たちから届けられた例もある。さらに軍隊への動員命令に反発する大規模デモが勃発し、数百人ものロシア人が逮捕されたと伝えられる。
こうした報道に乗じウクライナ軍部は日曜日、侵略者たちを嘲笑した。ツイッターに投稿したマッシュアップビデオで、ウクライナ国防省はロシア軍を小ばかにし、さらにロシア警察が抗議行動をしている市民を殴ったとされる映像を流した。
「我々は全てのロシア兵がこうだとは思わない。ロシアには依然、[ウクライナによって]壊滅されていない職業的軍人も残っているだろう」、ツイッターの投稿は書いた。「これら『兵士たち』は早く最前線に立ち、アルコール依存症のまま我々の土地で死んだ方が楽になるだろう。」