中国が30カ国に警察施設-主権侵害 亡命民主活動家ら監視
By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, October 3, 2022
脅迫で帰国強要、誘拐も
中国は、米ニューヨークなど海外の都市に「警察施設」を設置し、政治亡命などで国外に滞在する中国国籍保有者を強制的に帰国させている。人権擁護組織セーフガード・ディフェンダーズが最新の報告で明らかにした。
中国公安省はこれらの活動で、2021年4~7月に23万人に対して、詐欺やコンピューター犯罪の捜査の一環として中国への帰国を「説得」したという。
海外の汚職高官、犯罪者らを標的に、直接脅迫したり、中国国内の家族を脅すなどして、帰国を迫っている。
これは「キツネ狩り」と呼ばれてきた活動の一環で、報告によると、21年末までに1万人の「ハイレベル」の人物らが120カ国から帰国させられている。報告は「110海外-激化する中国の警察活動」と題され、中国政府からの情報を基に作成された。「110」は、中国の緊急通報の電話番号だ。
米太平洋艦隊情報部長を務めたジム・ファネル元海軍大佐は、「欧州など世界中に中国の警察が存在していることは脅威だ。…これらの国家への主権の侵害であるばかりか、中国共産党が世界的覇権への道を依然として進んでいることを思い起こさせる」と警鐘を鳴らした。
北京駐在経験のある元カナダ人外交官、チャールズ・バートン氏も、カナダでの中国の警察活動についてグローバル・アンド・メール紙への投稿で、「完全なカナダの主権侵害」と強く非難した。
報告によると、5大陸30カ国に、少なくとも54の警察「海外サービスステーション」が設置され、その大部分は欧州だという。ニューヨークで1カ所、カナダで3カ所の施設が確認されている。
報告は、共産党の海外工作や政治介入を担う中央統一戦線工作部にも言及、国外で極秘の警察活動を行ってきたことを指摘している。
それによると、対象者を帰国させる「自主的でない帰還」のために三つの方法を取っている。①中国国内の家族に対する脅し、嫌がらせ、拘束、収監によって「自発的な」帰国を強要する②標的にインターネットや工作員、代理人を通じて直接、接触し自発的に帰国するよう脅す③現地で誘拐する――などだ。