上院選で共和に勢い 民主党は対立候補を中傷
By Seth McLaughlin – The Washington Times – Tuesday, October 4, 2022
民主党は、共和党が中絶を隠し、子犬を殺していると訴え、有権者にとって最優先事項である食卓の問題から話題をそらそうとしている。
ジョージア州上院選のラファエル・ウォーノック上院議員の対抗馬で、熱心なプロライフ(中絶反対派)、ハーシェル・ウォーカー氏(共和)が世論調査で勢いを増していたとき、リベラル寄りのデイリー・ビーストは、2009年に彼が女性にカネを渡して中絶させていたと報じた。
ペンシルベニア州の上院議員選挙でもその24時間以内に、やや似たようなことが起こっていた。フェミニストのウェブサイト、ジェゼベルが、共和党候補のメフメト・オズ氏が、300匹の犬を死に至らしめた医学研究に関与していたと報じたことを受けて、ジョン・フェッターマン副知事の陣営は、世論調査で優位に立っていたオズ氏に対しこの報道を最大限に利用しようとした。
選挙戦中であることから、この報道には批判が集まり、共和党は直ちに反撃し、民主党と大手メディアがウォーノック氏とフェッターマン氏を後押しするために偽の情報を流したと非難した。
オズ氏への批判は、ほとんど誰もが不合理で、無理があると考えたが、ウォーカー氏への非難は、特に23歳の息子、クリスチャン氏がソーシャルメディアで、父親をダメな父親であり、彼が描く「道徳的家庭人」とはほど遠いと表現したことを受けて、説得力を増した。
クリスチャン氏は選挙運動について「もう終わりだ! 何もかもがうそだった!」と訴えた。
ウォーカー氏は、この報道を「真っ赤なうそ」と呼び、デイリー・ビーストを訴えると脅した。
共和党はウォーカー氏に攻勢をかけるよう働き掛け、この報道がウォーノック氏を追い込むチャンスに大きく水を差すことにならないかと懸念している。
共和党員の中には、ウォーカー氏の選挙戦は終わったと言う者もいる。2020年の大統領選挙でドナルド・トランプ氏への投票を拒否した穏健派や郊外に住む女性などの共和党有権者が、ウォーカー氏に投票することはないだろうと予測したためだ。
ウォーカー氏はこの「特ダネ」の影響を全く受けておらず、記事が掲載されて以来、陣営は少なくとも18万2000ドルを調達したと主張する共和党員もいる。
共和党の戦略家、デビッド・ジョンソン氏は、この時点でこれほどの政治的逆風にさらされれば、他の候補者なら吹き飛ばされていただろうが、ウォーカー氏のスター性のおかげで今のところは踏みとどまっていると指摘している。
「それがどのような影響を及ぼすかは誰にも分からない。沈んでしまうのだろうか。おそらく。しかし、彼はハーシェル・ウォーカーだ。ジョージアでは、伝説的な存在であり、ジョージア大学のスターであり、ビンス・ドゥーリーとともに全米選手権に導いた人物だ」
「しかし、ウォーカーにとって大きな問題は、インフレ、経済、犯罪といった問題が彼に有利なため、選挙戦に勢いがあったものの、この問題への対応に少なくとも2、3日を費やしたことだ」
実際、リアル・クリア・ポリティクスの世論調査平均では、ジョージア州の選挙戦は接戦となっており、調査では一貫して、経済や犯罪など、有権者が共和党に最も期待している問題に最も関心が寄せられていることが分かる。
これは民主党にとっては懸念材料だ。2020年の決選投票で議席を獲得したウォーノック氏が強力な選挙戦を展開し、資金調達でリードし、そのおかげでテレビでの存在感も増していることは共和党側も認めている。
ウォーノック陣営は今週、過去3カ月間で2600万ドルという驚異的な額の資金を調達したと発表し、ウォーカー氏に対する資金面での優位性をさらに高めた。
4日には、トランプ氏ら全米の共和党員がウォーカー氏支持のために集結し、民主党は政治権力にしがみつくためなら何でもすると訴えた。
トランプ氏は声明で「ハーシェル・ウォーカー氏は、フェイクニュースメディアや民主党から中傷や悪評を浴びている。興味深いことに、彼の対立候補であるラファエル・ウォーノック氏についても、誰も話してはいけないような恐ろしいことをたくさん聞いている」と述べた。
「ハーシェルは自分に対する疑いをきちんと否定しており、彼が正しいことに疑いはない。スポーツ選手として偉大であったように、今後、偉業を成し遂げようとしている。民主党は、そのような男を潰そうとしている。ハーシェル・ウォーカー氏がこの選挙で勝利することは、われわれの国と偉大なるジョージア州にとって非常に重要なことだ」
上院共和党の選挙部門である全米共和党上院委員会の議長であるリック・スコット上院議員(フロリダ州)は、ウォーカー氏は非難を否定しており、党としては彼を支持すると述べた。
スコット氏は、「民主党は負けそうになると、今のように、うそをつき、ごまかし、中傷する。彼らは上院を失う寸前であることを知っている、ハーシェル・ウォーカー氏が勝っていることを知っている、だから、中傷作戦を強化している」と述べた。
スコット氏は保守派最高裁判事に対する上院での厳しい承認公聴会を引き合いに出し、「これは、ブレット・カバノー氏やクラレンス・トマス氏に対する中傷と同じで、うまくいかないだろう」と言った。
一方、再選を目指すブライアン・ケンプ州知事の陣営は、静観の姿勢を取っている。
ケンプ陣営のスポークスマン、コディ・ホール氏は、「この選挙戦を通じて繰り返し述べてきたように、知事は、自身の実績と2期目のビジョンを勤勉なジョージア市民に伝えること、そして11月8日に共和党が勝利を収めるために必要な広告、地上戦、投票率向上作戦のための資金を調達することに集中している」と述べた。
一方、オズ氏は8月中旬以降、フェッターマン氏に肉薄している。
選挙戦を追跡している超党派のクック・ポリティカル・リポートは、6週間前に「民主党有利」としていたが、4日に「接戦」に変更した。
クック・ポリティカル・レポートのジェシカ・テイラー氏は、このレースの動向が変わったのは、共和党がフェッターマン氏は犯罪に甘いとするテレビ広告に資金を投入したためだと分析している。
「共和党も民主党も、レースが拮抗していることを認めており、ペンシルベニア州が上院の過半数を占う転換点になるかもしれない」
評価が変更されたのは、フェッターマン陣営が、オズ氏が1989年から2010年にかけて300匹以上の犬を殺す研究に関与していたというジェゼベルの報道を利用しようとした翌日だった。
ほとんどの報道機関はこの報道を否定しており、共和党はフェッターマン陣営がこの報道を拡散させたと主張している。
夫人のジゼル・バレット・フェッターマン氏は声明で、この報道について「胸が張り裂ける」と述べた。
「医者はともかく、どんな人がこんなことをするのだろう」
オズ陣営は、この攻撃を陽動作戦と断じた。
オズ陣営の広報担当ブリタニー・ヤニック氏は、「ジョン・フェッターマン氏は、ペンシルベニア州民に壊滅的な打撃を与える危険で過激な政策について説明することを避けている。有権者を最も傷つけている問題から目をそらすために、必死にうそをついている」と述べた。