「行動派」上将が中国軍事委副主席に就任
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, October 26, 2022
中国軍の最高指導機関である中央軍事委員会の新たな副主席に何衛東氏が就任、台湾に対する軍事行動への懸念が高まっている。
何氏は、人民解放軍(PLA)の上将。就任に先立ち、習近平国家主席が3期目の党総書記に選出されており、習氏は中央軍事委の首席も務める。
習氏は、23日に閉幕した中国共産党の第20回党大会の開幕時に、中国の台湾統合は「実現しなければならず、間違いなく実現できる」と述べている。何氏の任命によって、中国は今後数年間で何らかの軍事行動を取るのではないかという懸念が米国で高まった。
公式略歴によると何氏は、2017~2018年のインドとの国境をめぐる対立が発生した時にPLAの西部戦区の司令官を務めていた。両国軍は、インドが自国領と主張する場所に中国が道路を建設したことをめぐって衝突した。
2年後、両国軍は、国境で交戦し、両軍に数十人の死者が出た。
何氏は2019年12月に上将に昇格、東部戦区の司令官に就任した。東部戦区は、PLAの中でも最も先進的な兵器を保有し、台湾の対岸を管轄する。戦区内の1200発以上のミサイルが台湾を射程内に収めている。
米インド太平洋軍の元情報将校のカール・シュスター元海軍大佐は、「この数年間に報じられたことが事実なら、何氏はPLA内の習氏の『行動派』の1人だ」と指摘した。
アジアからの報道によると、1月に東部戦区を去り、ペロシ下院議長の台湾訪問後に台湾周辺で実施された最大規模の軍事演習を指揮したとされている。ペロシ氏の台湾訪問に中国は強く反発していた。
何氏は1月に、PLAの作戦に責任を持つ中央軍事委員会統合幕僚に加わった。
8月初めの演習では、台湾を取り囲むように11発の弾道ミサイルが発射され、米軍高官らは、台湾への武力侵攻に備えた演習との見方をしている。
シュスター氏は「習氏が第20回党大会の準備をしている間、待機していたのだろうと思っている。戦略ロケット軍を8月の演習に参加させるための調整役を果たした可能性もある。2021年の(対艦弾道ミサイルの)海上試射時に東部戦区の司令官だったからだ」と述べた。
一方、留任した中央軍事委副主席、張又侠氏(72)は習氏に近いとみられている。張氏は、党幹部の定年とされる年齢を超えている。
国防総省のライダー報道官(空軍准将)は25日、中国が台湾に対して攻撃的な姿勢を強化していることについて質問を受けた。
ライダー氏は、「高圧的な態度は国際的なルール、規範に抵触しており、懸念を表明している。そのため、私たちは今後も、同盟国、パートナー国と連携し、侵攻を阻止し、地域の平和と安定を維持するよう努める」と述べた。