バイデン大統領、習主席との会談後、台湾侵攻の「差し迫った動きはない」と語る
By Jeff Mordock and Joseph Clark – The Washington Times – Monday, November 14, 2022
バイデン大統領と中国の習近平・国家主席は月曜日、インドネシアのバリで開催されたG20サミットの傍ら、約3時間会談し、両国間の緊張緩和を試みた。
会談では、米中関係を現実的な危機に陥れる可能性のある台湾と北朝鮮をめぐる政策など、いくつかの争点が浮き彫りになった。
大きな注目を集めた会談は、軍事・経済面での影響力を競う両国の緊張緩和をめざすところから始まった。
バイデン大統領が就任してから両人が会談するのは初めて。同大統領にとって、東南アジア諸国連合サミット、COP27気候サミットを含む今回の七日間の外交日程で最も重要なもの。
会談の直後、バイデン氏は両国の紛争を打ち消すように、米国と中国が世界の諸問題で連携できるだろう、と語って会場を後にした。
「新冷戦はまったく必要ない」、バイデン大統領は語った、「とことん競争していくが、紛争したいわけではない。競争を責任をもって管理していきたい。」
中国側の発表した会談の要旨では、首脳会談は「徹底的で率直かつ建設的だった」と説明した。しかし台湾に関する北京の立場は「中米関係で越えてはならない一線だ」と強調した。
トム・コットン上院議員(アーカンソー州選出、共和党)は、バイデン大統領が中国からの対米「冷戦」について、もっと他に対処の仕方があるはずだ、と指摘し、次のように語った。
「大統領が素朴な宥和政策に戻ることは米国を苦しめ、台湾を危険にさらし、習近平をいっそう大胆にさせるだろう。」
米中間の緊張は過去数十年で最悪なレベルで、台湾問題、中国の人権状況、ウクライナでの戦争、中国による米国の技術窃盗問題など複雑化している。
バイデン・習の両者は、台湾問題が会談の最優先課題であることを明らかにした。自治統治をしている台湾を、中国は自国領土と主張しており、台湾を支援すれば中国に対する挑発行動と見なす、と主張してきた。
「台湾を中国から切り離そうとすれば誰であろうと、中国の高潔な大義に挑戦するものと見なされる」、中国国営メディアによれば習主席はは会談後にそう語った。
バイデン大統領は、台湾への攻撃が差し迫っているとは思わない、と世界を安心させ、ワシントンが長年採ってきた「一つの中国」政策を再確認した。
米国は「台湾が中国の一部」という北京の立場を認める一方、民主主義の台湾とは非公式の外交関係と、実質的な防衛関係を維持しており、法的には台湾への中国の主権を認めていない。
中国当局は、米中両国が長年共有してきた米・台関係についての外交上の了解を混乱させたと訴えている。その例として、米国が台湾に兵器を搬入していること、八月にナンシー・ペロシ下院議長が同島を訪問するなど、ハイレベルの接触が続いていることに苛立っている。
バイデン大統領は習主席に、米国の台湾政策は変わっていない、と明言した。この会談に至るまで、バイデン大統領は四度、北京が台湾を攻撃すれば、米国は同島を守ると言明してきた。
台湾をめぐる紛争リスクについてバイデン大統領は、「海峡をはさんだ係争が平和的に解決され、不測の事態にならないことを望むと明言した」と説明した。「私の発言を彼は正確に理解したと確信している。」
バイデン・習会談が進行する傍ら、超党派議員団は米国から最大10億ドル相当の備蓄弾薬と、最大20億ドル相当の武器を台湾に送るパッケージをとりまとめていた。その中には対艦ミサイルと対空防衛ミサイルが含まれている可能性がある。
この武器搬入について米議会幹部は、ロシアのウクライナ侵攻のような危機を避けるために必要だ、台湾を武装して攻撃を未然に防げる、と説明した。
ペロシ下院議長訪台の数週間前、中国当局は米国が「火遊びをしている」と警告した。そしてペロシ訪問の報復として、中国は気候変動や軍事関係を含むいくつかの問題で、米国との関係を停止した。
米下院議長としては25年ぶりとなるペロシ女史(カリフォルニア州、民主党)の訪台について、中国は台湾独立を支援するものだと見なした。
中国が侵攻すれば米軍は台湾を守る、とバイデン大統領が繰り返し表明していることも、米中の緊張をさらに高めてきた。
ホワイトハウスは大統領発言を薄めてきたが、北京は台湾に干渉する如何なる試みも、「歴史のくびきに押しつぶされるだろう」と断言した。
台湾だけではなかった
バイデン大統領は習主席に対して、北朝鮮が核・ミサイル実験を停止するよう説得する義務が中国にあると指摘。もし北が軍事的威嚇を続ければ、米国は防衛的措置をとるだろうと語った。しかし大統領は北の核実験にどう対応するかは明言しなかった。
「これは中国に向けたものではない、北朝鮮に明瞭なメッセージを送るものだ」、バイデン氏は説明し、「我々は同盟国および米国の領土と国家の機能を守る」と強調した。
米国は韓国に大規模な軍事プレゼンスを保持しており、北朝鮮とその独裁者・金正恩の不満をよそに、この地域の同盟国と合同訓練を実施してきた。
一方で北朝鮮は急テンポでミサイル実験を行っており、核実験再開の懸念も高まっている。平壌の政府は閉鎖的なことで悪名高く、中国は数少ない海外の同盟の立場だ。
しかバイデン大統領は、平壌を抑えるのに中国がやれることはあまりないだろう、とも語った。
「中国は北朝鮮がこれ以上エスカレートするのを求めていないはずだ」、バイデン氏は語る、「我々はさらに中国に対して挑んでいくが、それは中国のせいと言うより、北朝鮮で起きていることが理由だ。」
習主席は先月、前例のない三期目の国家主席の地位を手にして、過去数十年で最も強力な中国の指導者の地位を固めた。一方のバイデン大統領は先週の中間選挙で、民主党が勝利したのは政策の証しだと評価した。同選挙で民主党は期待を上回ったが、共和党も下院を制する可能性が高く、バイデン政権について数々の調査を行うと約束してきた。
バイデン大統領は、民主党が政治的に成功しているので、習主席の戦闘的で非協調的なモードを抑制できた、と自賛した。「(主席は)ことさら挑戦的でも譲歩的でもなかった」、「いつものように直截的で率直だった」、バイデン氏はそう感想を語った。