バイデン政権、国境の混乱受け政策を転換 トランプ・スタイルを採用

(2023年1月9日)

2023年1月5日木曜日、ワシントンのホワイトハウスのルーズベルトルームで、国境警備について話すジョー・バイデン大統領。(AP Photo/Patrick Semansky))

By Stephen Dinan – The Washington Times – Thursday, January 5, 2023

 バイデン大統領は5日、国境警備への新たな取り組みを明らかにし、ハイチ、キューバ、ニカラグアからの移民を大量に受け入れることを計画する一方、トランプ式の追放と封鎖を実施することを約束し、入国の手順に従わない人々の入国を拒否することにした。

 南部国境で前例のない混乱が2年間続き、バイデン氏はようやく、アメとむちのアプローチを発表した。遅きに失したとはいえ、バイデン氏に危機への対処に具体的な答えを与えるものだ。

 合法的な入国では、四つの国から毎月最大3万人を対象とすることになる。これによって、恒久的な地位を獲得するのを待つ間、米国で生活し、働くための2年間の猶予が与えられる。

 メキシコは、合法的な手順をへずに南部国境を越えようとする人々を、月に3万人まで引き取ることに同意している。そのメキシコへの帰還政策は、トランプ政権が2019年の国境の難民急増を解決するために用いた政策と似ている。

 バイデン氏はホワイトハウスで、民主、共和両党にこの取り組みを受け入れるよう呼びかけた。

 「これは難しいことだが、対処しなければならない」

 「これから発表するこれらの行動だけでは、移民制度を解決することはできないが、かなりの助けになる」

 政権幹部は、この法的措置について「前例がない」とした。

 「月3万人というのは本当に画期的なことだ」とある政府関係者は語った。

 バイデン氏は来週ようやく、初めて国境を訪れる。

 一方で、新政策は行政権の驚くべき行使であり、移民問題へ賛否の両者から司法に訴えられる可能性がある。一方、右派の法律専門家は、バイデン氏が「臨時入国許可」を拡大解釈し、議会が設けた制度の範囲外で移民を受け入れることに疑問を呈している。

 米移民改革連盟の政府関係の責任者、R.J.ハウマン氏は、「これは米国史上最もひどい、人道的臨時入国許可の権限の乱用の一つであり、違法だ。『ケース・バイ・ケース』が業界規模の対応に変質してしまった」と述べた

 法的な議論はさておき、政権はこの計画がうまくいくと言っている。

 昨秋、ベネズエラからの移民が急増し、国境を越える恐れがあった際に、当局はこの措置を試行した。10月に政権は、海外から申請してきたベネズエラ人移民に臨時入国許可を出し、その他の人をメキシコに送り返す方針を発表した。

 その結果、9月の3万3804人から11月には7931人へと、無許可の南部国境での越境を劇的に減らすことに成功した。

 この措置は現在、国境の混乱に拍車をかけているハイチ、キューバ、ニカラグアからの移民にも拡大される。

 政権は、これら4カ国から毎月最大3万人を臨時入国させると発表した。メキシコは追放された3万人を引き取ることになる。

 11月に南部の国境で、この4カ国出身の8万2000人以上が摘発された。彼らは、税関・国境警備局(CBP)の職員や警官に捕まった23万3740人の不法越境者の一部だった。

 バイデン氏が大統領に当選する前の月の2020年10月、CBPが南部国境を越え、摘発した移民は、わずか7万1929人だった。

 そのうち9割の6万4894人は、新型コロナウイルスの蔓延を遅らせるために、越境者の迅速な排除を可能にした「タイトル42」のパンデミック緊急政策に基づいて追放された。

 専門家によれば、国境での騒乱のレベルは、移民が彼らの望みである迅速な解放を得られるか、それとも排除されるかによって決まるという。より多くの人が捕まり、解放されれば、より多くの人が越境を試みようとするようになる。

 トランプ・チームは、タイトル42、「メキシコに留まる」政策、他国から入国し米国への亡命を申請することを制限する新しい規則を組み合わせて使用し、事実上キャッチ・アンド・リリースを終了させた。

 バイデン氏のもとでは、推定で月におよそ10万人の移民が捕えられ、解放されている。中には亡命申請を行う者もいるが、ほとんどの申請は認められない。過去の慣行が通用するならば、ほとんどは亡命申請が失敗してもそのまま残り、米国内の他の1100万人の不法移民の中に紛れ込むことになる。

 新たな移民は全米に広がり、ニューヨークやワシントンなどの都市の社会サービスでは手に負えなくなっている。

 他にも、激化していることがある。

 南部の国境を越えて入ってくるフェンタニルの量は、壊滅的なレベルに達している。国境警備隊はまた、テロ監視リストに載っている人々が潜入しようとするケースも増加し、前例のない数に上る。

 移民の死者は過去最高を記録し、密輸カルテルは移民の急増から記録的な利益を得ている。ワシントン・タイムズの密入国事件のデータベースによると、メキシコ人は密入国するために最大1万2000ドルを支払っている。中米出身者は2万ドルも支払っている。

 昨年のワシントン・タイムズ紙の分析では、密輸入の経済規模は合計で200億ドル以上とされている。

 政府関係者は、アメとむちのアプローチを採用した理由の一つとして、カルテルを指摘した。

 ある当局者は記者団に「われわれがやろうとしているのは、密輸業者を問題から排除することだ。昨年来、回避できる悲劇をたくさん見てきた。移民たちが、こうした冷酷な組織の手に命を委ねなくていいようにしたい」と述べた。

 当局者はまた、トランプ政権の取り組みとの差別化に努めている。彼らは、毎月3万人の受け入れは、米国に来たい人に法的に対処するためのものだと述べた。

 ある当局者は「それらは、合法的な経路を減らすのではなく、増やす結果になる」と言った。

 この資格を得るには、移民は経歴のチェックを受け、米国で身元引受人を得なければならない。慈善団体が活動しているため、これはそれほど難しくないと当局者は言う。申請書作成に使えるスマートフォンのアプリまである。

 政権は、2023年と2024年に西半球からの難民受け入れのために最大2万人の枠を確保し、米国を目指す人たちに別の枠を作ると発表した。

 バイデン氏は法廷でタイトル42をめぐって争っているが、その最中にこの政策は発表された。

 この訴訟は最高裁まで行き、最高裁は先週、判事が意見を出すまでこの政策を有効にしておくよう命じた。最高裁は2月に口頭弁論を予定している。

 この動きは、バイデン政権に準備のための時間を与えることになる。

 政権幹部は、タイトル42が終了した後、移民を処理するためのより強固なシステムを作ろうとしていると述べている。

 その一環として、迅速に外国人の退去を行う略式国外退去の措置が取られる。

 前政権下でこれは、移民を排除するための強力な手段だった。2015年、オバマ大統領の下で略式国外退去措置が取られた移民のうち70%近くが追放された。

 ジェームズ・ランクフォード上院議員(共和、オクラホマ州)が入手した国土安全保障省のデータによると、バイデン政権の2022年に、略式国外退去措置が取られた移民のうち、追放されたのはわずか7%だった。

 当局者は5日、記者団に対し、こうしたケースを迅速に処理するために、より多くの人をこの体制に加えるよう尽力していると語った。

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