中国が新型エンジン開発、極超音速 2倍の大出力実現
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, February 22, 2023
中国軍は、固体燃料を使った「外気吸入型」極超音速ジェットエンジンの試作に成功したことを明らかにした。極超音速ミサイルに搭載するためのエンジンだ。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、この新型エンジンを開発したのは湖南省長沙市の国防科技大学の研究チームで、燃料効率が大幅に改善、実用化されれば、中国軍の極超音速ミサイルの射程が大幅に延びることになる。
研究チームを率いる馬立坤氏は、燃料効率は同様の条件の下で、従来の極超音速ジェットエンジンの「ほぼ2倍であり、画期的なこと」としている。
報道によると、取り入れた外気を燃焼室に入る前に音速以下にまで減速させることで燃焼の効率を上げ、高効率を実現できたという。
新型エンジンには、燃焼速度の速い粉末ボロン(ホウ素)が使用され、大出力、長時間燃焼を可能にしている。
研究チームは論文で、「固体燃料スクラムジェットエンジンにはさまざまな有利な点がある。構造が単純、高い推進力、安定した燃焼が確保でき、広範囲の速度域に対応できる可能性がある」と指摘している。
これにより、標的に到達するまでの機動力が高まり、ミサイル防衛網の回避能力が高まる可能性がある。
今月初めに米国上空を飛行した中国の「スパイ気球」は、有事の極超音速ミサイルによる米国のミサイル基地への攻撃に備えて大気のサンプルを収集することが目的だったと指摘する専門家もいる。
中国は射程約2500キロの極超音速ミサイル「東風17」を配備し、2021年には4万キロを飛行可能な「部分軌道爆撃システム(FOBS)」による極超音速ミサイルの試射を実施した。
中国軍に関する米国防総省の最新の年次報告によると、中国軍は20年に初めて、極超音速滑空飛翔体を配備したが、これには将来、極超音速巡航ミサイルにも使用されるとみられる極超音速スクラムジェットエンジンが搭載されていた。