ポンペオ氏が米政権の対中政策を非難、習氏は熱心なマルクス主義者
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, February 21, 2023
ポンペオ米前国務長官は、ワシントン・タイムズとのインタビューで、中国の習近平国家主席について「熱心なマルクス・レーニン主義者」と指摘、覇権を拡大する中国封じ込めの必要性を改めて訴えた。ポンペオ氏は1月に、トランプ政権での4年間を振り返る回顧録を出版し、習氏を「最も危険」な指導者と激しく非難したばかり。
ポンペオ氏は、トランプ政権時に中国に対して強硬姿勢を取ったものの、その多くは2021年にバイデン政権になって以降、撤回されたと指摘、「国内、つまり『門の中』で中国に対抗しようとしたがその多くはバイデン米大統領によって止められた。司法省は訴追を取り消し、(国土安全保障省では)『国境開放』策が取られ、中国からスパイや医療用麻薬フェンタニルが流入、学校は程度の差はあれ、CCP(中国共産党)の影響を受け、(新型コロナウイルスの)研究所からの流出にも否定的」と苦言を呈した。
12年に権力を掌握した中国の習近平国家主席について、熱心なマルクス・レーニン主義者であり、中国政府内のすべてが共産主義思想の影響を受けていると指摘。また、中国軍は台湾侵攻の準備をするとともに、宇宙、サイバー、通常兵器、核兵器、海上、あらゆる領域で軍事力を増強しており、依然として巨大経済圏構想「一帯一路」で世界中に影響力を拡大しようとしていると警戒を呼び掛けた。
ポンペオ氏は、中国は他の全体主義国家と同様、軍備増強を進めているが、自国民を恐れていると強調、国内治安の予算の方が中国軍の予算よりも多いことを明らかにした。
18年のシンガポールでの米朝会談後に、北京で行った習氏との会談ついては、会談中、厳格な共産主義者であることを示そうと笑顔は決して見せず、「目は死んでいた」と述懐。「陸軍にいた時に学んだ、東独やソ連の共産主義者と同様の心理状態にあり、うつろで、いつも、言葉、フレーズ、意味の不明確な中国の古いことわざを慎重に探していた」と振り返った。
習氏は会談中、米国の台湾への支持、中国製品への関税、南シナ海の支配への非難に強く反発していたが、ポンペオ氏は「習氏のうそに対して事実で対応した。CCPは、偉大な米国に対抗できない」と応じたという。
また、隣国を脅し、賄賂で仲間をつくることでは大国の地位を築くことはできないと政策の転換を求めたという。回顧録には「習氏との関係で一番の見せ場はここだ。穏やかに事実を伝えた」と記している。
50年にわたって、中国との経済的関与政策が取られてきたことについては「素晴らしく、理想的な理論だったが、うまくいかなかった」と指摘、トランプ政権時に政策を転換し、中国を敵国として扱うことにしたことを明らかにした。
その上で、政界、財界、知識人の間で親中派が多く、国務省などで厳しい対中政策へとシフトできたのは、ごく一部の顧問らのおかげだったと指摘。その中でも自身の対中政策顧問だったマイルズ・ユー氏を貴重な情報源として称(たた)えた。
新型コロナの感染がピークの時には、習氏がトランプ氏に電話し、ポンペオ氏の解任を求めたことがあったという。その後トランプ氏は習氏についてポンペオ氏に「嫌なやつだ。お前を嫌っている」と言い、解任することはなかった。一方で、「一時的に休戦」し、公的な場での対中非難を控えるよう求めたという。
回顧録でポンペオ氏は、19年の演説で、強い権力を持つ9400万人の共産党員と中国国民は「同じではないと」主張したことを強調しているが、これが最も重大な対中政策の転換となったとポンペオ氏は述べ、「過去数十年間の国務長官の言葉としては最も嫌われ、恐れられる発言の一つとなった」と振り返った。