アカデミー賞にもジェンダー中立の波
By Valerie Richardson – The Washington Times – Thursday, March 9, 2023
アカデミー賞の主演女優賞は今年が最後になるかもしれない。エンターテインメント産業でジェンダーニュートラル(性的中立)の傾向が強まり、性別による賞を廃止する動きが強まっているからだ。
すでに音楽界最高の栄誉とされるグラミー賞、映画とテレビ番組に贈られるMTVムービー・テレビ・アワード、独立系映画に贈られるゴッサム賞とインディペンデント・スピリット賞は、主演男優賞、主演女優賞を「ベストパフォーマー」「ベストパフォーマンス」に変更している。
芸能界のこのような傾向を受けて、公平か多様性かを巡る新たな議論がアカデミー賞を巡っても沸き起こっている。賞の性別が見直されることで、男性優位とされる芸能界で女優が不利になり、受賞の機会を逃すようになる可能性があるからだ。
アカデミー賞女優、パトリシア・アークエットさんは昨年11月のゴッサム賞の授賞式でこの問題について「それで公平になるかどうかは分からない」と懸念を表明、英女優のジョアンナ・ラムリーさんも2月のテレビインタビューで、「多くの男性とともに『主演俳優』として私の名前が挙がっても、受賞のチャンスはないだろう。『主演女優』としてならあるかもしれない」と話している。
このところ、授賞式の視聴者数は減少傾向にあり、100年近くに及ぶ伝統を変えることに対する危機感を抱く人々も多い。
ニールセンの調査によると、2021年のアカデミー賞授賞式の視聴者数は過去最低の1050万人。芸能誌バラエティーによると22年には1660万人に増えるが、それでも最低から2番目だ。
ブログ「アワード・デイリー」のサシャ・ストーン氏は、「生き残りたければ、『ウォーク(差別に敏感なこと)トピア』としてイメージを一新することを拒否すべきだ」と主張。ポッドキャスト「ハリウッド・イン・トト」の司会者、クリスチャン・トト氏も、ジェンダーニュートラルの傾向によって近年、「従来の視聴者が離れている」と警告した。