バイデン政権の矛盾したエネルギー政策

(2023年9月20日)

2015年4月24日、ニューメキシコ州ラヴィントン近郊の畑で作業するポンプジャッキ。バイデン政権は、エネルギー企業が公有地で掘削するコストを引き上げ、掘削が完了または放棄された古い油井の浄化要件を強化する、国の石油・ガスリースプログラムの新規則を提案している。(AP Photo/Charlie Riedel)

By Ramsey Touchberry – The Washington Times – Tuesday, September 12, 2023

 バイデン大統領が気候変動政策の一環として化石燃料の生産と消費を鈍化させる計画を発表したにもかかわらず、国内の石油生産量が年末までに過去最高に達すると予測されている。

 バイデン氏は短期的な石油供給とガソリン価格をほぼ管理できておらず、業界のアナリストによると、グリーンエネルギー政策とガソリン価格高騰を抑えるための増産という矛盾するメッセージを発することで、石油生産に長期的な被害をもたらした。

 ブラスウェル法律事務所の上級顧問兼エネルギー専門家のフランク・マイサノ氏は「バイデン政権がこれらすべてに責任があるわけではないが、最初から曖昧なメッセージを送ってきた。政権は消費者と環境保護主義者との間で板挟みになり窮地に陥っている」と述べた。

 バイデン氏は先週、最新の環境規制を発表、トランプ政権時代に承認されていた北極圏国立野生動物保護区での石油・天然ガス採掘への連邦所有地のリースをすべてキャンセルした。これによって、1300万エーカー(約5万2000平方キロ)に及ぶアラスカの地域での新規採掘はできなくなり、政権の他の保護政策と合わせることで、北極海の米国部分全域で、石油・ガス採掘への新たなリースは許可されなくなる。

 共和党はガソリン高騰を受けてバイデン政権のエネルギー政策を非難しているが、エネルギー情報局(EIA)によると、米国は今年、日量平均1280万バレルの石油を産出、来年は1310万バレルに上り、新型コロナ流行以前の記録を破ると予想されている。

 米国は2018年にロシアとサウジアラビアを上回って以来、世界最大の産油国だ。国際エネルギー機関(IEA)は、石油、天然ガス、石炭などの化石燃料の世界的な需要は、2030年ごろまで増加すると予測している。

 バイデン氏は競合する利害関係者らをなだめようとしてきた。気候変動活動家らは、連邦政府の土地や水域での石油と天然ガスの生産を止めなかったとして、バイデン政権に不満を持っている。一方、平均的な米国人は依然として高いガソリン価格に不満を抱いている。

 バイデン氏と政権の高官らは、増産し、価格を下げるよう大手石油会社に促す一方で、規制を強化してきた。

 マイサノ氏は「政権の規制は一貫性がなく、長期的な損害をもたらす。業界全体、石油、ガス、再生可能エネルギーのどれもが、政策の確実性を望んでいる。長期的計画を持つことが不可欠だからだ」と述べた。

 全米自動車協会(AAA)によると、12日の時点で全国平均ガソリン価格は1ガロン(約3.8リットル)当たり3.84ドルで、1年前より12セント高い。石油価格は上昇し、1バレル約90ドルで、1年前とほぼ同じ価格となっている。EIAは世界の在庫が減少した結果、今年の残りの期間、原油価格の代表的指標の一つのブレントは1バレル平均93ドルになると予測している。

 また、ガソリンコストの上昇は、原油価格の上昇、世界的な需要の増加、中東での減産、国内の精製能力を制限する熱波によるものだ。EIAによると、8月の世界の石油需要は1日当たり1億140万バレルで、1億80万バレルの供給をわずかに上回った。

 共和党は、ガソリン価格高騰とアラスカでの新たな掘削に対するバイデン氏の最新の政策とを関連付けようとしており、この問題が、来年の再選を求める現職民主党議員にとって課題となることは間違いない。

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