米軍 国際法を武器に戦う中国に対抗

(2024年9月8日)

8月27日、マニラで開催された第35回インド太平洋国際軍事法・作戦会議で講演する米インド太平洋軍参謀判事のダスティン・ウォレス海軍大尉。(ビル・ガーツ/ワシントン・タイムズ)

By Bill Gertz – The Washington Times – Friday, August 30, 2024

 中国軍はアジア太平洋地域で、国際法を盾に攻撃的で危険な行動を取っており、米軍は「カウンターローフェア(法律を武器とした戦争への対抗策)」を強化せざるを得なくなっている――海軍大佐でこの作戦を担当する法律専門家がワシントン・タイムズに語った。

 インド太平洋軍の主任法務官、ダスティン・ウォレス大佐は、中国はアジア、世界中で戦略的、軍事的目的を達成するために、国際法と法的原則の誤用と乱用である「ローフェア(法を武器とした戦争)」を意図的に行っていると述べた。

 ウォレス氏はフィリピン・マニラでの軍事法務会議の傍らでインタビューに応じ、「彼らは法律を威圧と侵略のツールとして使用している」と語った。

 米当局者は、中国のローフェアは、南シナ海での最近の対立で最も顕著だと語る。ウォレス氏は、米国と相互防衛条約を結ぶフィリピンに対する「攻撃的で危険な行動」に相当すると述べた。

 インド太平洋軍は2年前、南シナ海の大部分、台湾、日本の尖閣諸島周辺海域の支配権を主張する中国の動きに対して、独自のカウンターローフェアプログラムを開始した。ウォレス氏は、このプログラムは、オーストラリア軍と日本の自衛隊、その他の米軍司令部と協力していると述べた。

 インド太平洋軍の法律専門家らは、領土や海洋に対する中国のさまざまな法的主張を無効として異議を唱える24以上の公開報告書を作成した。

 例えば、中国の沿岸警備隊が、セカンド・トーマス礁(アユンギン礁)でフィリピンの船舶に突っ込み、放水した事例に関して最近更新された報告書は、国際法の下で中国にセカンド・トーマス礁への領有権はないと論じている。セカンド・トーマス礁は、両国が領有を主張している。ここにはフィリピンが座礁させたタンカーがあり、フィリピン軍はここに駐留する兵員に物資を補給しており、これらの船舶に対し中国は威嚇や攻撃を繰り返している。

 セカンド・トーマス礁はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあり、国際仲裁裁判所は2016年の判決で、中国の主張は違法であると判断した。中国は一貫して国際パネルの調査結果を無視してきた。

 その報告書は、「国際法の順守はすべての国に利益をもたらすルールに基づく国際秩序の基本である。シエラマドレ号とセカンド・トーマス礁とその周辺地域を含む、フィリピンのEEZ内での同国の合法的で主権的な活動に中国は繰り返し妨害行為を行っており、危険な前例となっている。抑制せずに放置すれば中国をつけ上がらせ、フィリピンやこの地域の他の国々に対してさらなる威圧行動を取るようになる可能性がある」と指摘している。

 米軍は、中国とフィリピンの間のセカンド・トーマス礁付近での衝突を、米中間の一番の火種の一つと見なしている。1951年のフィリピンと米国との相互防衛条約により、米国は紛争に巻き込まれる可能性がある。

 対立がエスカレートした場合、低劣度の海戦が地域の大きな紛争を引き起こす可能性がある。

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