国境の壁建設資材の売却、トランプ氏が差し止め要求
By Alex Miller and Stephen Dinan – The Washington Times – Sunday, December 22, 2024
国境の壁をめぐる論争は、バイデン政権がドナルド・トランプ次期大統領の計画に対抗するかのように資材の売却を進めたことでヒートアップしている。トランプ氏は、来年には確実に壁の建設を再開できるよう、連邦裁判所に売却の「即時停止」を求めている。
トランプ氏の弁護士であるジョン・ザウアー氏は、バイデン政権関係者がトランプ氏の計画を妨害するために資材を格安で販売しているとすれば、「犯罪行為」に当たる可能性もあると指摘する。
連邦議会の共和党議員らも、現政権に対し売却の現状についての説明を求め、壁建設の資材が信じられないほどの安値で投げ売りされた過去のオークションについても明らかにするよう要求している。
その怒りが爆発したのは今月初め、新品の鉄鋼がオンラインオークションサイトで売りに出された後のことだった。トランプ氏は法廷提出書類の中で、買い手の一部が態度を変え、新政権に対し買った鉄鋼を大幅に値上げしたうえで売り戻すことを申し出たと明かした。
ザウアー弁護士はテキサス州の連邦裁判所で「トランプ次期大統領の今後4年間の最優先課題の一つである国境の壁建設は、こうした取り組みによって不法に妨害、遅延、または阻止される可能性がある」と主張した。
トランプ氏の2016年の選挙公約で目玉だった国境の壁建設は、2021年にトランプ氏を破って就任したバイデン大統領にとって主要なターゲットとなったのだ。
就任初日、バイデン大統領は壁建設の停止を命じ、その後4年間、議会がすでに割り当てた予算がこれ以上壁建設に使われない方法を模索してきた。その取り組みの内容は、建設を遅らせたり、資金を環境浄化など他の用途に使ったりすることだった。
連邦地方裁判所のドリュー・ティプトン判事は今年初め、バイデン政権の取り組みは違法であるとし、資金を壁建設に使うよう指示した。
この訴訟の原告である共和党主導の州は、今すぐ裁判官が介入して壁資材売却に対する判決を下すよう求めている。テキサス州のケン・パクストン司法長官は売却を「退任する政権による妨害行為」だと述べた。
トランプ氏は20日、法廷意見書を通じ、次期大統領として裁判の結果に利害関係があると主張した。
共和党は売却の中止を求めるだけでなく、国防総省がすでに処分した物資の処分方法についての説明も要求している。
テネシー州共和党のビル・ハガティ上院議員は「国民の圧倒的多数が壁の建設を支持しているにもかかわらず、税金で購入した国境の壁の一部を、トランプ次期大統領が就任する数週間前にバイデン政権が低価格で競売に掛けるのは不道徳だ」と憤った。
アーカンソー州共和党のトム・コットン上院議員は国防総省に対し、売却に関するすべての文書を保存するよう求め、壁資材を購入した企業のリストを要求した。
コットン氏はロイド・オースティン国防長官に宛てた書簡で「南西部国境の壁の建設を中止するという恥ずべき決定がバイデン大統領によってなされたことは認識しているが、使われなかった資材の処分における国防総省の役割については疑問が残る」と述べた。
トランプ氏の政権移行チームは国土安全保障当局に対し、残された資材に関する最新の情報を得るよう迫っている。
バイデン政権は、オースティン長官に余剰とみなされた壁の資材を「南部国境沿いの州に使用、譲渡、または寄付する」計画を策定するよう求めた2024年度国防権限法案の一部を実行しているのだと主張している。