ギングリッチ元下院議長、日本の反統一教会キャンペーンに警告 ワシントンで宗教自由サミット

(2025年2月6日)

2020年2月7日、韓国・加平市の清真平和ワールドセンターで行われた集団結婚式に出席した世界各国のカップルたち。統一教会の創始者の故文鮮明(ムン・ソンミョン)師の妻である韓鶴子(ハン・ハクジャ)夫人が手配した統一教会の集団結婚式で、韓国人と外国人のカップルが結婚の誓いを交わした。(AP Photo/Ahn Young-joon, File)

By Ben Wolfgang – The Washington Times – Tuesday, February 4, 2025

 日本は、統一教会を罰する取り組みを実行に移せば、信教の自由という普遍的原則に大打撃を与え、米国との関係に深いダメージを与えかねず、共産中国に大きな勝利をもたらすことになるとニュート・ギングリッチ元下院議長は警告した。

 ギングリッチ氏ら著名な政治家、宗教人らは4日夜、ワシントンで開催された「国際宗教自由(IRF)サミット2025」で、日本政府が統一教会から宗教法人格を剥奪しようと激しく攻撃しているが、これは、1950年代後半から国内で活動している統一教会に対する共産主義者の支援を受けたものだと語った。

 ギングリッチ氏はサミットでのビデオ演説で「バイデン政権はすでにこの活動を非難している。国連はすでにこの活動を非難している。そして今、トランプ大統領がそれに加わった。トランプ氏は、信教の自由に深く、情熱的にコミットしている人物だ」と語った。

 「このことは、米国と日本の関係、そして日本の政治に起きていることに対する私たちの見方に重大な影響をもたらす。日本が自由を支持し続けることは非常に重要だ。日本が自国の憲法に従うことは非常に重要だ」

 「日本が米国とともにあり続け、共産主義の中国に徐々に支配されるのを許さないことが非常に重要だ」

 日本での共産主義者の支援を受けた反統一教会の動きは何十年も前にさかのぼるが、教会への最近の攻撃は、2022年の安倍晋三元首相の暗殺後に始まった。

 トランプ氏の親友であった安倍氏の殺害とその余波は、日本の共産主義者を増長させたとみられ、彼らは以来、統一教会とのつながりをめぐって長期与党の自民党・安倍政権を攻撃し、信用を失墜させようとしている。安倍元首相を射殺したとされる人物は、元首相が20年前に一家を破産させた原因とされる統一教会とのつながりが動機だったとされている。

 東京の裁判所は現在、統一教会から日本での非課税資格を剥奪するかどうかを審理している。審理は秘密主義的で非公開で行われ、訴えを裏付ける証拠は疑わしく、大きな問題があると批判されている。

 判決は間もなく下される予定だ。

 IRFサミットの講演者は、統一教会の法人格剥奪は世界中に波及し、あらゆる宗教の信者の信仰の自由を冷え込ませると述べた。

 このサミットは、すべての信教の自由を守るために、すべての宗教が協力し合うべきだという考えに基づいて開催されたと主催者は述べている。4日夕、大会の壇上で、多数の宗教の代表者らが同じ大きなボウルに水を注ぎ、宗教的自由の原則のために「力を合わせる」ことを誓った。

 サミットの共同議長、人権団体「北朝鮮人権委員会」の共同議長、元民主党下院議員候補のカトリーナ・ラントススウェット氏は、「私たちが目撃した、さまざまな信仰共同体が水を同じ器に注ぎ合うこの素晴らしい儀式は、サミットの本質を示している、団結し、信仰を分かち合い、私たち全員の権利を守るために力を合わせるということを見事に象徴している」と語った。

 ギングリッチ氏は、日本の統一教会にも地政学的な強い力学が働いていると述べた。この動きの背後では、日本の共産主義勢力が自国を米国から引き離し、中国へと引き付けようとしており、現代の世界情勢を決定づける米中の競争が進行している。

 ギングリッチ氏は、ワシントン・タイムズ財団と天宙平和連合(UPF)が主催したサミットでの演説の中で、「率直に言って、共産主義者は、中国との関係をより緊密にし、米国との関係をより遠ざけるような環境を作り出そうとしてきた。政府は統一教会を破壊しようとしている。日本国憲法に則れば、できるはずのないことだ。何の罪も見つかっていない。政府には何の根拠もない」

 IRFサミットに出席した数十人の指導者らは、4日夜、統一教会への攻撃をやめるよう日本に求める声明に署名した。

 声明は「安倍氏暗殺は確かに大きな波紋を呼んだが、それが、日本の人権を侵害する立法、行政、法的措置につながるものであってはならないと考える。民主主義国家は、いかなる宗教も自由に活動し、寄付を集め、信仰と道徳的価値を次世代に伝える権利を恣意的に害してはならない」とうたっている。

 トランプ政権が石破茂首相に対して、統一教会に対する日本の攻撃を放棄するよう、公的、私的に圧力をかけるつもりなのかどうかは不明だ。

越えてはならない一線

 IRFサミットでは、国内外のさまざまな宗教指導者や政治指導者が発言した。ラントススウェット氏と、元カンザス州知事で現在は国際宗教自由大使のサム・ブラウンバック氏が共同議長を務めた。

 講演者らは、中国やイランのような強硬な体制からの宗教への圧力や、ロシアによるいわれのない軍事侵攻3周年を間近に控えたウクライナのキリスト教徒の苦境など、世界中の信教の自由に対する脅威の数々に注目した。

 そのなかで、統一教会(正式名称は「世界平和統一家庭連合」)日本本部に関する現状についても鋭いコメントが出された。

 家庭連合の田中富広会長は、日本国内での取り組みを「魔女狩り的宗教弾圧」であり、民主主義国家の日本とは相いれないと指摘した。

 「2022年の安倍首相暗殺事件以降、家庭連合の会員たちは大きな苦しみの中におります。私は、日本政府は越えてはならない一線を越えたと思っております。事実、家庭連合は解散理由になる刑事事件を一件も起こしたことありません」

 文鮮明師は1954年に統一教会を創立した。

 1950年代に韓国で設立された小さな教会から始まった統一教会は、数十年の間に世界的な精神運動へと発展し、ワシントン・タイムズ紙を含む何百ものベンチャー企業を立ち上げた。文師が2012年に亡くなって以来、文師の妻、韓鶴子博士が統一運動を率いている。

法的問題

 統一教会は強い反共産主義の立場をとっており、日本の信者は、長期にわたって政権を握る保守与党・自民党の選挙活動を支援してきた。

 自民党と統一教会の結びつきは、2022年に戦後最長の首相を務め、自民党の中心人物であった安倍首相が暗殺されたことで引き裂かれた。

 犯人は安倍首相と教会とのつながりに怒りを抱いていた。彼は、母親の教会への莫大な献金が破産を招いたと話している。教会擁護派は、犯人の母親は現在も教会員であり、他の家族も教会の責任を問わない声明に署名し、献金の半分が返却されていると述べている。

 日本の国会は2022年12月、宗教団体などによる政治家への献金勧誘を制限する法律を制定した。これを受けて、数十カ国に代表者を擁する国際宗教自由円卓会議など、信教の自由を求める世界中の団体が警告を発した。

 この法律は、宗教団体が宗教的な意味を持つ物品の販売に従事することを禁止し、信者や他の寄付者、その家族が宗教団体に提供された金銭の返還を求めることを認めている。

 統一教会を10年以上にわたって擁護してきた弁護士のパトリシア・デュバル氏は、4日夜のイベントで、この法律は一つの教会、宗派、信仰をはるかに超えて広がる可能性があると警告した。

 「この法律は特に統一教会のために作られたと発表されたが、将来的には間違いなく他の教派に対しても適用される可能性がある」

 統一教会の会員は、教会は10年以上霊的な物品販売には関与していないと言う。

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