急激に増大する中国発・宇宙戦争の脅威

(2021年7月14日)

In this photo released by China’s Xinhua News Agency, Chinese President Xi Jinping greets workers after having a video conversation with the three astronauts aboard China’s space station core module Tianhe at the Beijing Aerospace Control Center in Beijing, Wednesday, June 23, 2021.

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, July 7, 2021

 中国は過去6年間、大規模かつ急速に宇宙空間での戦争能力を構築してきた事実は、米国が立ち上げ始めた宇宙軍にとって大きな懸念事項だ-同軍の高級将校の一人が明らかにした。

 米国宇宙軍の司令部で戦略・企画・政策を指揮するマイケル・ベルナッキ海軍少将によれば、少し前までの中国の能力を考慮すれば、人工衛星攻撃用ミサイルや軌道周回兵器、宇宙戦争用電子装置などで中国が急ピッチに発達していることは特に憂慮される。

「私が一番恐れているわけは、6年前の中国には皆無に近かった能力を、今日、目撃しているからだ。中国が宇宙空間での戦闘能力を急激に発達させているのは恐るべきで、それ以外に表現のしようがないほどだ」、ベルナッキ少将は最近行われたウェビナーで語っている。

 かつて潜水艦艦長だった同少将は、中国の宇宙空間での軍事能力による危険度は、人民解放軍が宇宙戦闘能力とその他、例えばサイバー能力や正規軍の能力を統合することでさらに高まっている、と指摘した。「中国が軍事力の分野を越えて連携させ、それを演習でも示している実力は恐ろしいほどだ」、そして「この急激な成長と分野を越えられる能力の行きつく先はどこなのか、私には答えが見つからない」、そう少将は語った。

 元国防長官のジェームズ・N・マティスと同じく、ベルナッキ少将はかつて、「私を不眠にさせるものは何もない、むしろ敵が不眠に苛まれるようにしてみせる」と豪語した。「しかし今、それを断言できないもの、それは中国による宇宙兵器の成長の速度だ」と同少将は述懐した。

 中国が大規模に増強できる理由のひとつは、宇宙空間のインフラを軍用と民生用で区別していないことだ。「すべてが二重目的だ」とベルナッチ少将は指摘する。そして中国が新型宇宙兵器は「宇宙を軍事化する」ものではない、と主張しているのは、北京当局の「偽善」に過ぎない、と付け加えた。

 中国とロシアは人工衛星を撃ち落とせる宇宙兵器を保有しており、その上で、米国と宇宙防衛開発を制約する法的拘束力を帯びた協定の締結を求めている。「米国は常に条約を尊重するから、中露両国は法律の文言をカバーに使おうと目論んでいるのだ。民主主義国家として我々は常にその如く行動するしかない」、ベルナッキ少将は語った。

 米国宇宙軍は、宇宙空間での脅威に対抗するため、非対称的アプローチで中国抑止に取り組んでいる。「宇宙軍の存在理由は、明らかにそうした攻撃を抑止することにある」と同少将は言明した。「我々は個々の相手と比較したことは一度もなかった。」

 中国の宇宙空間での増強に対する米国宇宙軍のアプローチは、冷戦中の米国とソビエトの潜水艦隊の戦力格差に類似している。「米国海軍は潜水艦数ではソ連にかなり引けを取っていて、海域によっては1対7か1対8だった」と少将は明かした。「しかし、それが我々を悩ませることはなかった。大事なことは(潜水艦の)性能はどうか、弾薬庫の規模は?訓練は?人材の質は?、そういったことだ。単なる規模でなく、(相手よりも)考え抜き、出し抜くことができるか否かだ。」

 米国宇宙軍は兵器体系に、人工知能や量子コンピューティングなどハイテクを駆使しようとしているが、「過去6年間の(中国側の)発展スピードと能力向上を重視するべきだ」と少将は認めた。

 中国の宇宙兵器には、低軌道から対地同期軌道(高度22,500マイル)までを周回する人工衛星を撃墜できる対衛星ミサイル数種類が含まれている。中国はまた軌道周回する衛星を混乱・損傷させる電子妨害装置とレーザーを開発した。そうした軌道上兵器には小型の操縦衛星も含まれ、中には衛星を捕捉したり握りつぶすロボットアームを備えたものもある。

 中国はまた高性能のサイバー戦争能力を駆使して、敵の地上局をハッキングして人工衛星を混乱させ制御することも計画している。

 

 先週、国家安全保障宇宙協会の会合で講演したベルナッキ少将は、新しい宇宙軍の司令業務が、情報の厳重な仕分けルールで妨げられていると述べた。秘密主義が高じて、アナリストや士官らが計画策定や情報共有をしにくくなっているという。「司令部の建物に入るには、うそ発見器を通過するんだが・・・」、少将はコロラド州ピーターソン空軍基地にある同司令部について、「その状況は非生産的なレベルまで来ている」と言った。

 ベルナッキ少将によると、宇宙戦争の作戦策定にあたり機密指定レベルが非常に高く、会議参加が許されるのが2人の提督と1人の将軍に限定されたこともあるという。軍事作戦の立案者が必要な情報にアクセスできないとすれば、「それは禍のもとだ」と同少将は警告した。

核戦争の脅威が高まる

 国防総省の統合参謀本部は最近、核戦争の作戦に関する報告書を公表したが、紛争での核攻撃には、敵の指導者も標的になることを明らかにした。この報告書「統合核作戦」によれば、米国の敵対者が紛争の際に核兵器に訴える危険性も高まっている。

 「敵性勢力は自らの利益を確保するため、ますます核兵器に依存している」と報告書は指摘している。「威圧と戦争決着に核兵器使用を模索している敵性勢力の存在のおかげで、複雑な抑止策と戦闘の拡大管理が課題になっている。」

 同報告書はさらに、米国政府は軍事目的の核兵器のウェイトを減らそうとしてきたが、「ロシアと中国をふくむ他の勢力は、逆の方向に動いてきた」と強調した。「彼らは兵器庫に新型の核能力を加え、戦略や作戦上の核戦力のウェイトを高め、いっそう攻撃的な姿勢を採っている」、と報告書は説明した。「かつてないほど広範囲で多様な組み合わせの脅威、例えば通常兵器による脅威から、化学、生物、核、宇宙、サイバーなどの脅威、および暴力的な非国家主体による脅威がある。」

 2010年以降、米国の敵性勢力の中で、核兵器の役割または保有数を減らした勢力はない。「その結果、世界のいくつかの地域で核武装した敵同士の地域紛争の可能性が高まり、危機や紛争の状況で敵対的核戦力の構図が拡大している」と報告書は述べた。

 例えば中国は、新型の陸上移動式大陸間ミサイルにより核兵器の数量・種類・防護手段を強化し、DF-5地下サイロ格納式ミサイルに多弾頭を追加し、さらに新型ミサイル潜水艦と新式戦略爆撃機を建造することにより、陸・空・海の戦略兵器による三層構造を確保した。

 一方、ロシアは米国を主敵と見なして核戦力を増強し続けているが、中にはモスクワ当局が戦術展開できる弾頭数を急増できるシステムもある。「ソビエト時代の遺物のような核体系を近代化することに加え、ロシアは新型の核弾頭と発射装置を開発・実戦配備している」と報告書は伝えた。「さらに新型の大陸間核兵器システムを開発している。それらは極超音速滑空用移動体、核装備・原子力・地上発射型巡航ミサイル、そして核装備・原子力・海中自在型魚雷の3種類だ。」

 北朝鮮も核兵器とミサイル開発を加速するのみならず、「米国と(北朝鮮の)周辺地域の同盟国に対して核兵器使用を威嚇している」(同報告書)。

 最後にイランだが、保有しているインフラを駆使すれば、1年以内に核兵器製造の可能性がある。イラン政府の長距離ミサイル開発と、周辺地域を不安定化させている行動からして、「核戦力を断念する、というイランの将来的約束には疑問を投げかけざるを得ない」と報告書は述べている。

 報告書は依然として、核戦争の抑止が軍の最優先事項だと書いている。しかし核兵器を戦争で使用する用意も必要だ。「敵性勢力の意思決定に至るプロセスや内容は各自独特なので、「万能の」抑止などはない」し、「その結果、米国は多様な敵に対して効果的な抑止力を発揮するために、調整され、かつ柔軟なアプローチを採用せざるを得ない。」

 米国の核攻撃は、米国の死活的な利益または同盟国・パートナーの利益を守る極限の状況でのみ実行される。報告書によれば、米国の諜報機関は敵の指導層や高価値の資産について世界に周知させ、標的化を支援する必要がある。「敵のリーダーが貴重視する資産を特定し、目録化し、標的にして、攻撃作戦の中に織り込まれていく必要がある。」

 同報告書では、中国やロシアの標的を特定していない。しかし中国の支配政党・共産党とその権力構造や、ロシアの指導者と政権のインフラは、主要な標的になる可能性がある。

 報告書はまた、電磁パルスが広範囲に敵の電子機器を破壊しうる高高度核爆発が計画されていると述べている。「十万フィートを超える高高度での核爆発は、広範囲に電磁パルス(EMP)現象を引き起こし、それへの耐久力を持たないシステムに悪影響を与える可能性がある。」

 2020年4月17日付けの同報告書は、情報公開法と政府機密に関するプロジェクトによって公表された。

空軍が公開した新型爆撃機

 米国空軍は今週、新型のB-21レイダー戦略爆撃機の最新情報として、手書き描写と概況報告書を公表した。手書き描写では、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地の上空を飛行している爆撃機が全翼機デザインで、B-2ステルス爆撃機と類似していることが分かる。

 概況報告書によるとB-21は、敵の高度な対空防衛網を突き抜け、核兵器と通常爆撃の両用爆撃機になるという。同爆撃機はまた「爆発物を遠隔と直接攻撃を幅広く組み合わせて」、パイロットによる操縦でも遠隔操縦でも爆撃が可能になっている。

 「B-21は、B-21とB-52からなる将来の空軍爆撃機のバックボーンを形成する」と概況報告書は説明している。「今後のハイエンドな脅威環境で稼働するよう設計されたB-21は、米国が持続的な空軍能力を確保する重要な役割を果たす。」

 この新型爆撃機はノースロップ・グラマン、プラット・アンド・ホイットニー、ジャニッキ・インダストリーズ、コリンズ・エアロスペース、GKNエアロスペース、BAEシステムズ、スピリット・エアロシステムズによって100機が建造され、2020年代半ばまでに配備が始まる。機体一機のコストは推定6億3900万ドルだ。

 同爆撃機が配備されるのは、サウスダコタ州のエルスワース空軍基地、ミズーリ州ホワイトマン空軍基地、テキサス州のダイス空軍基地が予定されている。ちなみに爆撃機の「レイダー」という名称は、1942年にジェームズ・ドゥリトル中佐が率いた歴史的な東京奇襲爆撃に由来する。それは日本の真珠湾攻撃への報復として、16機のB-25爆撃機が西太平洋に浮かんだ空母USSホーネットから実施したものだった。

 なお「アビエーション・ウィーク」による新型爆撃機の画像分析では、B-21は特殊なレーダー回避ステルス性操縦席ウィンドウと、B-2より大きい武器格納庫を備えている。新型爆撃機の3番目の手書き描写でも、空気取り入れ口と排気口について、敵からステルス機能を保護するために描写されていない。

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