トランプ対ビッグテック 言論の自由を救え

(2021年7月14日)

Photo by: Seth Wenig Former President Donald Trump imitates the shooting of a gun with his finger while talking about gun violence in Chicago as he speaks at Trump National Golf Club in Bedminster, N.J., Wednesday, July 7, 2021. (AP Photo/Seth Wenig)

By THE WASHINGTON TIMES – – Sunday, July 11, 2021

 

 ANALYSIS/OPINION:古代ギリシャの神話によると、ゼウスの息子ヘラクレスは、頭が三つある狂暴な地獄の番犬である「ケルベロス」に首輪を着けた時、最後の英雄テストに合格する。

 

 寓話(ぐうわ)の登場人物ではないが、ドナルド・トランプ氏は、同じように厄介な現代の課題に取り掛かった。

 

 前大統領は、問題の三大ソーシャルメディアのモンスターであるフェイスブック、ツイッター、そしてグーグルを追い詰めようとしている。それは拍手に値する英雄的行為だが、危険でもある。

 

 大統領職を離れて以来、最初に行った記者会見で7日、くだんの巨大企業と、それぞれのCEO、マーク・ザッカーバーグ、ジャック・ドーシー、サンダー・ピチャイ各氏を相手とする集団訴訟をフロリダ州南部地区連邦地方裁判所で起こし、それを主導するつもりであると発表した。

 

 これらの企業は、特定の言論――ほとんどが保守的な――を彼らのプラットフォームから締め出した。前大統領は、表現を自由にするための憲法修正第1条の権利を踏みにじっていると言っている。公平公正な精神を持った米国人なら、同意しなければならないだろう。

 

 無論、プライベートにするのであれば、市民は自由に合衆国憲法を折り曲げたり、ほぐして見たり、あるいは、切り刻んだりできる。しかし、これらの企業は、世界的な広がりを見せ、事実上、公共の広場(プラットフォーム)を所有しているのである。訴状の言葉によれば、「従って、被告フェイスブックの地位は、民間企業の地位を超えて、州当局者の地位に上がっている。そのため、被告は、『権利の行使』に関して行う検閲のやり方の決定においては、言論の自由を認める憲法修正第1条の権利によって制約を受けるのである」。

 

 1996年の通信品位法第230条に基づいて、フェイスブック、ツイッター、グーグルは、好ましくないコンテンツがあっても、発行者が直面する責任を免れている。そして、重要なことは、自由に、独自の立場で「品位」の中身を決めてきた。

 

 その結果、「ビッグテック(企業)」は、「ビッグセンサー(検閲者)」になり、反トランプ運動に加わった。「ファクトチェッカー(事実検証者)ら」がリクルートされ、彼の常に流されているウェブサイトに警告ラベルがたたき込まれた。実体のない「ロシア癒着」告発に関する情報を正すトランプ氏の努力には、当時の敵対者ジョー・バイデン氏の危険なウクライナとのビジネスを暴露しようとしたのと同様、「証明されない陰謀論」というブランド名が付けられた。

 

 大失敗だった2020選挙に不器用に挑んだトランプ氏や仲間を、3社が足並みをそろえて排除したことで、メディアやインターネットに支配される社会の現状が白日の下にさらされた。トランプ氏の言葉を借りれば「合衆国政府の事実上の検閲部門」だ。他の何千人もの米国人が、彼らの言い方が検閲官の好みに合わなかった時に、同様にシャドーバン(アカウントの削除)が行われ、通貨の使用が差し止められ、また、悪者扱いされたりしている。

 

 気掛かりなことに、顔の見えない言論の取締官らは、政府が出す新型コロナウイルスの絶対的命令だとする知恵に異議を唱える、高度の資格を持つ医療関係者にさえも口輪を着けた。一例を挙げると、フェイスブックは最近、高く評価されている米国小児医学協会誌に出された最新の研究を共有しないように権利所有者に警告した。それは、顔マスクは、危険なほど高度な量の二酸化炭素を無理に学童に吸い込ませていることを発見したという研究であった。マスク使用正当論にも異議を唱えてはならないというのだ。

 

 ソーシャルメディアの番犬「ケルベロス」の検閲を手なずけようとすることは、とても恐ろしいことだが、価値のあることでもある。トランプ氏が言うように、「私に対してできるなら、誰に対してもできる」。

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