核戦力増強進める中国 米、対中スパイ活動強化へ

(2021年9月17日)

In this Oct. 1, 2019, file photo, spectators wave Chinese flags as military vehicles carrying DF-41 ballistic missiles roll during a parade to commemorate the 70th anniversary of the founding of Communist China in Beijing. (AP Photo/Mark Schiefelbein)

By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, September 14, 2021

 米国防情報局(DIA)のベリエ局長は、中国がロシアの核戦力に追随するかたちで、核兵器の増強を急速に進めており、情報機関内で中国に対抗するための体制の整備が進められていることを明らかにした。

 ベリエ氏は軍需企業の業界団体主催の会合で、「ロシアの核のトライアド(ミサイル、爆撃機、潜水艦の3本柱)は信頼性が高く、効果的で大変な脅威だ。中国は、このトライアドを整備することを目指している」と強調。中国の核開発が現在の最大の懸念材料だと訴えた。

 ベリエ氏は、中国の習近平国家主席が、①中国共産党と人民解放軍(PLA)の指導者らへの締め付け②巨大経済圏構想「一帯一路」による経済力の強化③軍事力の増強という3本柱の戦略を進めていると指摘、国内を引き締めるとともに、経済力、軍事力の強化に乗り出していると指摘した。

 中国はトライアド整備の一環として、西部の各地で、最大400発の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」を格納できる新たな施設の建設を進めている。今年に入って、衛星写真から相次いで明らかになった。東風41は、最大10発の弾頭を搭載可能だ。

 会見には、ほかにも5人の情報機関の幹部が参加、中国の脅威に対抗できるよう改革を進めていることを強調した。

 国家安全保障局(NSA)の局長で、サイバー軍司令官のポール・ナカソネ氏は、中国が影響工作で、米国社会の分断を図り、新型コロナウイルスの感染拡大の取り組みにも影響を及ぼしていると述べた。

 中国は、ワクチンへの世論に影響を及ぼすことで、新型コロナ抑え込みへの米国の取り組みを混乱させているという。

 ナカソネ氏によると、2016年にネット上でイスラム過激派と戦うために発足した米軍の「合同任務部隊アーズ」はすでに、中国とロシアの戦略的競合相手のサイバー活動にシフトしたという。

 また、22年の中間選挙に関しては、数多くの外国政府の「代理人」が、介入の準備を進めていると指摘した。

 中央情報局(CIA)のコーエン副長官は、対中スパイ活動の改革へ体制の見直しを進めており、中国語が話せる人材を増やし、中国付近のCIAの要員配置を増やしていると述べた。

 「見直しの一環として北京支局からではなく、グローバルに中国に対処していくことを考えている」。監視システムが高度化し、工作員を潜入させることが難しくなっていることがその一因だという。

 スコールズ国家偵察局(NRO)局長は、「中国は宇宙でのリーダー」になることを目指している」と指摘、先進技術の導入と新たな体制への転換で、中国の宇宙からの脅威に対抗できるよう見直しを進めていることを明らかにした。

 画像による情報収集を行っている国家地理空間情報局(NGA)のクリーブランド作戦担当副局長も、中国は軍用スパイ衛星を配備することで米国を超えようとしていると強調。「さまざまな面で中国は、これまで米国がしてきたことを米国に向かって実行できるようになり」、宇宙から米国を監視していると警戒強化の必要性を訴えた。

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