増強進む中国海軍 揚陸艦配備で遠征能力向上、艦艇460隻に -米年次報告

(2021年11月11日)

2012年10月19日、中国東部の浙江省舟山沖の海域で訓練に参加する中国海軍の艦艇。(AP写真)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, November 8, 2021

 米国防総省がこのほど公表した中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書によると、すでに世界最多の艦艇を保有する中国人民解放軍海軍(PLAN)は、2030年までに保有艦艇数を、460隻まで増加させ、米軍を大幅に上回ると予測している。

 現在のPLANの保有艦艇数は355隻。一方の米海軍は296隻だが、遠方にまで戦力投射が可能な空母を11隻保有するなど、戦略的優位を保っている。

 専門家によると、中国軍は強い経済を背景に、新たな艦艇の建造を急速に進めており、誘導ミサイル巡洋艦・駆逐艦、コルベット艦を建造する一方で、潜水艦戦力の増強を続けている。

 「これによって、中国海軍の防空、対艦、対潜水艦能力は大幅に向上、沿岸配備の防空システムの射程を超えるエリアまで、能力が拡大される」と報告は指摘している。

 PLANは、南シナ海、東シナ海の支配のため、ミサイル搭載コルベット艦の増強で沿海域の戦闘能力を強化しており、少なくとも70隻が建造されるという。

 また、055(レンハイ)級ミサイル駆逐艦8隻の建造が始まっており、一番艦がすでに配備されている。133個の発射筒を備え、対艦、対空,対地ミサイル、魚雷、対潜水艦兵器を搭載可能だ。

 新型の対地ミサイル「鷹撃12」は超音速で飛行し、射程500㌔超、遠方からも米海軍にとって脅威となり得る。台湾をめぐる米軍との衝突に備えたものとみられている。

 さらに潜水艦の増強も優先的に進められている。

 現在、弾道ミサイル原子力潜水艦6隻、攻撃型原潜6隻、攻撃型ディーゼル潜水艦46隻を保有、「旧式の潜水艦を性能の高い新艦に更新しながら、20年代を通じて65隻から70隻を維持する」と報告は予測している。また30年までに核ミサイル搭載潜水艦8隻の建造が計画されているという。

 30年までに潜水艦の数では米軍を上回ると予想されているが、専門家らは、潜水艦の戦闘能力で米軍を上回ることはないとみている。

 また新型の075型強襲揚陸艦の建造も急ピッチで進められている。すでに7隻の071型揚陸艦が配備され、8番艦が試験中。075型が加わることで、中国の海軍陸戦隊の遠征能力はいっそう強化されると報告は指摘している。

 他国軍の海兵隊に当たる陸戦隊は、約1万人の2個旅団から、8個旅団に増強されており、アフリカのジブチにある中国初の海外基地に派遣されている。

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