アリゾナ州で移民が急増、知事は州兵を増派
By Stephen Dinan – The Washington Times – Thursday, December 9, 2021
アリゾナ州西部の国境が隙だらけだったため、今週、ある不法移民のグループが忍び込み、ユマのダウンタウンにあるマクドナルドまで11キロを誰にも止められることなく、歩いていった。
別のグループは国境警備隊本部のゲートまで行き、警備隊員が出てくるのを待っていたとユマ郡の保安官は語った。
レオン・ウィルモット保安官はワシントン・タイムズに、「これがすべてを物語っている。対応できる要員はいない」と述べた。
ユマ郡では、通常1日700~800人程度の人々が流入していたが、1000人以上に急増したため、支援が必要になり、人員を監視から外したため、国境に穴が開いた。農家からは畑が踏み荒らされているとの苦情が寄せられ、遭難した移民の治療のために呼ばれた救急車には、街への乗り物を求める他の移民が群がってきたと保安官は述べている。
共和党のダグ・ドゥシー州知事は、バイデン大統領の「12月の災難」と呼び、政権の国境政策に問題があると主張した。
デュシー氏によると、国境警備隊では手に負えず、州警察と州兵20数人を増員し、車両や多目的ヘリコプターも派遣しなければならなかったという。増員された州警察と州兵は、現在、警備隊員がいない国境の穴をふさぐために派遣されている。
デュシー氏は7日、記者会見で「大統領、何とかしてください。何でもいいです」と国境の壁の前で訴えた。
知事が会見している間に、十数人の不法移民のグループが知事の後ろの壁の隙間から入ってきた。
警備隊員は今週、非常に多忙で、国境を越えた移民が、誰かが迎えに来てくれるのを何時間も待っていることが多かったという。ウィルモット保安官によると、派遣センターには、寒く、水も食べ物もない中で待たなくてもいいので、誰かに乗せていってほしいという移民からの電話が殺到していたという。
また、ウィルモット保安官によると、「少なくとも24時間、国境警備隊がいない状態で、フェンスわきに放置され、眠っていた女性や1歳以上の子供たちがいた」という。
CBPの奮闘
税関・国境警備局(CBP)の職員は、移民が急増したことは認めているものの、その数は通常の状態に戻りつつあり、少なくとも、この前例のない国境の混乱の年がニューノーマル(新しい日常)になっていると述べた。
CBPは声明で、「ユマ・セクターとCBP全体の仲間たちは、遭遇した人々を迅速に選別し、処理した。地元の非政府組織(NGO)は、国境沿いで拘束されるのを待っている移民たちに基本的な必要品を提供する手助けをした」と発表、人々の流入を増加させたのは「悪質な密輸業者」だと非難した。
「CBPのメッセージは明確だ。国境は開かれていない。人々は危険な旅をするべきではない」
なぜ今、急増したのかは完全には明らかになっていない。デュシー氏は、裁判所の命令でバイデン政権が復活させるトランプ時代の「メキシコ残留」政策の再始動前に、急いで入国しようとしたのではないかと指摘した。この政策の最初の対象者は、6日にメキシコに送り返され、亡命申請の処理を待つことになっている。
国境の他の地域とは異なり、ユマに入る移民らは特に厄介だ。今週は、ブラジル、ベネズエラ、ハイチ、キューバからの移民が急増した。ウィルモット保安官によると、ウズベキスタン出身の男性が非常に多いという。
これらの人々は、新型コロナウイルスの感染拡大による国境緊急事態の下では、簡単にメキシコに追い返されない。そのため、国土安全保障省によって処理され、通常は強制送還の審問に自ら出頭することを期待し、釈放される。
今回のアリゾナ州での騒ぎの数カ月前には、テキサス州デルリオで前例のない侵入事件が起きた。数千人のハイチ人がリオグランデ川を渡り、米国内に移民キャンプを設置した。国境警備隊の妨害を受けることなく、自分の意思で川を行き来していた。一時は約1万5000人にまで膨れ上がった。
マヨルカス国土安全保障長官は、国境警備隊の騎馬パトロール隊などを現地に投入した。騎馬パトロール隊とハイチ人移民が遭遇した際に国境警備隊がハイチ人の黒人を「鞭打っている」とされる画像が拡散され、批判を招いた。
この事件の調査結果はまだ明らかにされていない。
現地を訪れたマヨルカス氏は、「ハイチ人はハイチに送り返す」と強気の姿勢を見せた。しかしその後、大部分が米国内で解放されたことを認めた。
マヨルカス氏は今週、国境視察のためにサンディエゴを訪れていたが、近くにあるユマの新たな問題の地は訪問しなかった。
ウィルモット保安官は、訪問しなかったのは間違いだと非難した。「ばかげた話だ。2時間離れた場所にある危機に対処するために、計画を変更しようともしない」と言った。
マヨルカス氏はサンディエゴ滞在中に、「間もなくユマをはじめとする国境の地を訪れる」と述べていた。
サンディエゴでマヨルカズ氏は、「間もなくユマやその他の国境地帯を訪問する」と述べ、長官就任後10カ月で6から7回目の訪問になると語った。
一方、バイデン氏は、過去数十年で最悪の国境の状況となった就任1年目を、国境を訪問することなく終えようとしている。移民を阻止する計画に取り組んでいるカマラ・ハリス副大統領は、6月に1回訪問している。