中国の脅威 なお高度に FBI長官「非常に攻撃的」

(2022年2月3日)

北京の米国大使館が主催した米国大統領選挙イベントで、ホテルの外に掲げられた米国と中国の国旗。(AP写真/Andy Wong)

By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, February 1, 2022

サイバー攻撃大規模化 海外活動家拉致も深刻

 米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は、中国の情報機関と連携するハッカーらが、米国の技術を盗み出すためにかつてない規模の情報活動を行っていると指摘、冷戦時のソ連とFBIの戦いを引き合いに出しながら、中国との新たな衝突が起きているとの見方を示した。

 レイ氏は1月31日にレーガン大統領図書館(カリフォルニア州)で行った演説で、「米国と西側諸国は従来とは違う敵国と戦っている。中国共産党だ。自由、人権、民主的規範を拒否しているという点で、表面的には旧ソ連からの脅威に似ている」と指摘。その上で、多くの米企業が中国に投資し、大量の留学生が米国に来ていること、さらには、旧ソ連よりも経済力が強大であることを挙げて、対応の難しさを強調している。

 国家安全保障局(NSA)サイバーセキュリティー局ニール・ジリング局長も今月1日、サイバー空間での中国の脅威を強調、「大量の人材が投入され、政府内のさまざまな部署にまたがっている。非常に攻撃的だ」と訴えた。

 レイ氏は、「技術の窃取は今、米国で毎日のように起きている。(中国の脅威は)新たなレベルに達した。かつてないほど大胆で、破壊的だ」と指摘、中国による情報・技術窃取をめぐって2000件以上の捜査が行われており、「ほぼ12時間ごとに新たな事例が発生するという状態が続いている」と、攻撃の激しさを強調した。

 サイバー攻撃は中国内のほとんどの主要都市から行われており、国家安全省はサイバー犯罪者や民間の情報機関と協力している。レイ氏はこれらの協力者を「サイバー傭兵(ようへい)」と呼んだ。「狙った情報を入手するために大規模でなりふり構わない攻撃が行われ、昨年のマイクロソフトのメールサーバー、エクスチェンジへの攻撃では、1度の攻撃で1万社以上の米企業のネットワークが破壊された」という。

 大規模で巧妙な連携が取られている実態も明らかになっている。中国国家安全省職員、徐延軍被告は昨年、米ゼネラル・エレクトリック(GE)社と国外のジョイントベンチャーが生産した新型航空機エンジンに関する極秘情報を違法に入手したとして起訴された。データにアクセスできるよう社内に内通者を仕立て、中国内の国家安全省のハッカーがそのデータを入手できるよう手配していたという。

 これによって中国政府は、GE独自開発のジェットエンジンの複合材製ファンに関連する技術を盗み出すことに成功し、現在、この技術を基に新型エンジンの開発に取り組んでいる。レイ氏は「徐被告は、航空技術を盗み出すための組織の中の一人にすぎない」と、さまざまな組織から数多くの人材を投入し、計画が進められたことを明らかにしている。

 航空機分野は習近平国家主席が打ち出したハイテク産業育成戦略「中国製造2025」に盛り込まれている10の重点的分野の一つだ。

 また中国は、海外の反政府活動家らの拉致も組織的に行っている。中国政府は14年に「キツネ狩り」計画をスタートさせた。汚職撲滅運動とされているが、実際には「政治的、経済的脅威とみなした海外在住の中国系住民を捕らえ、中国に送還する」(レイ氏)ためのものだ。

 この計画の下で、9000人以上が送還され、収監または政府の監視下にある。レイ氏は、この計画が成果を挙げたのは、外交的規範や国際法を無視して行われたためだと非難。キツネ狩りは「国境を超えた中国政府による抑圧を考えれば、氷山の一角」との見方を示した。

 レイ氏によると、現在も永住権取得者や帰化した中国系米国人数百人がキツネ狩りの標的になっている。レイ氏は、キツネ狩りは、米国内のチベット族、ウイグル族、民主化運動活動家に対する脅迫、嫌がらせのごく一部にすぎないとの見方を示した。

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