露政権内にほころびか 側近らがプーチン氏に距離

(2022年2月27日)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2022年2月23日(水)、ロシアのモスクワで行われた「祖国防衛の日」の国家的祝典において、クレムリンの壁の近くにある「無名戦士の墓」で花輪を捧げる式典に出席。ロシアで2月23日に祝われる「祖国防衛の日」は、国の軍隊を称えるもので、全国的な休日となっている。(Alexei Nikolsky, Kremlin Pool Photo via AP)

By Guy Taylor – The Washington Times – Thursday, February 24, 2022

 ロシアのプーチン大統領は、ロシアを大国にすることに執着し、用心深く、少数の気の合う強硬派の側近らを周りに置いているとみられてきたが、専門家らによると、ウクライナ侵攻の決定をめぐって政権内にほころびが見られるという。

 ロシア専門家のドナルド・ジェンセン氏は、「プーチン氏が目指しているのは、ロシアを、自身をツァー(皇帝)とする偉大な帝国とすることだ」と指摘した。

 専門家らは、プーチン氏の旧ソ連構成共和国への執着はソ連のかつての栄光を取り戻したいからだと強調してきた。しかし、ジェンセン氏は、プーチン氏の野望は、1世紀前にソ連を誕生させたボルシェビキ革命以前にまでさかのぼるとしている。

 ジェンセン氏は、プーチン氏は最近の演説で「ボルシェビキを批判」したことを指摘、目指すのは「全体主義路線に沿った多国間ロシア帝国の樹立であり、それはツァーの時代にまでさかのぼる」との見方を示した。

 一方、侵攻直前のウクライナ東部親露派地域の独立承認に関する安全保障会議で、強硬派で知られ最側近のナルイシキン対外情報局(SVR)長官を政権幹部の前で詰問し、侮辱するような映像が流れ、政権内でプーチン氏が独裁色を強めているのではないかとの見方が出ている。

 デューク大のロシア専門家、サイモン・マイルズ氏はこれについて、「これまでとは違うプーチン氏だ」と指摘。その上で「(ナルイシキン氏ら側近は)超タカ派で、早く戦争を始めたがるものと思われてきた。しかし今、側近らは距離を置こうとしているように見える。プーチン氏は、それを知っているが、無視している」と強調した。

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