中国のウクライナ安全保障 核威嚇で侵攻の露と板挟み

(2022年3月2日)

先週、北京の人民大会堂で行われた調印式で、中国の習近平国家主席と握手するウクライナのヴィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領。ヤヌコビッチ氏の訪問は、打撃を受けたウクライナ経済への中国の支援を得ることを目的としている。同国の経済停滞は、キエフで進行中の抗議デモを助長している。(ASSOCIATED PRESS)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, February 28, 2022

 ロシアのプーチン大統領は、 核戦力部隊に警戒態勢の強化を命じ、ウクライナへの核兵器の使用をちらつかせている。ところが、ウクライナ侵攻でロシア寄りの姿勢を取る中国は2013年に、核の脅威に対して安全を保障するという合意をウクライナと交わしており、今後プーチン氏が核による軍事圧力を強化すれば、中国は難しい立場に立たされることになりそうだ。

 中国共産党の習近平総書記とウクライナのヤヌコビッチ大統領(当時)は13年12月5日、両国を「戦略的パートナー」とし、中国の核戦力で核の脅威からウクライナを守ることを約束する合意を交わした。

 両国は声明で「中国は核を持たないウクライナに対し、核兵器を使用せず、核兵器による威嚇もしないことを約束する。さらに中国は、ウクライナが核兵器を伴う侵攻に直面、または、核による侵攻の脅威にさらされた場合、ウクライナに核の安全を保障する」としている。

 約20年前、世界第3位の核大国だったウクライナは、旧ソ連から受け継いだ核兵器を放棄して非核保有国となり、核拡散防止条約(NPT)に加盟した。

 ロシア軍は三方からウクライナに侵攻し、制圧を目指したものの、苦戦しており、プーチン氏は2月27日、国営テレビで「欧米諸国は経済面でわが国に敵対的な姿勢を取っているだけでなく、北大西洋条約機構(NATO)の幹部らも、わが国に攻撃的な声明を発表した」と述べ、侵攻への非難に対して強い反発を示した。

 ロシアの核の脅しは、新軍事ドクトリン「エスカレート・トゥー・ディエスカレート」に基づくもの。米国防当局者によるとこのドクトリンは、核の先制使用の可能性を示唆することで緊張を高めた上で、自国に有利な方向に紛争を進めることを目指すもので、通常戦力が弱く、強大な核戦力を持つロシアの現状を反映している。

 中国は、侵攻を明確に支持しない一方で、非難もしておらず、ロシアがウクライナとの間に「正当な安全保障上の懸念」を有していると指摘するにとどめている。

 ウクライナは中国との軍事面での関係が強い。中国に未完成の空母を売却、改修後、中国初の空母「遼寧」になった。戦闘機や航空機のエンジンも売却しており、中国はそれを基に、軍用輸送機や偵察機を製造している。

 中国とウクライナの核合意を最初に公表した米国務長官の政策顧問を務めたマイルズ・ユー氏は、ウクライナに対して核の威嚇を最もしそうな国はロシアだが、そのロシアも中国の戦略的パートナーだと指摘、「ソ連の元衛星国をロシアが核で脅すというシナリオの中で、中国は約束を守り、核兵器でロシアに対抗するのだろうか」と述べている。

新華社通信が公開したこの写真には、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルが海面から飛び出す様子が写っている。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

米、中国のSLBM発射実験を「事前通報が不十分」と非難

(2026年07月13日)
2024年8月4日、ウクライナ国内の非公開の場所に設置されたパトリオット防空ミサイルシステムの上空を、ウクライナ空軍のF-16戦闘機が飛行している。(AP通信/エフレム・ルカツキー撮影、資料写真)

トランプ氏、ウクライナが「パトリオット」製造 専門家は生産開始に数年

(2026年07月12日)
2024年7月3日、カザフスタンのアスタナで開催された上海協力機構(SCO)首脳会議の傍らで行われた会談で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)と中国の習近平国家主席が握手を交わした。(セルゲイ・グネーエフ、スプートニク、クレムリン・プール写真、AP通信経由)

中国企業、ロシア占領下のウクライナに進出 経済的影響力を拡大

(2026年07月11日)
ウクライナの無人システム部隊K-2旅団の兵士が、2026年6月22日(月)、ウクライナのドネツク州前線で、ロシア軍陣地に向けて飛行する前に、中距離ドローンを離陸地点で運んでいる。(AP通信/エフゲニー・マロレトカ)

ウクライナ防衛産業、実戦経験生かし欧州との連携を深化

(2026年07月10日)
CCSの小型・移動式バージョンであるMeadowlandsシステムは、地上無線周波数ユニットを使用して衛星通信を妨害します。(L3Harris提供)

宇宙軍、新電子戦システムを配備 敵国の衛星通信を妨害

(2026年07月08日)
2021年9月21日、ニューヨークで開催された第76回国連総会の期間中、総会議場内から見た国連本部ビル。(エドゥアルド・ムニョス/AP通信提供)

中国「民族団結法」施行に抗議、チベット人が米で焼身自殺

(2026年07月07日)
2026年4月27日、オレゴン州ヒルズボロにあるデータセンターの屋上に、冷却システムの一部であるファンが見える。(AP通信/ジェニー・ケイン)

米国人実業家、中国による米AIデータセンター反対運動に資金提供 報告

(2026年07月03日)
2021年2月3日、世界保健機関(WHO)のチームが中国湖北省武漢市の武漢ウイルス研究所を視察するために到着した後、警備員がジャーナリストたちを研究所から遠ざけている。(AP通信/ン・ハン・グアン撮影)

情報機関がコロナ流出説を隠蔽 国家情報長官が文書公開

(2026年06月23日)
2024年4月23日火曜日、中国東部山東省青島市で中国人民解放軍海軍創設75周年を記念する一般公開日の終わりにミサイル駆逐艦「貴陽」の近くに夕日が沈む。(AP通信/ン・ハン・グアン)

インド太平洋軍司令官、中国の脅威を警告 戦力強化へ新規兵器に1220億ドル要求

(2026年06月19日)
ハイテクを駆使した政府のハッキング室で、中国軍関係者がハイブリッド戦争の一環として敵対国から国家機密を盗み出す作業を行っている。(写真提供:DC Studio via Shutterstock)

米FBI、偽コンサル会社13サイト閉鎖 中国の対米情報工作に利用

(2026年06月15日)
→その他のニュース