バイデン氏の赤字削減公約の一方で、大規模社会福祉法案を推進

(2022年3月13日)

2022年3月1日(火)、ワシントンの連邦議会議事堂で、合同会議で一般教書演説を行うジョー・バイデン大統領。(Saul Loeb, Pool via AP)

By Haris Alic – The Washington Times – Sunday, March 6, 2022

 バイデン大統領が、年末までに赤字を1兆ドル以上削減すると公言したことから、予算の専門家や財政強硬派は頭を悩ませている。その一方でホワイトハウスは数兆ドルの新規支出を推し進めている。

 共和党は、バイデン氏が本気で赤字削減を考えているのなら、議会に政権の1兆7500億ドルの社会福祉・気候変動対策を復活させるよう求めることはないだろうと言う。

 共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員(テネシー州)は「赤字を減らしたい。支出を減らし、連邦政府の規模を縮小する」と述べた。

 バイデン氏は初の一般教書演説で、赤字削減を約束する一方で、何兆もの新規連邦支出を可決するよう議員に促し、微妙なバランスを取ろうとした。

 「今年末までに、赤字は私が大統領になる前の半分以下になる。私は、単年度で赤字を1兆ドル以上削減する史上唯一の大統領だ」

 この公約を宣伝した直後、バイデン氏は、長らく停滞している社会福祉法案の支持を改めて表明した。かつて「ビルド・バック・ベター(より良い再建)」と呼ばれていたこの法案は、現在は「ビルド・バック・アメリカ(米国再建)」と呼ばれている。

 「労働者に投資し、経済を底上げし、中産階級を強化すれば、より良い米国を作るという、これまで長い間できなかったことができる」

 議会予算局(CBO)の試算によると、この法案には気候変動対策に5000億ドル、ユニバーサルプレK(全未就学児童教育)のような社会福祉に数十億ドルが含まれており、今後10年間で3670億ドルから3兆ドル、赤字が膨らむとされている。

 ホワイトハウスは、ビルド・バック・ベターの復活を推進することは、赤字削減とインフレ対策に役立つと主張している。

 バイデン氏は「インフレと戦う私の計画は、コストを下げ、赤字を減らすことになる。17人のノーベル経済学賞受賞者が、私の計画は長期的なインフレ圧力を緩和すると言っている」と述べた。

 しかし、財政強硬派はこの主張を信用していない。バイデン氏が推進する政策は、典型的な増税路線であり、財政赤字の暴走を懸念する人々にリップサービスを提供しているだけだと言うのだ。

 共和党のマイク・ブラウン上院議員(インディアナ州)は「オバマ政権のラリー・サマーズ氏のようなリベラルな経済学者でさえ、バイデン氏の大規模な支出はインフレを引き起こすと警告した。この無謀な経済政策の多くが失敗したのは幸運だった」と言う。

 バイデン政権は、新型コロナウイルス検査やウクライナへの軍事・人道援助のために数十億ドルの新規支出を推し進めており、赤字に関するバイデン氏の発言を信用することは難しい。これらの構想のいくつかは超党派の支持を得ているが、赤字と歳出に対する強硬派としてのバイデン氏の信用を高めることはほとんどない。

 予算の専門家らは、バイデン氏がすでに赤字を1兆円減らしたという主張も欺瞞に満ちていると指摘する。新型コロナの大流行で連邦政府の支出が爆発的に増加した2020年を基準にしているからだ。

 ヘリテージ財団の連邦予算アナリスト、デービッド・ディッチ氏は、「議会は2020年と2021年に前例のないほどの景気刺激策を可決した。その支出の大部分は今年度には発生せず、…そのため、赤字は一時的に小さくなっている」と指摘した。

 2020年3月、議会は不況を食い止めることを目的に、総額2兆円を超える新型コロナ救済策を可決した。その後、さらに9000億ドルの景気刺激策を可決した。

 その約1年後、バイデン氏が大統領に就任して1カ月後、議会は総額1兆9000億ドルを超える3回目の新型コロナ救済法案を可決した。

 全体として、この新たな支出は連邦政府の赤字を大幅に拡大させた。バイデン氏の大統領就任当初、赤字額は過去最高の3.3兆ドルに達し、2000年代後半の大不況時の約2倍となった。これに対し、2019年末の赤字は9840億ドルにとどまった。

 新型コロナの後退に伴い政府支出が減少したため、2021年末の赤字額は過去2番目に多い2兆7000億ドルにやや減少した。

 さらに専門家は、インフレの高進と新型コロナ後の経済の復興が、赤字の減少につながっていると指摘する。連邦政府の収入は、今年度の四半期に約28%急増した。

 超党派のCBOの試算では、今後10年間で1兆ドル以上の赤字が続くとされているが、歳入の増加は予算不足を若干抑制するのに役立っている。

 ディッチ氏は「もし、ハムサンドが大統領執務室に座っていたら、赤字は1兆ドル以上削減されていたことだろう」と述べた。

 また、バイデン氏が1兆2000億ドルの超党派インフラ法案のような法案を推進していなければ、現在の赤字はさらに縮小していただろうと指摘する声もある。この法案の支持者らは、財源はあると主張したものの、今後10年間で赤字は2560億ドル増加するとみられている。

 共和党のリック・スコット上院議員(フロリダ州)は、「インフラへの支出を全面的に支持する。しかし、この無謀な支出をする余裕はない」と述べた。

ケネディ氏は「コントロール不能」、第3の候補に「夜も眠れず」-民主・共和両陣営選挙責任者

(2024年04月26日)

LGBTへの保護を強化、バイデン政権が教育改正法見直し

(2024年04月24日)

陪審員12人選任へ-トランプ氏公判、出廷で行動制限も

(2024年04月19日)

トランプ氏の支持率は上昇 裁判めぐり義理の娘

(2024年04月17日)

トランプ氏、中絶の全国規制に反対 民主党の選挙戦術に対抗

(2024年04月10日)

移民問題がトランプ氏に追い風、女性票獲得へ

(2024年04月08日)

ウィスコンシン州 行方左右-バイデン、トランプ氏再戦へ

(2024年04月04日)

オバマ夫人と対決でもトランプ氏が勝つ―世論調査

(2024年04月02日)

ヘイリー氏支持者取り込み狙うバイデン陣営

(2024年04月01日)

選挙妨害が再び阻止される

(2024年03月30日)
→その他のニュース