バイデン米政権 核戦力を縮小

(2022年4月10日)

2006年にグアムのアンダーセン空軍基地に到着する前に、太平洋上を飛行するB-2ステルス爆撃機。(AP Photo/U.S. Air Force photo, Staff Sgt. Bennie J. Davis III)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, April 4, 2022

態勢見直し 大型核爆弾退役へ

 米国防総省は、先月末に概要が公表された「核態勢の見直し(NPR)」の一環として、米軍唯一の無誘導核爆弾B83を退役させ、潜水艦発射核巡航ミサイル(SLCM-N)の開発を中止する。これには、米軍内部からも核抑止力を弱めることになると反対の声が上がっている。

 最大で1・2メガトン(広島型の約80倍)の破壊力を持つB83は、地中深くの構造物の破壊などを想定して開発された。国防総省高官がワシントン・タイムズに明らかにしたところによると、「維持に費用が掛かり、核兵器の価値が限定的」になっていることがその理由だという。

 ある当局者は、「NPRでは、敵国の堅固な地中深くの標的の攻撃を可能にすることは必要と考えている。この任務でB83の役割が減少していることを考慮に入れ、退役させることを決めた」と述べた。

 国防当局者らは、B83が退役すれば、中国、北朝鮮、ロシアなど核保有敵国への抑止が一層困難になると、退役に反対する声もある。

 中国は国内に地下トンネルを張り巡らせ、その総延長は約5000㌔に達するとみられている。「地下の万里の長城」と呼ばれ、核兵器の製造、保管に使用されている。

 国防筋によると、核兵器を管理・運用する戦略軍のリチャード司令官は、B83の退役、SLCM-Nの開発中止に反対している。B83に関しては、現状では代替となる兵器がないことがその理由だ。

 下院軍事委員会戦略軍小委員のダグ・ランボーン委員も、「潜在的敵国を悩ませるツールの一つを捨てることであり、間違っている」と主張、「もっと強い核防衛態勢」が必要だと訴えた。

 B83の退役は予算削減にもそれほどつながらない。既存の核兵器の改修・延命には1億~2億㌦が必要と見積もられている。これは、今後30年間の核戦力近代化計画の費用が1兆2000億㌦であることを考えれば、それほど大きな額ではない。昨年度要求された、B83の延命予算は5000万㌦だった。

 ウォルターズ欧州軍司令官も3月30日の下院公聴会でB83の維持とSLCMーNの開発を主張、ロシアからの核の脅威に対処する立場にある欧州軍司令官にも、B83の退役について何の連絡もなかったと不満を表明した。

 またNPRは、核戦略での核兵器の役割の縮小を目指すことも明確にしたが、米国の仮想敵国は核戦力の増強を進めている。

 中国は、地下核施設を拡充する一方で、西部3カ所に大規模な大陸間弾道弾(ICBM)基地を建設、移動式ICBMの配備も進めている。

 ロシアも、核動力の巡航ミサイル、核搭載極超音速ミサイル、核搭載水中魚雷など核戦力の増強を進めており、ウクライナ侵攻では、核の使用も辞さない姿勢を見せ、北大西洋条約機構(NATO)を牽制(けんせい)している。

 ヘリテージ財団国防センターの政策アナリスト、ストパティジェーン・ゲラー氏はワシントン・タイムズへの寄稿で、核戦力の役割の縮小を目指すバイデン政権は、オバマ政権時の政策に立ち戻ることで抑止力を弱めていると指摘、「国家安全保障が最大の脅威にさらされており、米国は力を示さなければならない」と核戦力の増強を求めた。

トランプ大統領(中央右)が中国の習近平国家主席と握手を交わす。メラニア・トランプ夫人(右)と彭麗媛夫人(左)が見守る中、2026年9月25日(金)、ワシントンD.C.の国立公文書館に到着した。(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

米中会談、台湾を交渉材料と見るトランプ氏に専門家懸念 武器供与はG20後か

(2026年10月06日)
第65機械化旅団報道部が提供したこの写真には、2026年9月19日(土)、ウクライナのザポリージャ州で、ウクライナ兵がロシア軍陣地に向けてFPVドローンを発射する準備をしている様子が写っている。(アンドリー・アンドリエンコ/ウクライナ第65機械化旅団提供、AP通信経由)

ウクライナの教訓 兵器の調達・製造プロセス見直し迫られる米

(2026年10月05日)
中国の習近平国家主席とアメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領のイラスト(リナス・ガーシス/ワシントン・タイムズ)

トランプ・習会談、華やかな演出の裏に厳しい現実 米ハドソン研究所中国センター所長 マイルズ・ユー

(2026年10月03日)
2026年9月8日火曜日、ワシントンD.C.のペンタゴンを上空から撮影(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

防衛技術ブームに陰り 企業統廃合が拡大か 中間選挙、資金調達がピーク

(2026年10月02日)
ドナルド・トランプ大統領(左)は、2025年8月25日、ワシントンD.C.のホワイトハウスに到着した韓国の李在明大統領を出迎えた。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影、資料写真)

米シンクタンク、アジアでの同盟縮小を提唱 「中国に戦略的利益」と反論も

(2026年10月01日)
ドナルド・トランプ大統領、メラニア・トランプ夫人、中国の習近平国家主席夫妻、そして米国国立公文書館長のブラッドフォード・ウィルソン氏が、2026年9月25日(金)、ワシントンD.C.の国立公文書館で、憲法、権利章典、その他の文書を閲覧している。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影)

トランプ氏、習氏と国立公文書館訪問 独立宣言・権利章典を視察

(2026年09月30日)
2014年8月14日に撮影されたこの写真には、ワシントン州ブレマートンのピュージェット・サウンド海軍造船所の埠頭に停泊する空母「USSレンジャー」が写っている。退役したこの空母は、木曜日にワシントン州ブレマートンからテキサス州ブラウンズビルのインターナショナル・シップブレイキング社まで曳航される予定だ。(AP通信写真/キトサップ・サン紙、ラリー・スティガール)

海軍原子力造船所の近代化に遅れ、かさむコスト-政府監査院報告

(2026年09月29日)
リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相は、2026年9月8日火曜日、リトアニアの首都ビリニュスにある外務省で、オランダのトム・ベレンセン外相との会談後に行われた記者会見で発言した。(AP通信/ミンダウガス・クルビス撮影)

ロシアが欧州に「グレーゾーン」攻撃、強まるNATOの結束 リトアニア外相

(2026年09月27日)

米空軍、シンクタンクを閉鎖 中国の脅威分析へ影響懸念

(2026年09月26日)
2025年2月18日、韓国の坡州市(北朝鮮との国境付近)で、韓国軍兵士が有刺鉄線沿いをパトロールしている。(AP通信/アン・ヨンジュン撮影)

米国から中東への軍派遣圧力、高まる北の脅威 板挟みの韓国

(2026年09月24日)
→その他のニュース