胎児と移民との交換
By Editorial Board – The Washington Times – Thursday, May 19, 2022
もっと時代が単純だった頃、歌手のバーブラ・ストライザンドさんは、絹のような柔らかな声で「人々を必要としている人々は世界で一番ラッキーな人々だ」ということを私たちに思い出させてくれたものだった。ほとんどすべての人たちはその必要性を共有している。しかし、悲しいかな、憂慮すべきやり方でこの必要性を表現している人もいる。中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を救うための闘いの中で、民主党員らは自身の胎児を捨て去り、その空白を他国からの代替で埋める権限を維持しようと決意を固めているのだ。望まれなかった、小さな米国人は運が悪かっただけと言わんばかりに。
最近、この判決を覆す米最高裁の判決草案がリークされたことで、怒った「進歩派」の群衆が、近く出される判決を支持することが明らかになっている5人の判事の家に押し掛けた。彼らは「中絶反対はまやかしだ。人々が死んでも構わないと思っているくせに」とか「あなた方の法律を私の身体の問題に当てはめないでないでほしい」と訴えるプラカードを掲げて抗議の声を強めている。憤慨した上院の民主党議員らは――うまくいかなかったが――中絶を連邦法によって保障された権利にする法案を可決させようと試みたりした。
ここでは残念なことに、ロー判決を逆転させても、単に中絶法を個々の州の特権に戻すことになるだけという現実が見落とされている。ロー判決をめぐる今回の裁判は、ミシシッピ州の新しい中絶規制法をめぐって起こされたもので、多数の州を妊娠中絶反対派の復活に導くことになったことは、ほとんど間違いない。他方で、カリフォルニアやニューヨークのような州は生命を消滅させる権利を依然守り続けている。
そういった堅固なリベラル派の要塞(ようさい)は、人間の生活に神の手が働くのを見ることのない唯物論者の世界観にとっての天国である。それらの中には、専門的および経済的目標を優先することを選択する出世第一主義者がいる。彼らは、足元の子供たちの苦境に対処するよりも、職場での成功のために闘い、重税を支払うことを望んでいる。この税金で米政府は、移民の着実な流入を支え、将来、民主党支持者が多数派を占めることを期待している。
ワシントンでは、中絶を維持することは、選択するのと同じくらい重要な国家の経済的義務なのである。ロー判決についての専門的な評価を上院銀行委員会と共有するよう求められたイエレン財務長官は、「いつ、いかにして、子供を持つべきかの決断を下す女性の権利を奪うことは、経済に極めて大きな悪影響を与え、そして数十年間、女性を後退させると確信する」と述べた。
確かに、子育てはイエレン氏にとって大切な「労働力参加」を妨げる可能性がある。しかしながら、生きることを許された時、それらは、「アルティミット・リソース(究極の資源)」を構成する。経済学者の故ジュリアン・サイモン氏は著書アルティミット・リソースで、進歩へのあらゆる障害を乗り越えるための鍵を握っているのは、革新する無限の能力を備えた人間であると主張した。
合法的な中絶が出現して以来、米国人は6300万人以上の胎児を葬ってきた。中絶の実行者の机上で、未来の神童と一緒に科学的、精神的な大躍進が失われたかどうかは神のみぞ知るである。
他の人たちには開けているのに、自分自身の子孫に人生のドアを閉じる人々はどんなに不幸であることか。彼らの最大の喜びであったはずの愛する子供たちに抱かれことなく、たった1人で、最後の息を引き取るままにされるのである。