米陸軍 太平洋地域で増強、中国に対抗し域内国々を支援
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, July 27, 2022
米軍は、攻勢を強める中国に対抗し、インド太平洋地域の国々を支援するため、インド太平洋地域全域で、軍備を増強、域内国家との関係を強化している。フリン米太平洋陸軍司令官がワシントン・タイムズとのインタビューで明らかにした。
フリン氏は「中国は、米軍を地域から排除し、覇権を獲得しようとしている。その次に目指すのは世界だ」と指摘、それに対抗するため、域内の多くの国々との訓練、協力を重視していると述べた。
太平洋陸軍はインドから米アラスカ州にかけての広大な地域に10万人以上の兵員を持つ。広大であるため、米国の空軍、海軍だけでは哨戒、防衛はできないと陸軍の重要性を強調、陸軍が地域の平和の維持に重要な役割を果たしていると訴えた。
米太平洋陸軍は、韓国に2万2000人、日本に3000人、アラスカ州に1万4000人、ハワイ州に2万4000人の兵員を擁している。
域内各国の軍の70~90%が陸軍であり、同盟国の陸軍との協力が平和を維持するために非常に重要となっている。
中国が米国は太平洋への侵略者と批判していることについてフリン氏は、戦略的に重要なハワイ諸島だけでなく、グアム、北マリアナ諸島、米領サモア、アラスカは米国領だと反論、太平洋地域での安定は米国にとって大きな利益との見方を示した。
米太平洋陸軍は、3カ所に米国と同盟国の兵員のための訓練所を持ち、南太平洋の熱帯の島々、寒冷地の北東アジア、南アジアの環境に対応できるように備えている。
ハワイとアラスカ、さらに現在はインドネシアに移動訓練施設が設置されている。8月1日から2週間にわたったインドネシアで合同演習「ガルーダシールド」が始まる。これまでよりも「地域、規模ともに大幅に拡大」され、米国のほか13カ国の陸軍が参加、日本は初めて参加する。
さらにフリン氏は、前進基地で活動する陸軍にとって重要なのは、「中国の活動による不安定化から域内の重要領域を守る」ことにあるとして指摘した。
フリン氏は今月実施された米アスペンでの安全保障セミナーで、台湾陸軍との関係に「満足している」と述べるとともに、「一方的な、軍事力による現状変更は望まない」と中国を牽制した。
また、自衛隊との関係は非常に強固で、訓練、演習が頻繁に行われていることを指摘した。北海道防衛のため自衛隊がアラスカで訓練を実施する可能性もある。
また、インド太平洋地域での体制を強化し、アラスカに第11空挺師団を設置、さらに合同太平洋多国間即応センターを設け、寒冷地、密林、島嶼(とうしょ)地域での訓練を実施している。
また、初めての多領域タスクフォースを設置したという。これは、中国による接近阻止・領域拒否に対して「全領域で、精密火力による効果的な打撃を与える」ことを目指す戦闘部隊。太平洋地域に追加配備する計画があるという。