サル痘感染、性行為に関する指導めぐり議論活発化
By Tom Howell Jr. – The Washington Times – Tuesday, August 9, 2022
サル痘ウイルスが主にゲイ男性のネットワークを通じて広がっているが、これは誰にとっても脅威であり、公衆衛生当局は、ゲイ男性に性行動を改めるようどこまで助言するべきかについて頭を悩ませている。
世界保健機関(WHO)のトップは、特にゲイ男性に性的パートナーの数を減らすように助言しているが、ニューヨーク市の保健委員を含む他の保健当局者は、禁欲のメッセージは効果がないと警告している。
バイデン政権は明確な姿勢を示していない。疾病対策センター(CDC)は最近、指針を更新し、ゲイ男性に限らず誰でも、性的パートナーを限定し、「複数のパートナーとの濃厚で、しばしば互いが何者かも知らずに性的接触が行われるバックルーム、サウナ、セックスクラブ、内輪のおよび誰もが参加できるセックスパーティーなどの空間」を避けることによってサル痘への感染を抑えることができると述べている。
更新されたCDCのページには、2人の男性が一緒に横たわっているイラストが描かれているが、その文言は幅広く、女性の体の部分にも言及している。
ハビエル・ベセラ厚生長官は9日、「米国民は皆、サル痘を撃退するために自分の役割を果たさなければならない」と述べた。
非流行国における最近の症例は、男性と性交渉をする男性に集中しているが、専門家によれば、ウイルスがさらに拡散するのは時間の問題だという。イリノイ州の保健当局は5日、州のデイケアセンターの成人がサル痘の陽性反応を示したと発表し、子供が暴露されて感染したかどうかを解明するための取り組みを開始した。
食品医薬品局(FDA)のスコット・ゴットリーブ前局長は7日、CBSの「フェイス・ザ・ネーション」で、「感染者を見つけ出すために、LGBTQ(性的少数者)のコミュニティーで感染者が出ていないかどうかを調べている。しかし、もっと広い範囲で事例を探し始める必要がある」と語った。
今のところ、当局の推定では、98%の症例が男性同士での性交渉を報告した男性に見られるという。
専門家の中には、誰のせいかどうかをはっきりさせるべきではなく、公衆衛生界はサル痘で最も大きな打撃を受けたゲイ男性に汚名を着せることなく支援することができると言う人もいる。
ニューヨーク大学グロスマン医学部医療倫理学部長アーサー・カプラン氏は、「HIV初期の失敗を繰り返したくないのであれば、ゲイ男性に焦点を当てなければならない。米国ではそこにこの病気があるからだ。なぜそこで発症するのかを説明する必要がある。このグループの検査を迅速に拡大すべきだ。接触者の追跡を開始しなければならない。健康的な性交渉と健康的な衛生習慣を促進しなければならない。リスクの高い人々にワクチンを打たなければならない。レッテル貼りは悪いことで、感染はもっと悪い」と述べた。
カプラン氏は、政策立案者が禁欲の話を、より安全な性交渉や衛生に関するメッセージと結びつけることが最善であり、それは、禁欲と並行して避妊や妊娠に関するカウンセリングを含む一般的な性教育に関するメッセージを伝えるのと同じだと述べている。
米国では、8900件以上の感染が報告されている。アフリカの一部で流行しており、この春から米国、欧州、その他の非流行国で流行し始めている。
サル痘は性感染症には分類されず、他の形の人と人との密接な接触によって感染する可能性がある。
このウイルスは天然痘と関係があり、痛みを伴う病変を伴う発疹が特徴。死に至ることがまれにあるが、CDCは症例が出始めて以来、米国で死者は出ていないと報告している。
ブラジルやスペインなどでは、ここ数週間にアフリカ以外で初めての死者が報告されている。
バイデン政権当局者は、ウイルスに対処するため、悪い結果を招かないようにするため、リスクのある人々へのジンネオス・ワクチン配布に奔走していると述べている。
ホワイトハウスは9日、5分の1の量を皮膚の深部ではなく上層に注射するという「用量節約」計画を発表した。これは、1本のワクチンから5本分の投与量を得ながら、きちんとした免疫反応が得られるようにするためだ。
バイデン大統領のサル痘副調整官、ディミートゥリ・ダスカラキス博士は、当局がこの病気を食い止めようとワクチンや薬剤を開発し配布する中で、性行為に関する助言は「恒久的」ではなく「当面」のものだと語った。
CDCはウエブサイトを更新し、「ワクチンの供給が限られている現状を考えると、暴露のリスクを高める可能性のあるいくつかの行動を一時的に変えることを検討してほしい。一時的に変えれば、ワクチン供給が十分になるまで、サル痘の普及を遅らせるのに役立つ」と訴えている。
一方、ホワイトハウスは、リスクのあるコミュニティーの人々は、ワクチンを待つ間、性交渉を控えることについて医師に相談するべきだと述べた。
カリーヌ・ジャンピエール大統領報道官は5日、「私は医療提供者ではない。しかし、医療提供者に相談し、必要な情報を得ることで、自分自身を守り、乗り越える方法を知ることができると言いたい」と述べた。
ニューヨークの保健当局者らは、被害が大きいコミュニティーでサル痘とワクチンについて知ってもらうため、ゲイバーや居酒屋を巡回している。しかし、ニューヨーク市保健局長のアシュウィン・バサン氏は、LBGTQコミュニティーの性行為を取り締まろうとすることは、汚名を着せることであり、自滅的だと述べている。
バサン氏はCNNで先月、「禁欲というメッセージは、実際には効果がない。私たちはそれを知っている。公衆衛生にとって有効なツールではない。人々に良い選択をするための情報を与えることが公衆衛生の仕事だからだ」と語っています。
誰もがこの取り組みに賛成しているわけではない。市保健局の疫学者であるドン・ワイス氏は、ニューヨークの指導者に、何者かが分からない相手との性交渉を控えるよう男性にもっと強く勧めるよう促している。
ワイス氏は6月にネット上に投稿された電子メールの中で、「ワクチンで解決することはできないし、隔離して解決することもできない。唯一の解決策は、禁欲することだ。聖書を読み上げる説教師のように聞こえるかもしれないが、これは予防する必要がある。私たちには介入する時間があまりなく、すでに手遅れかもしれない」と述べている。
また、新型コロナの感染が拡大していた期間中は、社会に対してマスクをし、他の人と距離を置き、職場を閉じることが求められたというソーシャルメディア上の指摘もあるが、当局者らはサル痘にまつわる特定の行動を一括りにすることには消極的なようだ。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエソス事務局長は、ゲイ男性が性交渉の相手を減らすことは現実的なステップだが、各国は特定のコミュニティーを疎外しないように注意する必要があると述べている。
7月下旬にはさらに、「男性とセックスする男性の場合、当面は性的パートナーの数を減らし、新しいパートナーとのセックスを控え、必要に応じて連絡が取れるように新しいパートナーと連絡先を交換することが含まれる、レッテル貼りと差別は、ウイルスと同じくらい危険だ」と述べている。
ユース・プライド・アソシエーションのキャメロン・バルトシーウィッツ会長は、危害を加えたり、意図せずレッテル貼りをしたりしない最善の方法は、当局が正確な情報を提供し、すべての人が個人のリスクを評価し、それに応じて行動できるように、大衆を効果的に指導することに焦点を当てることだと述べている。
「ゲイ男性に禁欲を勧める一部の公衆衛生団体の現在のアプローチは、レッテルを永続させ、LGBTQではない人々に誤った安心感を与えるだけだ」