中国 武漢で「バイオテロ病原体」研究-致死率60% 米議会で証言
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, August 9, 2022
新型コロナウイルスの発生源の可能性が指摘されている中国湖北省にある武漢ウイルス研究所(WIV)で、致死率60%とされるウイルスの研究が、安全基準が不十分な施設で行われている可能性があることが、米議会での証言から明らかになった。
米シアトルの製薬会社アトッサ・セラピューティクスのCEOで、医師のスティーブン・クエイ氏は今月初めの上院国土安全保障・政府問題委員会の小委員会で、新型コロナの感染が最初に確認されたのと同時期の2019年12年に、WIVでニパウイルスのゲノム(遺伝情報)の研究が行われていたと証言、新たな脅威となり得るとの見方を示した。
クエイ氏は「ニパウイルスは、(危険度が最も高い病原体を扱う)バイオセーフティーレベル(BSL)4の病原体であり、CDC(米疾病対策センター)はバイオテロ病原体に指定している」と指摘、「これほど危険な機能獲得研究は見たことがない。研究は今も続けられていると考えるべきだ」と警戒を呼び掛けた。
ニパウイルスは、新型コロナよりも感染力は弱いものの、「致死率は非常に高く、60%に達する」(クエイ氏)。実際に研究が行われていれば、生物兵器禁止条約(BWC)違反の可能性がある。
クエイ氏によると、「致死率は新型コロナの60倍で、この研究所は、最高レベルのBSL4ではなく、BSL2か3だ」と指摘。研究の目的については分からないとしながらも、「ニパウイルスが研究所で改変され、感染力を持てば、被害は新型コロナの比ではない」と危機感をあらわにした。
ニパウイルスは体液を通じて感染する。しかし、空気感染が可能になれば、大規模な被害をもたらす可能性がある。
クエイ氏は、米国のDNA配列データベース「ジェンバンク」に誤って投稿された中国の研究データの中から、WIVのニパウイルスに関する研究を発見したという。
CDCによると、ニパウイルスはマレーシアとシンガポールで自然発生した1999年に初めて発見された。
CDCは「致死率は80%に達することもある」と指摘、「将来、改変されれば、大量拡散が可能になる」と警告している。
米国務省は最新の軍縮に関する年次報告で、「(中国は)デュアルユース(軍民両用)技術の応用に関する活動を続けており、BWCの(生物兵器の開発・生産・貯蔵などを禁止した)第1条の順守に関して懸念が生じている」と指摘している。
また、国務省はトランプ前政権時に、WIVが「少なくとも2017年から人民解放軍の極秘の研究、動物実験」を行っていると結論付けている。
クエイ氏と共に証言したマサチューセッツ工科大学のケビン・エスベルト助教は、「ウイルス研究の発展によって、たった一人のテロリストが、今後1世紀の間に自然に発生するよりもさらに大規模な感染を一度に引き起こすことが可能になる」と指摘、ウイルスの感染力を高める機能獲得実験に懸念を表明した。
また、新型コロナの発生源についてクエイ氏は、「最初の感染者は19年秋であり、12月の市場での感染よりも前」とした上で、感染が武漢の海鮮市場から始まったことを示す証拠はないと主張。「研究所(の機能獲得研究)で感染力を得たとすると、すべての証拠と合致する」と、研究所からの流出の可能性を強調した。