中国、マーシャル諸島に接近か 太平洋島嶼国から米排除画策

(2022年9月16日)

2013年5月14日、早朝に撮影されたワシントンの司法省本部ビル。(AP写真/J.David Ake)

By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, September 6, 2022

 米司法省は、中国から受け取った資金でマーシャル諸島政府高官を買収しようとしたとして、海外汚職防止法違反とマネーロンダリングの容疑で、中国出身とみられるマーシャル諸島国籍保有者2人を起訴した。マーシャル諸島は、米国にとって太平洋島嶼国の中で安全保障の重要な拠点。中国は近年、これら島嶼国への接近を強めており、米国は警戒を強めている。

 起訴状によると、ケイリー・ヤン、ジーナ・チョーの両容疑者は国連NGO(非政府組織)を使って、「中国かどこかからの資金」で6人の高官を買収し、香港で2018年に公表された開発計画「ロンゲラップ環礁計画」の推進を働き掛けようとしていた。買収は、環礁に経済自治区を設置し、このNGOと2人の容疑者の「ビジネスの機会」を促進するためだったとされている。

 この計画には中国政府が関与していることが指摘されており、米国と太平洋地域の同盟国に対抗するための中国政府の戦略の一環とみられている。

 起訴状は、2人の活動は中国の秘密影響工作の一環と指摘。両容疑者は米連邦裁判所で容疑を認めている。

 2人が利用したNGOは明らかにされていないが、ヤン容疑者は19年まで「ガバナンスと競争力の世界機構(WOGC)」の会長だった。WOGCは、「国連持続可能な開発目標(UNSDG)」の枠組みに基づく特殊諮問資格を有する官民複合組織だ。

 米シンクタンク、民主主義防衛財団のインド太平洋問題専門家、クレオ・パスカル氏によると、中国は長年、水面下でマーシャル諸島で活動しているという。同氏は「マーシャル諸島での影響力を強めることは、中国にとって非常に重要だ。ハワイとアジアの戦略的に重要な位置にあり、台湾を承認している」と述べた。

 米国はマーシャル諸島と自由連合を結び、同国の防衛と安全保障に責任を持っている。マーシャル諸島には、ロナルド・レーガン弾道ミサイル防衛試射場もあり、ミサイル迎撃実験などが実施されている。

 パスカル氏によると、中国はマーシャル諸島と外交関係を築き、米国と引き離すことによって、「グアム、マリアナ諸島、日本、韓国を孤立させ、米国をハワイに押し戻す」ことを狙っている。

 国家安全保障会議の元高官アレックス・グレイ氏は、中国が戦略的に重要な太平洋島嶼国での影響工作、統一戦線活動を強化していると指摘、警戒を呼び掛けた。

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