コロナは武漢研究所から流出、発生源めぐり新報告-米上院

(2022年11月3日)

2021年2月3日、中国湖北省の武漢で、世界保健機関(WHO)チームが現地視察のために到着した後、武漢ウイルス研究所からジャーナリストを遠ざける警備の人。COVID-19の大流行から2年近くが経過したが、世界を苦しめているウイルスの起源は依然として謎に包まれている。(AP写真/Ng Han Guan、ファイル)

By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, October 27, 2022

 米上院の共和党議員らは、新型コロナウイルスの発生源は、野生動物ではなく、中国の武漢ウイルス研究所(WIV)である可能性が高いとする新たな報告を公表した。発生源に関する世界保健機関(WHO)などの報告より、さらに踏み込んだものとなっている。

 報告は厚生教育労働年金委員会の議員らが作成し、10月下旬に公表した。新型コロナの感染拡大は「研究に関連する事故が原因であることを示す重大な証拠が浮上した」と指摘、WIVからの流出とすれば、「武漢で急速に拡大した初期の疫学的状況、最初の救援要請が行われた場所が(WIVに)近かった」ことの説明がつくとしている。

 中国政府は、研究所からの漏洩(ろうえい)説に強く反発、今も新型コロナに関する情報の公開を厳しく制限している。発生源が依然として解明されないのは、中国政府の協力が得られないことが一因だ。

 報告は、新型コロナが、動物を宿主として自然発生したものなら、「人へと感染する前に、動物の間で感染した痕跡があるはずだ。しかし、最初の人への感染前に動物が新型コロナに感染した証拠はない」と指摘。「中国南部、東南アジアに生息するキクガシラコウモリから発生した可能性はあるものの、どのようにして1000キロ以上も離れた武漢に移動し、感染するのかは説明されていない」と、自然発生説に否定的な見方を示している。

 WIVは、コウモリから1万5000以上のサンプルを採取、1400以上のコウモリウイルスを確認していることが明らかになっている。ところが、WIVのこれらのウイルスのデータベースは2019年9月にオフラインになっており、閲覧できない。

 報告は、「WIVはコロナウイルス先進研究の中心」と指摘、「人に感染する可能性のある『リスクの高い』コロナウイルスの収集、解明、実験によって、将来の感染拡大を予測し、防止するための研究を行っていた」と強調している。

 報告はさらに、WIVで、19年と20年に新型コロナに似た空気感染ウイルスの封じ込めに関連する6件のバイオセーフティー上の不具合が起きていたことを突き止めている。

 また、新型コロナは、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザなどと違い、人同士の感染力が強いという点で、過去の感染症と異なる。

 これまでにWHOと米国家情報長官室が新型コロナの発生源に関する報告を作成しているが、いずれも自然発生か、研究所からの漏洩かの判断を下しておらず、今回の報告はいっそう踏み込んだものとなっている。

 報告作成に関わった同委の有力委員、バー上院議員(共和)は、「依然として感染は続いている。発生源に関する情報をさらに明らかにするための国際的な取り組みを継続することが重要だ」と指摘した。

 一方、トランプ前政権で新型コロナの発生源をめぐる調査を行っていた高官は、「今必要なのは、(WIVのコロナウイルス研究を支援していたとされる米国立衛生研究所=NIHの)改革と、中国に責任を持たせるための行動への強力な勧告だ」と主張、解明への取り組みの強化を求めた。

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