中国が衛星追跡レーダー公開 宇宙戦能力を強化、友好国に売却も

(2022年11月20日)

北京の米国大使館が主催した米国大統領選挙イベントで、ホテルの外に掲げられた米国と中国の国旗。(AP写真/Andy Wong)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, November 16, 2022

 中国は、人工衛星を探知、追跡可能な最新の軍用レーダーの「友好」国への売却を狙っている。専門家によると、有事にはミサイルと併用することで米国などの衛星の破壊に利用することも可能となり、専門家は警戒を呼び掛けている。

 レーダーは、中国・珠海で今月行われた中国国際航空宇宙博覧会(珠海航空ショー)で初めて公開された「SLC18」。広範囲を素早く探査することが可能なアクティブフェーズドアレイレーダー(AESA)で、開発した中国国営の中国電子科技集団(CETC)によると、あらゆる天候の下で複数の低軌道上の衛星を同時に探知、追跡でき、軌道を予測することも可能という。

 CETCは、「友好国に、比較的低価格で、地上から宇宙の標的を監視する能力を提供できる」とした上で「低軌道の衛星に対する状況把握能力を備え、戦場での形勢を均衡させる」ことが可能としている。

 友好国としてはイラン、北朝鮮などが想定されている。米当局者によると両国とも宇宙戦能力の構築に取り組んでおり、低予算での衛星監視能力獲得は魅力的なはずだ。西側諸国の偵察・監視衛星の妨害にも使用でき、有事には、敵国の偵察能力を削(そ)いだり、通信手段を奪うなどで重要な役割を果たし得る。

 CETCは、衛星群の攻撃にも効果的としており、米国防総省が配備している衛星群や、ロシアの侵攻を受けているウクライナにインターネット通信を提供している衛星群「スターリンク」なども標的となり得る。スターリンクのような衛星は、中国の台湾侵攻時にも使用可能だ。

 米シンクタンク「宇宙法・政策ソリューションズ」のマイケル・リスナー所長は、このレーダーによって中国軍は、米国と同盟国の衛星を把握できるようになると指摘。「衛星の状況を把握することで、弱点を探ることが可能になる」と警戒の必要性を強調している。

 CETCは「データベースを基に人工衛星を探知、特定、分類し、他の装備で相応の対応をするのを支援する」としている。

 中国軍はすでに、複数の衛星破壊兵器を保有しており、SLC18を装備することで、宇宙戦能力は一層強化される。

 それに対し米宇宙軍の防衛能力は限られ、攻撃的兵器は今のところ地上配備の電子妨害装置のみだ。

 CETCは2018年に、米国の技術を中国軍に転用した疑いから米商務省のブラックリストに載せられており、米国との取引は禁止されている。

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