低コスト利点、心理戦に言及-中国軍 13年には気球注目、極超音速ミサイル発射実験も

(2023年2月9日)

2022年10月16日、北京の人民大会堂で行われた中国与党共産党第20回全国代表大会の開会式を終え、退席する軍の出席者たち。中国の習近平指導部は、安全保障という言葉を26回使った演説で、北京は党の軍事部門である人民解放軍の近代化に “より速く取り組み”、”軍の戦略能力を強化する “と述べた。(AP Photo/Mark Schiefelbein, File)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, February 6, 2023

 中国の気球が米本土領空を飛行したことを受けて、軍事情報の収集が目的だったとの指摘がなされている。中国軍は、高高度気球や飛行船など「軽航空機」を使って、米国の長距離無人機に対抗し、敵国に心理戦を仕掛け、情報を集めようとしていることが、中国の軍事、技術に関する資料から明らかになっている。

 2018年には気球から極超音速ミサイルを発射する実験を実施しており、中国軍が空気よりも軽い軽航空機の利用に関心を抱いていることは明らかだ。

 中国科学院の航空情報研究所の技術者らが作成した20年の報告は、高高度気球での情報収集とその他の任務について詳述している。それによると、高度20キロ~100キロ程度の近宇宙を飛行する高高度気球は、偵察機や人工衛星よりも優位だという。

 無人の高高度気球は、低コストで、「数カ月、数年間も」飛行を継続させることが可能、そのため「継続的に、広範囲を監視できる」と報告は指摘している。

 さらに、人工衛星よりも搭載量は大きく、電波が強く、精度が高いという利点もあり、衛星と違って低コストで、再利用もしやすい。

 また中国航空宇宙科学産業8511研究所の「航空宇宙電子戦」誌の13年の報告では、軍用気球を米国のグローバルホークやステルス機「センチネル」などの無人偵察機への対抗策として利用することも言及されている。「上から見下ろす」ことでステルス機の発見が容易になるという。また、無人機と衛星との間の通信は「ジャミング(電波妨害)に弱い」と指摘、気球に電波妨害装置を搭載することにも触れられている。

 米シンクタンク「セキュア・ワールド・ファウンデーション」の21年の報告によると、気象観測気球で、人工衛星の通信、コントロールを行う地上局に対してサイバー攻撃を行うことが可能という。

 また、18年9月に中国国営テレビの軍事部門が明らかにしたところによると、中国軍は極超音速ミサイルの発射母機として気球を利用することを目指しているという。公開された映像では、米国で撃墜されたものと同様の気球に3種類の兵器が搭載されている。

 中国国防大学の19年の報告では、「心理戦」での利用にも言及している。

 報告によると、中国の情報戦には、「ソフトアタック」と「ハードアタック」があり、敵に心理的な影響を及ぼし、長期的な恐怖心を植え付けて「戦うことなく勝利の目的を達成する」ことを目指すとしている。

 世論に影響を及ぼす心理戦の手段としては、ちらし、画像、放送、テレビ、コンピューターネットワーク、動画、インターネットを挙げているが、さらに、ホログラム映像兵器、強力な光で敵を一時的に混乱させるレーザーダズラー、電子ホイッスル、「思考制御兵器」、仮想現実があり、気球などを使って、これらの兵器を運搬、配備することで、「心理戦攻撃の効果を挙げる」としている。

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