中国の宇宙戦兵器は「最も差し迫った脅威」-米宇宙軍トップが警告
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, March 14, 2023
中国軍は、米国との有事に備えて347基の人工衛星を配備しており、そのうち35基は半年以内に打ち上げられたものだ。米宇宙軍トップのサルツマン作戦部長は議会証言で、「宇宙強国」を目指す中国の軍拡に警戒を呼び掛けた。
サルツマン氏は14日、上院軍事委員会戦略兵力小委員会で証言し、中国の宇宙戦兵器について、「最も差し迫った脅威」と指摘、ロシアの宇宙戦兵器についても「非常に大きな脅威」との見方を示した。
中国は2045年までに世界的な宇宙大国となることを目指し、衛星のセンサーを攻撃できるレーザー兵器、全地球測位システム(GPS)衛星、通信衛星を無力化する電子戦ジャマー(通信妨害装置)の配備に取り組んでいる。
また、衛星を攻撃できる地上発射ミサイルを複数保有し、敵国の衛星を捕獲、破壊するためのキラーロボット衛星の開発も進めている。
サルツマン氏は、その中でも主要な脅威として、静止衛星を破壊する兵器の開発を挙げた。上空3万6000キロを周回する静止衛星は、1基で地球表面の3分の1をカバーでき、写真を撮影、電子情報を収集することが可能だ。
これに対処するために米宇宙軍では、多数の衛星を低軌道に配備する方針へと転換しているという。これらの衛星は、各国が開発にしのぎを削る極超音速ミサイルを「発見、監視、追跡する能力」(サルツマン氏)も備える。
サルツマン氏は証言で、宇宙軍が極秘で開発を進めているとされる攻撃型兵器については触れず、宇宙戦争に関するコンセプトについてもまだ策定されていないと述べた。
中国が将来の宇宙戦に備えていることは、打ち上げている衛星の数の多さから分かる。これによって宇宙での情報・監視・偵察(ISR)能力が強化される。
サルツマン氏は「軌道上にある稼働中の中国の衛星は700基あるが、そのうち347基が(軍の)ISRプラットフォームであり、光学、レーダー、電磁波によって世界中の軍を追跡できる。…これによって有事に米軍を監視、追跡、補足、攻撃することが可能になる」と指摘した。
一方、ロシア軍は、衛星破壊兵器の試験、配備に取り組むとともに、サイバー攻撃能力を強化しており、サルツマン氏によると、空中発射対衛星ミサイルの開発にも取り組んでいる。
ロシアは衛星ネットワークの情報収集、精密誘導、通信によって、「宇宙で標的を補足、攻撃することが可能であり、深刻な脅威として捉える必要がある」と指摘した。
バイデン政権の今年度(22年10月~23年9月)の宇宙軍予算は300億ドルで、議会が承認した予算から37億ドル増額されている。