戦略原潜が異例のグアム寄港、首脳合意 米国が韓国に派遣か
By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, April 27, 2023
米海軍は26日、オハイオ級戦略弾道ミサイル原子力潜水艦「メーン」がグアムの米軍基地に寄港していることを明らかにした。米韓首脳は同日のワシントンでの会談で、韓国への戦略原潜の派遣で合意しており、メーンが1980年代以降初めて韓国に寄港する戦略原潜となる可能性がある。
米海軍がフェイスブックで明らかにしたところによると、入港したのは4月18日。核弾頭搭載可能な長射程の弾道ミサイルを搭載する戦略原潜がグアムに寄港するのは異例で、ミサイル発射命令など潜水艦への通信を中継する海軍機E6Bも同時にグアムに展開しているとみられている。
米国のバイデン大統領、韓国の尹錫悦大統領が26日、核戦力の強化を進める北朝鮮を視野に拡大抑止を強化することで合意、「ワシントン宣言」に署名したばかり。
国防総省のライダー報道官は、戦略原潜がいつ韓国を訪れるかは明らかにしなかったが、オハイオ級であることは明確にしている。
メーンは1995年に就役、20発以上の大陸間弾道ミサイル(ICBM)トライデント2を搭載できる。
米国はかつて、韓国に数百発の戦術核を配備し、北朝鮮の侵攻に備えていた。70年代には、米国の「核の傘」戦略の一環として、核ミサイル搭載潜水艦の韓国寄港も頻繁に行われていた。
ブッシュ(父)政権時の92年に、韓国と北朝鮮が核兵器を製造、試験、受領、保管、配備、使用しないことで合意したことを受けて、韓国からすべての核兵器が撤去された。
しかし、北朝鮮はこの共同宣言と、94年にクリントン米政権との間で交わされた北朝鮮の核開発凍結を求める合意に違反し、核開発を実施。数十発の核弾頭、大量の中・長距離ミサイルを保有している。
バイデン政権は、核兵器を韓国に再配備する計画はないとしている。新たな戦略の下で、爆撃機、空母だけでなく、戦略原潜も寄港させることが明確にされた。
米韓合意は、北朝鮮から核の脅威を受ける韓国による核開発を阻止するためのバイデン政権の取り組みの一環。世論調査では、韓国国民の大多数が国内への核戦力の配備を支持している。
尹氏は1月、北朝鮮の核の脅威に備えるため、「戦術核兵器を導入または自国で製造する」と表明していた。
米国の核不拡散政策に批判的な専門家らは、韓国、日本などに核兵器の製造阻止へ圧力をかけることは、地域紛争の危険性を高めると警告している。