中国軍備増強で高まる核戦争のリスク、米政権の戦略は不十分-報告

(2023年5月31日)

パレードでDF-26弾道ミサイルを展示する中国人民解放軍(資料写真)。ここ数カ月、中国の極超音速兵器や核兵器の保有量、さらには海軍の規模に関する重大な事実が明らかになり、21世紀のライバルが何を隠し持っているのか、共産主義国家の内部で何が開発中なのかを、ワシントンは正確に把握できていないのではないかという懸念が広がっている。(AP通信/ファイル)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, May 29, 2023

 中国の核戦力増強が急速に進み、核戦争の危険性が高まっている―。米国の有力研究機関が最新の報告「第二の核大国としての中国の出現」を公表、ロシアと新たな核大国を目指す中国の双方に対処するために核戦力を強化する必要があると訴えた。

 報告を作成したのは、ローレンス・リバモア国立研究所「全地球安全保障研究センター」の超党派の専門家グループ。米戦略軍のリチャード前司令官の要請を受けて作成されたもので、中国とロシアという二つの核大国に対処するため抑止力を強化しなければならないが、米国はその準備が整っていないと強く警告している。

 報告は、バイデン政権の戦略、政策は不十分であり、「現実的」で「高まりつつある」新しい核の脅威に対応できていないと主張。既存の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に核弾頭を追加すること、新しい核搭載SLBMを製造すること、新しい大陸間弾道ミサイル(ICBM)「センチネル」を道路移動式発射台に搭載する準備をすることを求めている。

 バイデン政権は、軍事戦略での核兵器の役割の縮小を推進しているが、一方の中露はともに戦略兵器への依存を強めている。

 2022年2月、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が「無制限」の戦略協力で合意したことで、米国の抑止力への対抗で両国がさまざまな面で協調できるようになり、米国の戦略立案者らはこの二つの国に同時に注意と資源を向けなければならなくなったと報告書は述べている。

 また報告は、米戦略軍が指摘する中国の核の「ブレイクアウト(急増)」について、詳細に触れている。

 中国は30年間にわたって最小限の核抑止力を維持してきた。そのため、強大な核戦力を持つロシアとの戦略的戦力のバランスを維持することに重点を置いていた米国の戦争計画立案者らは、中国を考慮する必要がなかったが、近年の中国の核兵器増強で、事態は一変したという。

 米国の核弾頭保有数は、配備されている戦略核弾頭が1500発以下で、さらに多くの核弾頭が保管されている。ロシアの核弾頭保有量は1500発以上と言われている。新戦略兵器削減条約(新START)では、両者とも配備核弾頭を1550発に制限することになっているが、プーチン氏は最近、この制限に従わないことを表明した。

 報告によると中国は36年までに、1338発以上の戦略核弾頭を保有。そのうちの1140発は522基のミサイル発射台に搭載され、その多くは中国西部に建設中の三つの大規模な発射場に配備されるとみられている。サイロが390基、道路移動式発射台が132基と予想している。また潜水艦部隊は252発の弾頭を搭載した84発のミサイルを保有、爆撃機に搭載される核弾頭は18発を超えるとみられる。

 報告は、バイデン政権が昨年発表した「核態勢の見直し(NPR)」は、中国、ロシア両国に間違ったシグナルを送ったと主張。「プーチン大統領と習主席が核兵器の役割を増やしている今、両首脳は(NPRを)米国が衰退し、後退していることを示していると受け取る可能性がある」と懸念を示した。

 報告は、中国が米国、ロシアとともに世界第3の核超大国となることを目指しており、米国は迅速に行動しなければならないと結論付けている。

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